カテゴリー: ウィリアムズ・レーシング

  • 2027年F1マシンは空力規則も大幅変更 リアウイングやフロアを見直し

    2027年F1マシンは空力規則も大幅変更 リアウイングやフロアを見直し

    2027年のF1マシンでは、すでに決定しているパワーユニット(PU)規則の見直しに加え、空力レギュレーションも大幅に変更されることが明らかになった。変更はリアウイングやフロアなど複数の重要な空力パーツに及び、2026年型マシンからの設計流用は想定以上に難しくなるという。

    この情報を明かしたのは、ウィリアムズのチーム代表ジェームズ・ボウルズ。F1は新世代マシンで浮上した課題を改善するため、2027年に向けてPUと空力の両面からレギュレーションを見直す方針だ。

    リアウイングやフロアなどが変更対象
    ベルギーGP金曜フリー走行中にSky Sports F1の中継へ出演したボウルズは、2027年に向けた空力規則について次のように説明した。

    「来年は空力レギュレーションが変更される。しかも、その内容はかなり大きい」

    「ビブ(フロントフロア先端部)、リアウイング、フロアの一部などが変更される。その結果、多くの人が期待しているほど今年のマシンをそのまま引き継げるわけではない。ただ、それには正当な理由がある」

    変更は全面的なレギュレーション刷新ではないものの、空力性能に大きく関わる主要パーツが対象となるため、各チームの2027年型マシン開発への影響は小さくない。

    ボウルズは、ウィリアムズがすでに2027年用の新シャシー開発を計画していることも明かし、今回の規則変更によって設計作業はさらに複雑になるとの見方を示した。

    PU規則変更と合わせて競争力向上を目指す
    今回の空力規則見直しは、2027年から導入されるPUレギュレーションの変更とセットで進められる。

    2026年から採用された電動出力と内燃エンジン出力を50対50とする配分については、ドライバーやチームからエネルギーマネジメントの負担が大きいとの指摘が相次いだ。そのためF1は2027年から内燃エンジン側の比率を高める方向へ規則を変更することを決定している。

    空力規則もこれに合わせて見直され、ダウンフォースやコーナリング速度を適正化することで、ストレートで使用できる電力エネルギーとのバランス改善を図る狙いだ。

    ボウルズは今回の決定について、シーズン開幕時には予想していなかったと認めながらも、その方向性を支持した。

    「シーズン開幕時には予想していなかった。しかし、スポーツとして正しい方向性だと思う」

    「より良いフォーマット、率直に言えば、より良いショーを作る助けになる。これはパワーユニット規則の変更とも一体となって進められているものだ」

    より完成度の高いF1を目指して改良継続
    ボウルズの発言は、Sky Sports F1のデビッド・クロフトとカルン・チャンドックも驚く内容だった。これまで2027年規則といえばPU変更ばかりが注目されており、空力規則の大幅な見直しは広く知られていなかったためだ。

    しかしボウルズは「公表してはいけないことを話したとは思っていない」と述べ、F1が現在もレギュレーションの改善を続けていることを示唆した。

    「予選でも決勝でも最高のプロダクトを実現したいという思いがある」

    「レース自体は非常に良くなっていることは誰もが認めるだろう。しかし、まだ理想的な状態ではなく、このマシンからすべてを引き出せているわけではない」

    「パワーユニット規則と空力規則、その両方を改善することで、F1はさらに良い方向へ進んでいけるはずだ」

    2027年のF1はPU規則だけでなく空力規則にもメスが入ることになり、各チームは限られた設計流用の中で、新たなマシンコンセプトの開発を迫られることになりそうだ。

  • アレクサンダー・アルボン ウィリアムズF1の”DNA的欠陥”克服へ「最大の取り組み」

    アレクサンダー・アルボン ウィリアムズF1の”DNA的欠陥”克服へ「最大の取り組み」

    アレクサンダー・アルボンは、ウィリアムズF1が長年抱えてきたマシン特性の改善に向けて「これまで見た中で最大の取り組み」を進めていると明かした。チームは今季マシン『FW48』の重量超過に苦しむだけでなく、長年続く設計上の弱点の克服にも取り組んでいる。

    ウィリアムズはシルバーストンで新型フロントウイングを投入したものの期待したほどの効果は得られず、9月のアゼルバイジャンGPでは大規模アップデートを予定している。

    一方でアルボンは、真の狙いは2027年型マシンで同じ欠点を繰り返さないことだと説明した。

    長年続くウィリアムズの弱点
    2026年型FW48は重量超過に悩まされているが、それ以上に問題となっているのが中高速コーナーを多く持つサーキットでの競争力不足だ。

    特にバルセロナやハンガロリンクのような一定半径の中高速コーナーが続くレイアウトでは、アルボンとカルロス・サインツJr.の両者が苦戦。この傾向は2014年のV6ターボハイブリッド時代の開始以来続いており、低ダウンフォースサーキットでは速さを見せる一方、高ダウンフォースコースでは競争力を失うという”体質”になっている。

    アルボンは、その問題をチーム内部では「遺伝子DNA」のような根深い課題として捉えていると語った。

    「僕たちはマシンの弱点も、進むべき方向性も理解している。ファクトリーで行われている作業は、この遺伝子レベルのDNA的な問題と戦うために、僕が見てきた中で最も大きな取り組みだ」

    「再び正しい方向へ戻るために必要なことを、まさに実行していると思う。そもそも今の状況にいること自体は残念だけど、正しいことをしているという確信はある」

    バクーでの改善には慎重な見方
    シルバーストンでは新型フロントウイングが投入されたが、期待したほどのパフォーマンス向上は得られなかった。次の大規模アップデートは9月のアゼルバイジャンGPで予定されている。

    ただしアルボンは、そのアップデートだけで問題が完全に解決するとは考えていない。

    「バクーまでに完全に治るかと言われれば、そうは思わない」

    「バクー向けのアップデートはかなり前から計画されていたものだし、僕たちが本当に力を注いでいるのは来年のマシンなんだ」

    「来年のクルマがこうした特性を持たないようにすることが重要なんだ」

    アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ・レーシング)

    ハンガリーでは風が弱点をさらに悪化
    アルボンはハンガリーGPで苦戦した理由について、強い風によってマシンの弱点がさらに増幅されたと説明した。

    「風の影響が本当に大きかった。正直なところ、ドライビング面ではフラストレーションがたまる。まともに攻めることすらできなかった」

    「チームも僕の力を最大限に引き出せていない。僕自身がかなり抑えて走らなければならないからだ」

    さらに、風向きが変化するたびにマシンの挙動が大きく変わり、一貫した走りができなかったという。

    「突風や風、それにコースを惰性で転がるような感覚もあった。レース中に風が落ち着いたのは6周ほどしかなく、その時だけようやくリズムに乗れた。でもまた風が強くなると同じ状況に戻ってしまう」

    「ミスをしているように感じるけど、実際にはそうじゃない。同じ場所で同じように走っていても、一貫性がまったく得られないんだ」

    ウィリアムズはバクーで大型アップデートを投入する予定だが、アルボンの言葉からは、短期的な改善だけでなく、長年続いてきた設計思想そのものを見直す長期的な改革に取り組んでいることがうかがえる。

  • ウィリアムズF1 カルロス・サインツJr.に年俸56億円超オファー報道

    ウィリアムズF1 カルロス・サインツJr.に年俸56億円超オファー報道

    ウィリアムズF1がカルロス・サインツJr.に対し、年間3000万ユーロ(約56億円)という大型契約を提示し、残留を目指していると報じられた。一方で、F1ハンガリーGPではオスカー・ピアストリとの接触事故をめぐる批判が続いており、去就とともにその対応にも注目が集まっている。

    サインツJr.は夏休み期間中に将来をじっくり検討すると明かしているが、ウィリアムズ代表のジェイムス・ボウルズは来季以降もアレクサンダー・アルボンとともにチームの中核として引き留める考えを崩していない。

    3000万ユーロ契約でサインツJr.慰留か
    ドイツ紙などの報道によると、ウィリアムズはサインツJr.に年間3000万ユーロという破格の契約延長オファーを提示したという。この金額が事実であれば、F1でもトップクラスの高額年俸となる。

    サインツJr.は今季、マシン性能への不満をたびたび口にしてきたが、ハンガリーGP終了後には「夏休みを利用して落ち着いて将来を決めたい」と語り、去就について明言を避けた。

    一方、ボウルズ代表はサインツJr.とアルボンの両ドライバーへの信頼を改めて強調した。

    「この冬、私たちは予想以上に多くの弱点を抱えていることが明らかになった」

    「その影響で大きく後退してしまった。今季も全力を尽くしているが、本当に重要なのは2027年以降に向けてすべてを正しい状態に整えることだ」

    さらに両ドライバーについて次のように語った。

    「彼らは困難な状況でも常にチームを支え続けてくれた。本当に素晴らしいドライバーだ。少なくとも毎週末ポイントを争える環境を与えられるべき存在だが、現状ではそれができていない」

    カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ・レーシング)

    ピアストリとの接触で批判集中
    しかし、ハンガリーGPではサインツJr.の評価を揺るがす出来事が起きた。

    周回遅れとなっていたサインツJr.は、表彰台争いを展開していたマクラーレンのオスカー・ピアストリと接触。サインツJr.は「ピアストリが見えなかった」「十分な青旗警告を受けていなかった」と主張したものの、オンボード映像では複数の青旗表示を通過していたことが確認された。

    その後、ウィリアムズはステアリング上のブルーフラッグ警告システムに不具合があったことを認めたが、ピアストリは納得しなかった。

    「彼が僕を見ていなかったかどうかなんて、正直どうでもいい。それは受け入れられないことだ」

    さらに今回の接触について、「レースで見た中でも最も愚かな出来事のひとつだった」と厳しく非難した。

    一方のサインツJr.は謝罪する意思はないと断言した。

    「いや、謝る必要はない」

    「普通のレーシングインシデントだ。彼も表彰台争いをしていたのだから、もう少し慎重であるべきだったのではないか」

    「青旗の問題もあったし、彼ももう少し良いポジション取りができたはずだ」

    この説明には、X(旧Twitter)のコミュニティノートでも反論が付けられるなど議論が拡大している。

    GPDA理事としての姿勢にも厳しい視線
    ピアストリはさらに、サインツJr.がGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の理事であることにも言及した。

    「彼は普段から他のドライバーにはかなり厳しいことを言っている」

    「以前から『彼はコース上でフラストレーションを感じさせる存在だ』と言っているドライバーもいる。だから、ああいうことをしたなら、一度自分自身を見つめ直した方がいいと思う」

    一方、元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは通常のタイムペナルティだけでは不十分だったと指摘した。

    「私ならカルロス・サインツJr.には次戦のグリッド降格も科すべきだ」

    「そうしなければ前例になってしまう。このようなことは許されるべきではない」

    2027年へ向けたチーム作りは継続
    接触騒動は大きな波紋を呼んだものの、ウィリアムズ首脳陣はサインツJr.への評価を変えていない。2027年の新レギュレーションを見据えた長期的な再建計画においても、サインツJr.とアルボンを中心に据える方針は揺らいでおらず、高額契約提示の背景にもその強い期待があるとみられる。今後、サインツJr.が夏休み明けにどのような決断を下すのかが注目される。

  • カルロス・サインツJr. ピアストリとの接触を釈明「避けるのは不可能だった」

    カルロス・サインツJr. ピアストリとの接触を釈明「避けるのは不可能だった」

    カルロス・サインツJr.は、F1ハンガリーGPでオスカー・ピアストリと接触した一件について、自身には周回遅れを知らせるブルーフラッグが適切に表示されておらず、「避けることは不可能だった」と釈明した。

    また、FIAのブルーフラッグシステムに不具合があったことも考慮されるべきだったと主張し、この接触はレーシングインシデントだったとの見解を示した。

    39周目、ピアストリは首位走行後のピットストップを終えて周回遅れの集団に追いつき、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソと激しく順位を争っていたサインツJr.のウィリアムズとターン2立ち上がりで接触した。ピアストリはこの接触で大きなダメージを負わなかったものの、トップ争いで貴重なタイムを失った。一方のサインツJr.には5秒のタイムペナルティが科されたが、レース後にはFIAのブルーフラッグ表示システムに問題があったことが判明している。

    「周回遅れになるとは全く分からなかった」
    18位でフィニッシュしたサインツJr.は、当時の状況について、周回遅れになるという情報を全く受け取っていなかったと説明した。

    「その時点では、自分が周回遅れにされようとしているなんて全く分かっていなかった」

    「それに加えて、僕はフェルナンドと激しいバトルをしていて、コーナーでインに飛び込んで前に出ようとしていた」

    「オスカーがあそこにいるとは思っていなかったし、仮にそこにいたとしても、あの角度では僕の死角に入っていた」

    「だから正直、僕の側からすれば避けることは不可能だった」

    サインツJr.は、もう少し情報共有が適切であれば防げた可能性はあると認めつつも、レースでは起こり得る接触だったと語った。

    「もう少しコミュニケーションが良ければ助かったかもしれない。でも同時に、レースでは時々起こるようなレーシングインシデントだったと思う」

    カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ・レーシング)

    ブルーフラッグの問題が裁定にも影響すべきだった
    サインツJr.は、ブルーフラッグのシステムトラブルがあった以上、スチュワードもその事情を考慮すべきだったと主張した。

    「正直、オスカーには本当に申し訳なく思っている。でも今回は、何が起きたのかについて僕には十分な理由があると思う」

    さらに、タイトル争いと表彰台を争う立場にあったピアストリも、状況を踏まえて慎重に走る余地があったのではないかとの見方も示した。

    「彼は表彰台を争っていた立場だったし、僕たち全員がブルーフラッグの問題を抱えていたことを考えれば、もう少し慎重なポジション取りができたかもしれない」

    「でも残念だった。5秒ペナルティは受け入れたし、それで構わない。18位を争っていた僕にとっては気にするようなものではなかった。それが現実だ」

    「彼のリタイア原因は僕ではない」
    ピアストリはその後、ギアボックストラブルによってリタイアを喫したが、サインツJr.は今回の接触がその原因ではなかったことを強調し、互いに事情は理解できるはずだと語った。

    「これはレーシングインシデントだ。何が起きたのかを知れば、彼も理解してくれると思う」

    「彼がリタイアしたのは僕や僕のミスが原因ではなかった。ただ接触があっただけだし、彼のレースにそれほど大きな影響を与えなかったことをうれしく思う」

    「とはいえ、僕たち全員がこうしたブルーフラッグの問題を抱えていた状況だっただけに、本当に難しいレースだった」

    FIAのブルーフラッグ表示システムの不具合は、今回のピアストリとサインツJr.の接触だけでなく、複数のドライバーからも問題視された。サインツJr.はペナルティ自体は受け入れたものの、自身の視界や状況だけでなく、システム上の問題も今回のインシデントを招いた一因だったと強調している。

  • アレクサンダー・アルボン アストンマーティンF1称賛「夢のようなアップグレード」

    アレクサンダー・アルボン アストンマーティンF1称賛「夢のようなアップグレード」

    アレクサンダー・アルボンは、2026年F1第11戦ハンガリーGP予選でQ1敗退を喫した後、無線で「なぜバランスがこんなに変わるんだ?」と不満を爆発させた。

    一方で、16点に及ぶ大型アップグレードを投入したアストンマーティンF1については「あんなアップグレードは夢のまた夢だ」と称賛。チームメイトのカルロス・サインツJr.も、アストンマーティンがウィリアムズの進むべき方向を示したと評価し、ライバルチームからもAMR26Bの進歩を認める声が相次いだ。

    ウィリアムズはハンガロリンクで苦戦を強いられ、サインツJr.が18番手、アルボンが19番手でともにQ1敗退。一方、アストンマーティンはフェルナンド・アロンソが今季初のQ2進出を果たし、中団争いで確かな前進を印象づけた。

    「なぜバランスがこんなに変わるんだ?」
    Q1敗退が決まった直後、アルボンはチームラジオでマシンの挙動に怒りをあらわにした。

    「なぜバランスがこんなに変わるんだ?」

    これに対し、チーム代表のジェイムス・ボウルズはドライバーを擁護した。

    「アレックス、クルマがあれだけ不安定な状態で、あれは良いラップだった。それは我々の責任だ」

    その後の取材でアルボンは、FW48の状態を詳しく説明した。

    「クルマが何をしているのか理解するのが難しい。ラップごと、コーナーごとに挙動が変わってしまう」

    「カルロスも今週末はいくつか問題を抱えていたし、僕にも別の問題があった。なぜクルマのフィーリングがこれほど変わるのかを調べなければならない」

    「良いラップをまとめられていないように感じる。コーナーに進入するたびに、クルマがどんな反応をするのか分からないからね」

    アルボンは、そのため予選アタックのように限界まで攻めることができないと明かした。

    「予選ラップのように攻めるのではなく、決勝のような走り方になってしまう。限界までプッシュすると、突然クルマに裏切られて予想もしない動きをするんだ」

    「本当にフラストレーションが溜まる。僕たち自身もまだ完全には理解できていないし、シーズンが進むにつれて、このクルマには好ましくない傾向があることがますます明らかになってきている」

    アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ・レーシング)

    「あんなアップグレードは夢のまた夢だ」
    アルボンは、アストンマーティンの大型アップグレードについて率直な賛辞を送った。

    「アストンマーティンがどんなアップグレードを持ち込んだのかは分からないけど、あんなアップグレードは夢のまた夢だ」

    さらに、その効果は驚異的だったと語る。

    「1.5~2秒くらい速くなったんじゃないかな。本当に見事だよ」

    「ストレートでは何戦かは彼らと戦えるかもしれない。でもコーナーでは彼らの方がかなり速い」

    また、ウィリアムズも9月のアゼルバイジャンGPで大型アップグレードを投入する予定だが、その効果はアストンマーティンほどではないとの見方を示した。

    「僕たちもバクーでどんなアップグレードを投入するのかは分かっている。でも、あれほどのものじゃない。だから、まだやるべきことはたくさんある」

    サインツJr.「進むべき方向を示してくれた」
    チームメイトのサインツJr.も、ハンガロリンクでの苦戦は予想していたものだったと振り返った。

    「コースレイアウトを見た時点で、今年の僕たちの弱点を考えれば厳しい週末になると分かっていた。気温が高いことも含めて、すべてが僕たちには不利に働いている」

    「僕のガレージ側では、スパと同じようにFP1からFP3までリアに多くの問題があった。予選までに応急処置を施して改善したけれど、それでも根本的な問題は残っていた」

    その一方で、サインツJr.はアストンマーティンのアップグレードがウィリアムズにとって目指すべき方向性を示したと評価した。

    「良いことが一つあるとすれば、アストンマーティンがダウンフォースを加えればクルマは速くなることを証明してくれたことだ。僕たちは今後何をすべきか分かっている」

    ハンガリーGPでは、アストンマーティンの大型アップグレードがライバル勢にも強い印象を残した。アルボンが「あんなアップグレードは夢のまた夢」と語り、サインツJr.も開発の方向性を示すものだったと認めたように、AMR26Bの進歩は中団勢力図を揺るがすインパクトを与えている。

    【関連】
    ・アストンマーティンF1 AMR26B徹底解説 ニューウェイ流アップグレードの全貌

  • カルロス・サインツJr. ウィリアムズF1に苦言「アストンマーティン級の進歩が必要」

    カルロス・サインツJr. ウィリアムズF1に苦言「アストンマーティン級の進歩が必要」

    カルロス・サインツJr.は、ウィリアムズF1が競争力を取り戻すためには、アストンマーティンのような飛躍的な開発成功が必要だとの認識を示した。2026年F1第11戦ハンガリーGP予選後、バクーで予定するアップデートだけでは不十分だと語り、チーム全体の開発力向上を求めた。

    ハンガリーGP予選で18番手となったサインツJr.は、ハンガロリンクが今季最も厳しいサーキットになることは予想していたとしながらも、マシンの一貫性のなさや開発面でライバルとの差が広がっている現状に危機感を募らせた。

    予想どおり苦戦もマシンの不安定さを問題視
    サインツJr.は、ハンガロリンクでの苦戦自体は想定内だったと振り返った。

    「正直、このサーキットは今年最も厳しいレースになると予想していた。だから期待値はかなり低かったし、大きく苦戦することは分かっていた」

    「でも一番驚いたのは、マシンの一貫性のなさと、1周をまとめることの難しさだ。週末を通して見てもらえれば分かると思う」

    さらに、フリー走行ではスペインGPでも発生したギアボックス関連の問題が再発していたことも明かした。

    「フリー走行からFP3まで、ギアボックスがバランスに影響する問題を抱えていた。スペインGPと同じような症状で、何が原因なのかまだ分かっていない。これから解決策を見つけなければならない」

    この問題は、メルセデス製トランスミッションに関わる部分だと説明している。

    「アストンマーティンがやったことを実現しなければならない」
    サインツJr.は、マシン開発の方向性についても率直な考えを語った。

    「もっと速いマシンが欲しいなら、シンプルにアストンマーティンがやったことを僕たちも実現しなければならない」

    アストンマーティンはハンガリーGPで16項目に及ぶ大型アップデートを投入し、フェルナンド・アロンソが今季初めてQ2進出を果たすなど、中団グループで大きく競争力を高めた。

    サインツJr.は、バクーで投入予定のアップデートには期待を寄せつつも、それだけでは十分ではないとの見方を示した。

    「バクーでのアップデートには期待している。でも、今の差を見れば、それだけではポイント争いには十分ではないことは分かっている」

    「何より気になるのは、アストンマーティンのようなチームが風洞で非常に大きなポテンシャルを見つけていることだ。僕たちも同じように、それだけ大きな空力性能を見つけ出せるチームになってほしい」

    カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ・レーシング)

    現行車の開発終了も提言
    サインツJr.は、アストンマーティンの躍進を悲観材料ではなく、ウィリアムズが目指すべき成功例だと語った。

    「テレビでも話したけれど、アストンマーティンを見て不安になるのではなく、モチベーションに変えるべきだと思っている」

    「少し前までグリッドでも最もダウンフォースが少ないマシンのひとつだったチームが、たった1回のアップデートで中団トップクラスになり、トップチームにも近づいてきた。それは僕たちにも可能性があることを示している」

    そのうえで、バクー以降は現行FW48への開発を打ち切り、2027年マシンへ開発資源を集中すべきだとの考えを示した。

    「そう思う。バクー以降はもう大きなアップデートはないはずだし、チームは次のマシンに集中すべきだ」

    「僕たちは想像以上に多くのものを見つけなければならない。だからチーム全体のレベルを引き上げる必要がある。僕たちは思っていた以上に先頭から離れていることが、このようなサーキットではっきり分かった」

    【関連】
    ・アストンマーティンF1 AMR26B徹底解説 ニューウェイ流アップグレードの全貌

  • アレクサンダー・アルボン アストンマーティンF1を警戒「全コーナーで上回られた」

    アレクサンダー・アルボン アストンマーティンF1を警戒「全コーナーで上回られた」

    アレクサンダー・アルボンは、F1ハンガリーGP初日の走行を終え、アストンマーティンF1が投入した大規模アップグレードによって勢力図が変わりつつあるとの見方を示した。

    ウィリアムズは金曜を通して苦戦を強いられ、アルボンはFP2を16番手で終了。予選ではQ1突破を懸けてアストンマーティンとの争いになるとみている。

    「全コーナーで僕たちより速かった」
    アルボンはアストンマーティンについて、アップグレードの効果がすでに表れているとの印象を語った。

    「少なくともFP1で見た限りでは、彼らはすべてのコーナーで僕たちより速かった」

    「もちろんストレートでは少し不利だけど、それでもコーナーで十分に速く、結果的に僕たちより速かった。FP2でフェルナンド(アロンソ)がどこにいたのかは分からないけど、僕たちにはやるべきことがたくさんある」

    チーム公式リリースでもアルボンは、アストンマーティンを今週末最大のライバルと位置付けていた。

    「アストンマーティンは今週末、大きく前進した。僕たちが倒さなければならない相手であり、そのせいでQ1はかなり厳しい戦いになるだろう」

    アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ・レーシング)

    ウィリアムズはロングランに課題
    アルボンは、ウィリアムズの現状についても「一発の速さはまずまずだが、ロングランのペースは遅い」と分析した。

    「低燃料時のペースは、普段の僕たちを考えれば悪くない。でも高燃料では遅い」

    また、風向きや路面温度の変化がセットアップ評価を難しくしていると説明した。

    「風や気温、路面コンディションの影響が大きく、どこまでがセットアップで、どこまでが自分たちではコントロールできない要素なのかを切り分けるのが難しい」

    ウィリアムズのパフォーマンスシステム責任者リチャード・フリスも、アストンマーティンのアップグレードが予選で新たな脅威になると認めた。

    「アストンマーティンのアップグレードによって、明日は私たちにとって新たな挑戦になる。カルロス(サインツJr.)のマシンで実施したフロアテストのデータも含め、今夜は詳細に分析し、改善できる点がないか探っていく」

  • カルロス・サインツJr. ウィリアムズF1残留に前向き「クルマ以外には自信がある」

    カルロス・サインツJr. ウィリアムズF1残留に前向き「クルマ以外には自信がある」

    カルロス・サインツJr.は、2027年以降の去就について依然として最終決断は下していないとしながらも、ウィリアムズF1のプロジェクトそのものへの信頼は揺らいでいないことを強調した。

    2026年シーズンの期待外れな戦績によって当初描いていた復活へのスケジュールは見直しを余儀なくされた一方で、チーム代表ジェイムス・ボウルズの下で進められている組織改革や将来への投資には確かな手応えを感じており、夏休み期間中に今後について話し合う考えを明かした。

    2026年の失敗で復活への計画は後退
    サインツJr.はこれまで一貫してウィリアムズ残留を第一希望に挙げてきた。しかし、その前提となるのはチームが将来的に優勝争いへ復帰できるという確信だった。

    ところが2026年型FW48は期待を大きく下回るパフォーマンスに終わり、シーズン中のアップデートも十分な成果を挙げられていない。そのため、当初想定していた復活のタイムラインは修正せざるを得なくなった。

    「これは僕の計画にも期待にもなかったことだ。2026年型マシンをより長く開発でき、新しいレギュレーションも導入されることで、少なくとも現在の位置を維持するか、一歩前進できると思っていた」

    「でも現実はまったく逆だった。2025年末に考えていたよりも、チームはトップから遠い場所にいることが分かった」

    サインツJr.は当初、2028年頃には再び勝利争いへ戻れると見込んでいたが、その目標は少なくとも1~2年先送りになったという。

    「レースで再び勝てるようになるまでの期間、そしてその場所がウィリアムズになるまでの期間は、少なくとも1~2年延びた。どれだけ早く現状から立て直せるか次第だ」

    「チームを再び勝てる位置へ戻すために、自分がどれだけ待つ覚悟があるかという期限は持っていた。でも残念ながら、その期間は誰もが予想していたより長くなる」

    カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ・レーシング)

    それでもプロジェクトへの信頼は変わらない
    今季の成績には失望している一方で、サインツJr.は長期的なプロジェクトへの信頼は依然として失っていないと語る。

    「状況をひっくり返す力はある。ただ、F1では時間が必要だ。時間も努力も予算も分析も必要で、僕たちは今まさにその段階にいる」

    さらに、現在の競争力だけではなく、舞台裏で進められている改革を高く評価していることも明かした。

    「チームが将来に向けて何へ投資しているのかを見ている。ビジョンはとても明確だし、今のマシンのパフォーマンスを脇に置けば、舞台裏で起きていることには自信とモチベーションを与えられている。僕たちは正しい方向へ進んでいると思う」

    一方で、2026年型マシンについては厳しい評価を崩さなかった。

    「今年のマシンは、さまざまな理由で本当に期待を大きく下回るパフォーマンスだった。その理由について今日は改めて話すつもりはない」

    最終決断は夏休み以降
    2027年のドライバー市場では有力シートがほぼ埋まりつつあり、サインツJr.にとって現実的な移籍先は限られている。そうした状況も踏まえ、夏休み期間中に自身の将来について本格的な協議を始める考えを示した。

    「自分の時間軸は明らかに変わった。これから3~4年先を見据えて考え直し、決断しなければならない。でも、このプロジェクトと進んでいる道には今でも自信を持っている」

    契約について公表する時期を問われると、次のように答えた。

    「正直なところ分からない。具体的な日付は言えないけれど、夏まで待って自分のチームと話し合うと言ってきた。ジェイムス(・ボウルズ)やチームのみんなと、チームの将来、そして自分の将来について話し合うつもりだ」

    「夏の間には決断へ向けた動きが始まり、状況ももう少し見えてくると思う。でも、正確なタイミングはまだ分からない」

    2026年シーズンの失速によってサインツJr.の当初の計画は修正を迫られた。しかし、ウィリアムズの組織改革や長期ビジョンへの評価は変わっておらず、現時点では残留が最も有力な選択肢であることを強く示唆する内容となった。

  • カルロス・サインツJr. ウィリアムズF1に厳しい評価「2026年マシンは失敗作」

    カルロス・サインツJr. ウィリアムズF1に厳しい評価「2026年マシンは失敗作」

    ウィリアムズF1のカルロス・サインツJr.が、2026年シーズンのマシン開発に対してこれまでで最も厳しい評価を下した。中団争いで後退を続ける現状について「今年のマシンは失敗だった」と認め、チームに危機感を求めている。

    一方で、チーム代表のジェイムス・ボウルズは2027年に予定されているF1の空力レギュレーション変更がウィリアムズにとって巻き返しのチャンスになるとの見方を示した。

    サインツJr.「2026年マシンは失敗だった」
    カルロス・サインツJr.は、アゼルバイジャンGPで投入予定とされる大規模アップデート版の「Bスペック」マシンについても、大きな改善にはつながらないとの見方を示した。

    DAZNの取材で今季中の飛躍を期待できるかと問われたサインツJr.は、率直な胸の内を明かした。

    「正直に言えば、今年は難しいと思う」

    「『Bスペック』や新しいシャシーの話はしてきたけど、他チームの進歩ほど大きなものではない」

    特にライバル勢の開発力を引き合いに出し、ウィリアムズとの差は広がる一方だと語る。

    「レーシングブルズの進歩は驚異的だ。アップデートを投入するたびにコンマ2~3秒ずつ速くなっているけど、僕たちはそういうアップデートを持ち込めていない」

    「だから今年この状況から抜け出せるとは考えにくい」

    そのうえで、今季は来季マシン開発へ向けた学習期間と位置付けている。

    「今はできるだけ多くを学んで、来年のマシンをもっと競争力のあるものに設計することに集中したい。今年のマシンは失敗だったことは明らかだからね」

    カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ・レーシング)

    中団ライバルとの差は拡大
    サインツJr.は現在の中団勢の勢力図についても厳しい現状を説明した。

    「スペイン流に言えば、僕たちは目を覚まして動き出さないといけない」

    「アルピーヌはコンマ3~4秒速く、アウディはコンマ6~7秒、レーシングブルズは約1秒速い」

    「今年の中団グループはトップと最後尾で約1秒の差がある。ウィリアムズはこの世代のマシンで本当に苦戦している」

    開発競争が激化する中で、他チームに比べてアップデートの効果を十分に引き出せていないことが、現在の低迷につながっているとの認識を示した。

    ボウルズ代表は2027年規則変更に期待
    一方、ウィリアムズF1のジェイムス・ボウルズ代表は、2027年に予定されているF1の空力レギュレーション改訂がチームに新たなチャンスをもたらすとの考えを示した。

    「レギュレーションは変更されるし、その内容はかなり大きい」

    「フロントウイング後方のトレイやリアウイング、さらにフロアの複数のエリアにも変更が加えられる」

    「私たち全員が望んでいたほど現行規則を忠実に引き継ぐ形ではないが、それには十分な理由がある。当初は予想していなかった変更だが、方向性は正しいと思っている」

    さらにボウルズは、新ルールは2026年から導入された新世代パワーユニットとの整合性も考慮したものだと評価した。

    「私はこのスポーツが進もうとしている方向性に賛成している。より良いF1を実現する助けになるし、エンジン規則の変更とも一致している」

    2026年シーズンの巻き返しには悲観的な見方が強い一方で、ウィリアムズは2027年の大幅なルール変更を新たな出発点と位置付け、競争力回復を目指す考えだ。

  • ウィリアムズF1 メルセデスPUの“裏技”を分析「システムを欺いている」

    ウィリアムズF1 メルセデスPUの“裏技”を分析「システムを欺いている」

    メルセデスが2026年シーズンに見せている予選での圧倒的な加速性能。その秘密とされるパワーユニット(PU)の制御方法について、ウィリアムズF1のチーム代表ジェイムス・ボウルズが興味深い見解を示した。

    メルセデスのカスタマーチームであるウィリアムズも同じPUを搭載しているが、ワークスチームと同等のパフォーマンスを引き出せているわけではない。ボウルズは、メルセデス独自のエネルギーマネジメント手法を分析し、自チームでも再現を目指していることを明かした。

    メルセデスが見つけた「システムを欺く」エネルギー制御
    2026年のF1ではエネルギーマネジメントがラップタイムを左右する重要な要素となっている。メルセデスは、この分野でライバルを一歩リードしているとみられている。

    ボウルズによると、メルセデスはPUのエネルギー使用をより有利な区間へ配分できるよう、「システムを欺く(trick the system)」ような制御を実現しているという。

    その代償として、ドライバーはラップ終盤で一時的にアクセルを戻す必要があると分析している。実際、ベルギーGPのスパ・フランコルシャンでは、アンドレア・キミ・アントネッリとジョージ・ラッセルが最終セクターでリフトしている様子がデータ上でも確認できる。

    しかし、その結果として最終コーナーの立ち上がりでは大きなエネルギーを利用でき、長いホームストレートで卓越した加速性能を発揮していることが特徴だ。

    同じPUでもワークスとの差は埋まらず
    ウィリアムズはメルセデス製PUを使用しているものの、同じ制御戦略をそのまま利用できるわけではない。

    ボウルズはSky F1のインタビューで、その現状を次のように説明した。

    「彼らがやっているのは、実質的にはシステムを欺いて、より効率的な場所でエネルギーを使えるようにしていることだ。その代償としてリフトが必要になる。それが我々の現時点での最も有力な分析だ」

    「我々はメルセデスのカスタマーチームだが、だからといって彼らと同じものが利用できるという意味ではない」

    「だから我々も舞台裏で全力を尽くし、パワーユニットを同じように運用できる方法を見つけようとしている」

    現在のウィリアムズは、カルロス・サインツJr.とアレックス・アルボンの競争力向上に向け、このエネルギーマネジメント技術の再現に取り組んでいるという。

    2026年F1で広がるPUソフトウェア開発競争
    2026年レギュレーションでは、PUそのものの性能だけでなく、回生と放出をどのタイミングで行うかというソフトウェア制御が大きな差を生み出している。

    ボウルズの発言は、同じメルセデス製PUを搭載していても、ワークスチームだけが活用できる運用ノウハウや制御技術が存在する可能性を示唆するものだ。今後、カスタマーチームが同様の手法をどこまで再現できるかは、予選での勢力図を左右する新たな開発競争の焦点となりそうだ。