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  • レッドブルF1 メキースが語る激動の1年「今では少し非現実的に感じる」

    レッドブルF1 メキースが語る激動の1年「今では少し非現実的に感じる」

    レッドブル・レーシングのチーム代表兼CEOを務めるローラン・メキースが、就任から約1年を振り返った。

    2025年シーズン後半の劇的な巻き返しから、レッドブル・フォード・パワートレインズによる自社製F1パワーユニットのデビュー、そして2026年序盤の苦戦からトップ争いへの復帰まで、目まぐるしく状況が変化した1年を「ジェットコースターのようだった」と表現している。

    49歳のメキースが特に強調するのは、2026年の新レギュレーションを控えながらも2025年型マシンの開発を諦めなかったチームの姿勢だ。その決断によってマックス・フェルスタッペンはタイトル争いに復帰し、同時に新時代に向けた巨大プロジェクトも進められていた。メキースは、この二つを並行して成し遂げた組織の粘り強さこそ、現在のレッドブルの競争力につながっていると評価している。

    2025年の逆襲「誰も諦めようとしなかった」
    メキースがクリスチャン・ホーナーの後任としてレッドブルを率いることになった当時、2025年のドライバーズタイトル獲得は厳しい状況にあるとみられていた。しかし、フェルスタッペンはシーズン後半に猛烈な追い上げを見せ、最終的にはランド・ノリスにわずかなポイント差まで迫った。

    「この1年はジェットコースターのようだった。率直に言って、何よりもまず、このチームの一員でいられることは大きな名誉だ。昨年加入した当初の数週間を振り返ると、今では少し非現実的に感じる」

    メキースはまず、シャシー部門とパワーユニット部門のスタッフをできるだけ早く理解することに努めたという。その一方で、チームは2025年序盤の低迷から立て直すための大規模な作業を続けていた。

    「シャシー側にもパワーユニット側にも素晴らしい人材がいる。そうした人たちをできるだけ早く理解しようとしていた。そして最初に取り組んだのが、2025年シーズン序盤の難しい状況から立て直すための大きなプッシュだった」

    「ピエール(ワシェ)とチームが諦めようとしなかったことをよく覚えている。彼らは昨年のマシンにパフォーマンスが足りないという状況を受け入れようとはしなかった」

    2026年には全面的なレギュレーション変更と新パワーユニットの導入が控えていた。さらにチーム代表も交代しており、2025年型マシンを早期に見切る理由はいくらでもあったとメキースは振り返る。

    「2026年のレギュレーションがあり、新しいパワーユニットがあり、新しいチーム代表もいる。『このマシンはうまくいっていない。来年解決すればいい』と言う理由はいくらでもあった」

    「しかし、誰もそうしようとはしなかった。少しずつではあるが確実に、マシンの新しいバランスポイントを見つけ、新たな開発、新たな方向性を見いだしていった。そこにマックスの少しばかりの魔法が加わり、あの巻き返しにつながった」

    F1パワーユニット自社開発という「最もクレイジーなプロジェクト」
    2025年のタイトル争いが終わっても、レッドブルに休む時間はなかった。2026年には、フォードとの協力によって開発した自社製パワーユニットを初めてF1に投入するという、チーム史上最大級の挑戦が待っていたからだ。

    「アブダビでシーズンが本当に終わったと実感する時間さえなかった。目の前には大きなカウントダウンがあったからだ。正確に言えば、スタッフにとってそのカウントダウンは4年ほど前から始まっていた」

    「その先にあったのは、自分たちでパワーユニットを作るという、考え得る中でも最もクレイジーなプロジェクトだった」

    メキースは、既存メーカーに依存せずF1パワーユニットを構築するという決断そのものが、通常の企業論理では考えにくいものだったと語る。

    「世界中のどんな取締役会や株主でも、『これはいいアイデアだ。自分たちでF1パワーユニットを作り、90年にわたってそれをやってきた人たちと戦おう』とは、なかなか考えないだろう。普通なら選ばない道だ」

    「しかし、それこそがレッドブルのやり方だ。我々は、不可能だと思われることに挑戦する。当時、株主と経営陣がそう決断した。そしてベン(ホジキンソン)が率いる素晴らしいチームが集められ、彼らは4年間、舞台裏で仕事を続けてきた」

    失敗すれば「1年、2年、3年と競争力を失う」
    メキースは、新パワーユニットのデビューが近づくにつれて、チーム内の緊張感が高まっていったことも明かした。

    「ある時点から、カウントダウンの終わりが近づいてくる。そして冬の間、我々の頭上には黒い雲があったと言っていい」

    「パワーユニットのプロジェクトに失敗すれば、1年、2年、場合によっては3シーズンにわたって競争力を失うことになるからだ」

    その危険性を示す例として、メキースは2014年に始まった前回のパワーユニット規則時代を挙げた。

    「2014年に始まった前回のレギュレーションサイクルでもそれを見ている。新規参入だったかどうかに関係なく、最初につまずいたところは非常に長い期間にわたってトップから遅れることになった」

    バルセロナでハジャーが100周「それが普通に見えた」
    大きな不安を抱えたまま迎えた2026年1月、レッドブル・フォードの新パワーユニットはバルセロナで実走デビューを果たした。プレシーズンテスト初日にはアイザック・ハジャーが100周を走破した。

    「キャンパスにいる全員が何日も何晩も、週末まで働き続け、ようやく1月を迎えた。そしてバルセロナでのプレシーズンテスト初日、アイザック(ハジャー)がマシンを走らせて100周した」

    「我々はただ顔を見合わせた。それがあまりにも普通のことのように感じられた」

    「レッドブル・パワートレインズ・フォードのスタッフとシャシー側のスタッフが、同じシャツを着て一緒に働いている。それを見るのは素晴らしい感覚だった。そしてかなり早い段階で、自分たちは戦いの中にいると感じられるようになった。それが本当に短い時間で当たり前のことになった」

    もちろん、すべてが順調だったわけではない。

    「誤解してほしくない。普通に感じられたと言っても、望んだように機能していないものは数多くあったし、必要なレベルに達していない部分も数多くあった。それでも、戦えるだけの距離にはいると感じられた」

    開幕戦で突きつけられた「1.2秒」の現実
    プレシーズンで手応えを得たレッドブルだったが、開幕戦オーストラリアGPでは厳しい現実を突きつけられた。基準となったメルセデスに対し、約1.2秒もの差があったという。

    「メルボルンに着いた時点では、大きなポジティブ要素がいくつもあった。黒い雲はもうなくなっていたし、戦えると思っていた。しかし、そこで突きつけられた厳しい現実は、ペースから1.2秒遅れていたということだった」

    ただしメキースは、その差について、2025年型マシンの開発をシーズン終盤まで続けたことを考えれば、ある程度は合理的だったと分析する。

    「正直なところ、昨年どれだけ遅い時期まで開発をプッシュしたかを考えれば、おそらくかなり論理的な結果だった。今年のマクラーレンにも、ある意味で同じことが見えている。そして我々は昨年、彼ら以上に強く、より遅い時期までプッシュしていたと思う」

    「そこにパワーユニットの要素も加わる。1.2秒という差の一部はシャシー側、一部はパワーユニット側にあった。それでも我々には戦えるという感覚があった」

    当時のレッドブルは自らを「4番手チーム」と評価していた。

    「我々が『今は4番手チームだ。それでも現時点ではポジティブに受け止めている』と言ったことで、ファンやもっと広い層の人たちは驚いたかもしれない」

    「もちろんレース週末になり、実際に3チームが自分たちの前にいる現実を見るのは、決して気分のいいものではない」

    半年足らずで約1秒を挽回「残りは0.3秒」
    そこからレッドブルは急速に差を縮めた。メキースによれば、開幕時にあった1.2秒の大部分はすでに解消されており、現在トップとの差は約0.3秒まで縮まっている。

    「しかし、レッドブル・レーシングは再び、自分たちが非常に得意としていることをやった。それが開発のスピードだ」

    「まだ半シーズンほどしか経っていないが、あの1.2秒の大部分は消えた。究極のペースに対して、残っているのはおそらく0.3秒だ」

    一方で、最後の数コンマを埋めることこそ最も難しいとも認める。

    「最後の0.3秒が最も難しいことはよく分かっている。その最後の0.3秒を取りにいけるかどうかは、時間が教えてくれるだろう」

    「ただ、この4カ月、5カ月で成し遂げたことについて、ピエールのチームとベンのチームには敬意を表さなければならない。ある日は勝利を争い、次のレースでは表彰台を争う。そうした状態を普通だと思えるところまで我々を戻してくれた」

    レッドブル・フォードは「期待を上回った」
    新規開発したパワーユニットでここまで競争力を発揮できたことは、メキース自身にとっても予想以上だったという。

    「私にとっても、おそらく多くの人にとっても、期待を上回るものだった」

    「パワーユニットの専門家たちについて言えば、この12カ月で最も厳しかった時期には、グリッドに並び、しかも適切なレベルで戦うために解決しなければならない、かなり複雑で深刻な問題もあった」

    「しかし最も難しい時でさえ、彼らは正しい場所に到達するために必要な手段を自分たちは持っているという確信を失わなかった」

    「だから、確かに驚きではあった。彼らが期待を上回ったことに疑いはない」

    メキースは特に、ホジキンソン率いるパワーユニット部門が困難な局面でも強さを失わなかったことを評価した。

    「改めて、ベンと彼のチームを評価しなければならない。順調な日だけでなく、より重要なのは、うまくいかない日にも強さを保ち続けたことだ」

    2027年タイトル争いへ「不利だとは思わない」
    2025年後半から2026年前半にかけて、レッドブルは主要スタッフの離脱や独自パワーユニットへの移行という大きな変化を経験した。それでもメキースは、チームが将来の勝利とタイトルを争うための基盤をすでに築いたと考えている。

    「2025年のあの段階からシーズン終了まで、レッドブルの進歩は非常に大きなものだった。そして大物の離脱や新しいパワーユニットプロジェクトがありながら、今年前半の進歩もそれに匹敵するものだった」

    「将来の勝利とタイトルに向けた基盤は整っている。そして現実的なタイムラインは、当初考えられたものよりはるかに短くなっている」

    そのうえでメキースは、2027年に向けてレッドブルがメルセデス、マクラーレン、フェラーリに対して構造的な不利を抱えているとは考えていないと強調した。

    「来年に向けて、メルセデス、マクラーレン、フェラーリに対して我々が何らかの不利を抱えているとは思わない」

    「だからといって、我々が勝つとか、彼らが勝つとか、そういう意味ではない。来年のタイトル争いに向けてマシンを開発していくうえで、かなり平等なチャンスを持った4つの大きなチームがいるということだ」

    2025年型マシンを最後まで開発しながら、並行して自社製パワーユニットという巨大プロジェクトを進め、2026年開幕時の約1.2秒差を半年足らずで約0.3秒まで縮めたというのが、メキースが振り返るこの1年だ。残された最後の数コンマを埋められるかが、レッドブル・レーシングとレッドブル・フォード・パワートレインズが再びF1タイトル争いの中心に立てるかを左右することになる。

  • ローラン・メキース レッドブルF1再建へ「最高の才能を維持」

    ローラン・メキース レッドブルF1再建へ「最高の才能を維持」

    レッドブル・レーシングのチーム代表を務めるローラン・メキースは、近年続いている主要スタッフ流出について「守りに入るつもりはない」と語り、チーム再建に向けた“最優先事項”を明かした。

    レッドブルF1では近年、ロブ・マーシャル、ウィル・コートニー、そして2028年からマクラーレンF1へ移籍するジャンピエロ・ランビアーゼなど、重要人物の離脱が相次いでいる。2023年以降の大規模な人材流出は、ライバルチームとの勢力図にも影響を与えてきた。

    レッドブルF1「最高の才能」を維持へ
    スペイン『Motorsport Espana』を通じてローラン・メキースは、現在のレッドブルF1にとって最重要なのは「優秀な人材を維持し、育成し、惹きつける環境づくり」だと説明した。

    「我々は常に社内の才能に最高のチャンスを与えたいと思っている。しかしチームを強化する必要があるなら、外部から人材を迎え入れることも喜んで行う」

    「GP(ジャンピエロ・ランビアーゼ)の後任についてはまだ数年あるが、冗談抜きで我々は誇りに思っている」

    「才能を失うことに対して守りに入るつもりはない。それは事実であり、この3〜4年ずっと起きていることだ」

    そしてメキースは、現在のレッドブルF1の“トッププライオリティ”について次のように語った。

    「最優先事項は、最高の才能を維持し、育成し、そしてピットレーンで最も優れた人材を引き寄せられる環境を作ることだ」

    レッドブル・レーシング

    内部昇格と外部補強を両立
    ローラン・メキースは、レッドブルF1が内部昇格を重視しつつ、必要であればライバルチームからの補強も辞さない姿勢を強調した。

    「必要であれば、ライバルチームから特定のスキルや経験を持つ人材を獲得する。我々は数週間前にもそうした」

    「現在の新体制は非常に良いバランスになっている。ベン・ウォーターハウスの権限拡大や、レーシングブルズから加わるアンドレア・ランディなど、内部昇格と新加入がうまく混ざっている」

    さらに、パワーユニット部門のベン・ウォーターハウス、シャシー部門のピエール・ワシェを高く評価し、「部署ごとに最高の才能をすでに持っている」とも語った。

    ホーナー退任後に変化したレッドブルF1
    今回の発言が注目される背景には、クリスチャン・ホーナー退任後のチーム環境の変化がある。

    記事では、ホーナー体制末期にはチームを巡る混乱や論争の影響で新規人材獲得に苦戦していたと指摘。一方で、ローラン・メキース就任後はチームの雰囲気が大きく改善し、ミルトンキーンズが再び魅力的な職場として見られ始めているという。

    また、依然としてマックス・フェルスタッペンを擁している点も、レッドブルF1にとって大きな武器となっている。トップドライバーとともに働きたいと考えるエンジニアにとって、フェルスタッペンの存在は今なお強力な求心力となっている。

    近年の大量離脱によって空いた予算枠を、新たな優秀人材の獲得に振り向けられる可能性もあり、ライバルチームにとっては警戒すべき状況になりつつある。

  • ローラン・メキース、レッドブルF1を変える「政治より純粋なレース」

    ローラン・メキース、レッドブルF1を変える「政治より純粋なレース」

    ローラン・メキースは、レッドブルが「純粋なレース」のみに焦点を当て、ライバルに対して「敬意」を払うことが重要だと述べた。

    2025年F1タイトル争いはアブダビGP最終戦までもつれ込んだが、パドックの空気は2021年とは大きく異なっていた。4年前、レッドブルとメルセデスの間には敵対的とも言える緊張感が漂っていたが、2025年の最終戦後、マックス・フェルスタッペンはその見方を一笑に付している。

    「敵対的、敵対的って……誰も殴り合いなんてしていないだろう? 僕は敵対的だとは思わなかった。敵対的というのはかなり極端な言葉だ。ただ非常に競争が激しかっただけで、その時に両チームがお互いを好きではなかったというのは別の話だ。でも敵対的というのは違う。」

    とはいえ、当時のレッドブル代表だったクリスチャン・ホーナーと、メルセデス代表のトト・ヴォルフの間では、数多くの政治的駆け引きが繰り広げられていた。その流れは、マクラーレンがレッドブルの最大のライバルとなった後も続き、フレキシブルウイングやタイヤへの水注入をめぐる示唆が飛び交い、それに対してマクラーレンのザク・ブラウンCEOが“特製の飲料ボトル”で応酬する場面もあった。

    しかし、この夏以降、そうした論争はほぼ姿を消している。アブダビGPを前にした金曜の記者会見で、ブラウンと、7月にホーナーの後任として代表に就任したローラン・メキースが並んで登壇した姿は、その変化を象徴していた。タイトル決定戦を控えた週末にもかかわらず、場の雰囲気は驚くほど友好的だった。

    さらに変化を示す出来事として挙げられるのが、いわゆる「テープゲート」だ。この件の後、メキースはレッドブルがランド・ノリスのピットウォールのテープを剥がす行為をやめると、すぐに明言している。こうしたトーンの変化は、少なからずメキースの影響によるものと見られているが、本人は功績を自分のものとは考えていない。

    「以前のレッドブルが“限界の際”にいたと呼ぶべきかどうかは分からない。我々は非常に強い戦いをしてきたし、それは公正でクリーンな戦いだった。これこそが、我々がレースをしたい形だ。すべてを限界まで攻めるが、競争相手を尊重することは間違いなく大切にしている。」

    「スポーティングフェアネスと競争相手への敬意について言えば、我々は両立できると考えている。限界ぎりぎりで戦いながら、同時に相手を尊重することは可能だ。スポーツとは巨人同士の戦いであり、我々はその戦いに強い覚悟を持って臨んでいる。そして、競争相手を尊重している。」

    ローラン・メキース レッドブル・レーシング

    純粋なレースに集中するという発想
    この姿勢は、ライバルとの関係性だけでなく、レッドブル内部にも好影響をもたらしているとメキースは語る。狙いは、これまで以上に雑音を減らし、集中力を高めることにある。

    「言い換えれば、ここは信じられないほど競争の激しい環境で、競争力を保つためには、自分たちがやっていることを楽しむ必要があると我々は信じている。我々は一生懸命働き、全力で楽しむ。それがレッドブルのスピリットだ。」

    「我々がやってきたのは、グループとして“純粋なレース”に集中できるようにし、周囲の雑音に気を取られ過ぎないようにすることだけだ。我々が本質的に愛しているのは、マシンをサーキットで速く走らせることだ。その一点に集中し、誰よりも強くプッシュし、その過程を楽しもうとしている。」

    この考え方は、エンジニア出身であるメキースのバックグラウンドとも重なる。彼は、マシンを速くすることに直接つながる要素だけに体系的に取り組みたいと考えており、政治的な駆け引きは必ずしもそこに合致しない。そのため、現在のレッドブルでは、そうした要素が以前よりも前面に出なくなっているように見える。

    そして、この流れはレッドブルだけに限ったものではない。マクラーレンのアンドレア・ステラ、ハースF1チームの小松礼雄、そしてアストンマーティンのエイドリアン・ニューウェイと、近年はエンジニア出身者がチーム代表の役割を担うケースが増えている。それに伴い、公の場での激しい舌戦は徐々に影を潜めつつある。

    トト・ヴォルフはザントフォールトで、「エンターテインメントとしてのF1には、まだ“嫌なやつ”のチーム代表が必要だ」と冗談を飛ばしていたが、2025年後半は、かつてと比べて言葉による戦争が明らかに少なくなっていたのも事実だ。メキースが進める“純粋なレース”への回帰は、そうした時代の変化を象徴する動きと言える。

  • ローラン・メキース レッドブルF1復活の立役者説を否定「私の功績はゼロ」

    ローラン・メキース レッドブルF1復活の立役者説を否定「私の功績はゼロ」

    レッドブルF1のチーム代表ローラン・メキースは、今季中盤からのチームの復調について「自分の功績ではない」と強調した。

    マックス・フェルスタッペンやヘルムート・マルコから称賛を受ける一方で、本人は「成果は全員の努力の積み重ね」と語り、チームの再浮上を“個人の功績”として語ることを拒んでいる。

    エンジニア出身のメキースは、ホーナー前代表の下で培われた強い組織を尊重しながら、より現場主導・ドライバー主導の文化へと舵を切っている。チーム内では、技術部門とドライバーの対話が増え、フェルスタッペンの開発的貢献も再評価されている。2026年の新レギュレーションを見据えた変化の中心に、静かにメキースの存在がある。

    レッドブルF1復活の立役者説を否定「私の貢献はゼロ」
    レッドブルF1のチーム代表ローラン・メキースは、クリスチャン・ホーナーの後任としてチームを再建したとの見方を否定した。

    マックス・フェルスタッペンやヘルムート・マルコからも称賛を受けているが、本人はこう語る。

    「私の貢献は“ゼロ”だよ」とメキースは冗談めかして言う。「でも真面目な話、モンツァでの前進は、毎戦マシンの限界を分析し続けた全員の努力の結果なんだ」

    「どうすれば速くできるか、どこを改善すべきかを探り続けてきた。そして何より、マックスからの非常に明確で的確なフィードバックが功を奏している。これはチームとして最高の状態だと言える」

    技術主導への転換と“共感型リーダー”の誕生
    メキース体制の特徴は、ホーナー時代の“経営主導”から“技術主導+共感型マネジメント”への転換にあるとされる。

    マルコ顧問は「ドライバーの意見をより直接的に反映させる文化が生まれた」と語り、この変化が復調の要因になっていると指摘する。

    F1解説者のラルフ・シューマッハもドイツ『Sky Deutschland』でこう分析した。

    「フットボールと同じで、どんなに優秀な監督でもチームと通じ合えなければ結果は出ない。メキースはエンジニアとして卓越しており、社員が何を求めているかを感じ取る力がある。全員を一つにまとめるタイプの指導者だ」

    ローラン・メキース レッドブル・レーシング チーム代表

    角田裕毅への評価と今後の課題
    メキースは現在、2026年に向けたドライバー体制の助言を担当しており、イサック・ハジャーの昇格や角田裕毅の去就が注目されている。

    「角田は土曜日が良くなかった」とメキースは率直に述べた。「金曜は非常に良い走りをしていたが、結果には現れにくかった。だが内容を見れば正しい方向にあった。問題は予選日で、そこを一緒に分析して改善しなければならない。レース序盤の1周目は完全に失敗だった」

    角田に対しては、週末を通じて安定したパフォーマンスを発揮する“再現性”と、より明確な技術的フィードバックが求められている。
    この課題は、メキースが進める組織改革とも密接に結びついている。

    “共感と技術”が交わる新たなレッドブル像
    ホーナー時代の終焉から数ヶ月、レッドブルは混乱を最小限に抑え、むしろ一体感を取り戻しつつある。その背景には、メキースが推進する「共感と技術の融合」がある。エンジニア出身の指導者が現場と経営の橋渡し役を果たし、ドライバーと開発部門の信頼関係を再構築しているのだ。

    フェルスタッペン主導の開発体制は健在で、チームの士気も明らかに上向いている。2026年の新レギュレーションを見据え、レッドブルは“強い現場が意思決定を支えるチーム”へと進化を遂げつつあり、その中心にいるのがローラン・メキースである。

  • レッドブルF1 ヘルムート・マルコがメキース体制を称賛「技術面で体系的に」

    レッドブルF1 ヘルムート・マルコがメキース体制を称賛「技術面で体系的に」

    レッドブルF1チームのアドバイザーであるヘルムート・マルコは、チーム代表に就任したローラン・メキースの影響力を称賛した。

    フランス人のメキースは、レーシングブルズから7月に加入。前任者クリスチャン・ホーナーが20年にわたる職務の後に解任されたことを受けての就任だった。レッドブルは2023年のタイトルを圧倒的に制した後、マクラーレン、フェラーリ、メルセデスに次ぐ4番手に後退していた。

    しかしメキース就任後の4戦でチームは改善を見せ、直近2戦でマックス・フェルスタッペンが表彰台を獲得、モンツァでは優勝、さらにベルギーではスプリント勝利も挙げている。

    イタリアGP後、マルコはメキースがもたらした変化、とりわけ技術面での功績を強調した。メキースは2000年代初頭にミナルディでレースエンジニアを務めた経歴を持つ。

    「技術チーム全体がよりオープンになり、議論を交わすようになった」とマルコは語った。「シミュレーションが示すことに盲目的ではなくなった」

    これはドライバーのフィードバックを重視する姿勢にも表れている。イタリアGPではチーム内でハイダウンフォース仕様を望む声もあったが、フェルスタッペンはそれに反対。最終的に彼の意見が採用され、ポールポジションからスタートしたフェルスタッペンは2台のマクラーレンを抑えて優勝した。

    「エンジニアがドライバーの声に耳を傾けるようになった。速くて経験豊富なドライバーがいるのだから、それが正しいやり方だ」とマルコは続けた。

    「彼が実際にマシンを走らせるわけであり、トップスピードの改善は重要だ。我々はマクラーレンを引き離せることを証明したし、他の変更点も含めて、ドライバーの意見が反映された」

    ローラン・メキース レッドブル・レーシング チーム代表

    メキースの就任は、F1チームが経営型リーダーではなく元エンジニアをトップに据える最近の流れを象徴する。昨年、ハースはギュンター・シュタイナーを解任して旧トラックサイドエンジニアリングディレクターの小松礼雄を代表に任命。マクラーレンは元フェラーリエンジニアのアンドレア・ステラ、レーシングブルズは元ルノーのレースエンジニア、アラン・パーメインを代表に据えている。

    マルコはオーストリアの放送局Servus TVにこう語った。「彼を任命したのは正しい決断だった。F1の複雑さを考えれば、技術的な専門家をトップに据える方が恐らく適切だ」

    「技術面でより体系的になった。そしてすべてが連動し、ドライバーもプロセスに組み込まれると、結果が出る。クルマ自体は根本的に変わっていないが、このレベルの調整で我々はこうしたパフォーマンスを発揮できる」

    マルコは2025年シーズン残り8戦に向けて楽観的だ。次戦のアゼルバイジャングランプリに続くシンガポールGPは、フェルスタッペンがまだ勝利していない唯一の舞台である。

    「今のスピードがあれば、ほぼすべてのサーキットで実力で戦えるはずだ」とマルコはServus TVに語った。「シンガポールは特別だ。まだ勝ったことがない唯一のレースだからね。でもうまくいくかもしれない。ザントフォールトでも悪くはなかった(フェルスタッペンは2位)」

    「我々はまだ微調整を続けている。さらに改善できれば素晴らしい。選手権は失ったが、あと数勝できればとても嬉しい」

  • F1イタリアGP チーム代表記者会見:バスール、メキース、小松礼雄

    F1イタリアGP チーム代表記者会見:バスール、メキース、小松礼雄

    F1イタリアGP金曜のチーム代表会見には、フレデリック・バスール(フェラーリ)、ローラン・メキース(レッドブル・レーシング)、小松礼雄(ハースF1チーム)が出席した。

    議題は多岐にわたり、ルイス・ハミルトンのペナルティや角田裕毅の去就に加え、100%持続可能燃料の導入、パワーユニットの未来、2026年の規則変更がF1に与える影響まで、長期的なテーマに踏み込む内容となった。

    各代表は、自身のチーム状況やF1全体が直面する技術的・運営的課題について率直に回答した。とくに持続可能燃料やPU開発は、コストと性能のバランスをめぐって重要な論点となり、2026年に向けてチーム運営への影響をどう捉えるかが語られた。

    Q:フェラーリにとって今週は浮き沈みのある展開でした。FP1の結果を見て、現時点でのチームの雰囲気はどうですか?

    フレデリック・バスール:「正直に言うと、雰囲気はポジティブだ。たとえ先週のザントフォールトで厳しい週末を過ごしたとしても――少なくとも金曜日は厳しかった――週末の中で巻き返すことができた。レース自体はダブルリタイアで終わったから、獲得ポイントはゼロだったが、少なくともポジティブな雰囲気と前向きなアプローチを持ち帰ることができた。週末の中で回復できたという実感があったからだ。もうひとつの利点は、モンツァまであまり待たずに済むことだ。つまり月曜の朝にはすでにモンツァに入っていたということだ。全体として雰囲気はとても良いし、月曜の朝から工場前に集まってくれたティフォシからポジティブな後押しを受けていて、これは大きなエネルギーになる」

    Q:FP1の結果について教えてください。最高のスタートを切りましたが、この先の週末も上位にとどまれる自信はありますか?

    バスール:「シーズンやこれまでの経験から言えるのは、FP1の結果から結論を導き出すべきではないということだ――そう願っている。先週はFP1で最下位だったからね。つまり、予選の終わりまで、ましてやレースの終わりまでにはまだまだ道のりが長い。自分たちに集中し続け、マシンとドライビングを改善し、持っているものから最大限を引き出すことに注力しなければならない。だからFP1の結果だけで結論を出すことは絶対にしない」

    Q:シーズン後半はレースに勝ちたいと今週語っていましたが、どのようなサーキットでチャンスがあると考えていますか?

    バスール:「誰もがブダペストで我々がポールポジションを獲れるとは思っていなかった――私自身もね。接戦であることは分かっている。ポールを争えるチームは4つ、多いときにはそれ以上ある。確かにマクラーレンは一歩先を行っているが、誰もが常に安定しているわけではない。彼らが一歩後退する日があるかもしれない。その日に我々がそこにいることが重要だ。だから、このサーキットだとかあのサーキットだとは言いたくない。我々はどこでも力を発揮し、持っているものから最大限を引き出さなければならない」

    Q:最後の質問です。チームは1975年のニキ・ラウダ初タイトルを祝っています。あなたにとってニキはどんな存在でしたか?

    バスール:「ニキは多面的な人物だった。1975年、77年、そして84年にタイトルを獲ったとき、私はまだ若く、彼のファンだった。その後、私がDTMに関わっていたとき、さらにF1に入ってからも、彼と一緒に仕事をする大きなチャンスに恵まれた。これは特権だったと思う。彼はドライバーとしても、チーム代表としても、ビジネスマンとしても、あらゆる立場で成果を上げられる人物だった。まさに象徴的な存在だ」

    Q:ローラン、昨年のモンツァはレッドブルにとって簡単なレースではありませんでした。今年はもっと良い結果を期待できそうですか?

    ローラン・メキース:「我々は通常、FP1の後に過剰な自信を持つことはない。確かに昨年はおそらくシーズンで最も難しいレースのひとつだった。我々が期待していなかった問題に直面し、パフォーマンスを発揮できなかった。誰もそんなレースは好まないが、そのような経験こそが成長につながるし、理解を深める最良の方法だ。今年は、昨年の課題をどれだけ克服できているかを確認する重要な週末だ。FP1を終えただけの現時点ではまだ答えは出せないが、昨年の出来事は我々の頭の中にしっかり残っている」

    Q:セッション後にマックスは何と言っていましたか? 今年のクルマはこのタイプのサーキットに合っていると感じているのでしょうか?

    メキース:「彼は今年のマシン特性と大きな違いを感じていない。ここでは低いダウンフォースレベルで走っているが、それでも今季ずっと扱ってきたのと同じ特性、同じ制約を再び感じていた。ただし、昨年のような追加的な問題に直面しているかというと、今のところその兆候はない。ただし、まだFP1を終えたばかりの段階であり、判断するには早すぎる」

    Q:新しい役職に就いてから2か月ほど経ちました。この間、どこに重点を置いてきたのか、学んだことはありますか?

    メキース:「本当に重要なのは、チームや会社を理解するには時間がかかるということを過小評価してはいけないということだ。1、2か月で分かるものではない。だから、我々がスパで話した通り、できるだけ多くの人と会い、理解を深めようとしてきた。6週間が経ち、少しずつ状況は良くなっている。毎日少しずつチームの仕組みが分かるようになり、毎日新しい人と出会い、組織やフローの理解が深まっている。今はチームと一緒に、次に解き明かすべき課題を整理しているところだ。最初の段階は観察のみだったが、今はチームと共に“何を解き明かす必要があるか”という地図を作り始めている」

    Q:レッドブル・レーシングのチーム代表の仕事は、以前のRBでの仕事とどう違いますか?

    メキース:「数か月前、ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズの代表としても同じようなことを答えたと思うが、究極のパフォーマンスを追求するためには、どれほど極限まで突き詰めなければならないかを見誤りやすい。クルマのあらゆる部分、会社のあらゆる部分を徹底的に突き詰めて、その最後のわずかなラップタイムを絞り出そうとしている。それは投資効率としては低い――多大な労力に対して得られるのはわずかな改善だ。しかし、それこそがトップチームというものだ。週末ごとに答えは単純で、勝ったかどうかだけだ。我々はザントフォールトで2位を獲得したが、それはラッキーというより、実際にはランドが不運に見舞われたから得られた結果だった。だから月曜の朝に自分に問うことはただひとつ、“我々には何が欠けていたのか?”ということだ。メンタリティという意味では、ミッドフィールドとトップの違いはそこにある。究極のパフォーマンスを目標にし、それを達成するまでは“やり切れなかった”という答えになる」

    Q:小松さん、まずはザントフォールトについて伺います。後方スタートからのダブル入賞でしたが、結果にはどのくらい驚きましたか?

    小松礼雄:「そうですね。正直、結果そのものを見れば冷静さを保つのは難しいです。予選で最大限の力を発揮できなかったので、我々の考えは“18番手やピットレーンからどうすれば最善を尽くせるか。チャンスがあればポイントを取ろう”というものでした。予選後のメッセージは明確でした。予選までの流れではスピードを示せていたんです――FP3やQ1の最初のアタックはとても良かった。だからマシンとドライバーに力があることは分かっていたのですが、金曜から予選にかけてチームとしてそれをまとめきれなかった。そこで“日曜は絶対に諦めない。後方からスタートしても、毎周集中して、このレースから最大の結果を引き出そう”と確認しました。レース後は本当にうれしかったです。レース中のコミュニケーションも良く、みんなが協力し合い、集中力を切らさなかった。両ドライバーも非の打ちどころがありません。互いに助け合うためにいくつかお願いしたこともありましたが、2人ともきちんと応えてくれました。実行力は素晴らしかったです。それこそが私が求めていたもので、日曜に達成できたことでした」

    Q:今季のハースには後方から巻き返すパターンが何度も見られます。バーレーンではオリーが20番手から10位に上がりました。こうした成果は、冬に行ったガレージでのオペレーション改善の成果なのでしょうか?

    小松礼雄:「あまり否定的になりたくはありませんが、残念ながら逆の見方もせざるを得ません。後方からスタートして日曜に結果を出すということは、多くの場合、土曜に最大限の力を発揮できていないということでもあります。バーレーンでもチームとして予選で力を出し切れませんでした。マシンの速さがあることは分かっていたし、オリーにもできると分かっていました――エステバンも同じです。オペレーション面では、今年トラックサイドのチームを大きく入れ替えました。全員のパフォーマンスを引き出すには時間がかかると分かっていましたし、今も取り組んでいます。ただ、それを来年ではなく今年にやりたかったのです。来年は大規模なレギュレーション変更があるからです。日曜に結果を出すのは素晴らしいですが、それを全セッションで実行しなければなりません。チーム内のコミュニケーションはとても良好で、全員の方向性も一致しています。今週末もFP1から全員が集中して、マシンとドライバーからすべてを引き出す方法を考えています」

    イタリアグランプリ

    Q:ルイスに自信を与えることは、モンツァ前においてどれほど重要ですか?

    フレデリック・バスール:「それはルイスだけでなく、誰にとっても同じだ。自信は我々の仕事において重要な要素だ。彼はここ2〜3戦、さまざまな理由で難しい週末を過ごしてきた。だからこそ自信を取り戻すことが大事なんだ。今週はミラノでティフォシから多くの後押しを受けたことも、貢献のひとつだったと思う」

    Q:アイザック・ハジャーは自信に満ちているが、今季中の昇格は望んでいないと語っていました。つまり、角田裕毅は今季いっぱいシートを保持するという理解でよいですか?

    ローラン・メキース:「短く答えるなら、そうだ。我々はドライバー決定について時間があると公に明言している。来季に向けて複数のシナリオを考えるだけのドライバーを抱えており、急いで決める必要はない。だからシーズン中に変更する計画はない。裕毅はここ3戦で確実に前進している。もっと欲しいところだが、良い仕事をしている。ザントフォールトでは7戦ぶりにポイントを獲得したし、ブダペストではマックスにかなり近づき、スパではチーム加入後ベストの予選結果を残した。良い流れにあるんだ。もちろん、アイザックの進歩も素晴らしい。直近のレースで見せたパフォーマンスは大きな成長の証だ。それでも我々はドライバー問題についてはリラックスしている。レッドブル側でカードをすべて持っているから、決定には数週間、あるいは数か月かけても構わない。もちろん最後のレースまで待つ必要はない。ドライバーたちに影響を与えるからリスペクトは必要だ。しかし現時点では十分に時間があると考えている」

    Q:来季、そして2027年に向けてどれほど重要な課題でしょうか?

    メキース:「完全に異なるレギュレーションになる。技術的なブレイクスルーだ。なぜならF1が初めて100%持続可能燃料を使用するからだ。これは全ての燃料メーカー、PUメーカーにとって大きな挑戦であり、最大限の性能を引き出さなければならない。確かにコストは発生するが、今はまずその高い要求を満たす燃料を実現し、そこからパフォーマンスを引き出すことが最優先だ」

    バスール:「100%持続可能燃料に移行する挑戦を過小評価すべきではない。F1にとって大きな前進であり、新しい方向性だ。燃料はまだ凍結されていないから、来年の正確なコストを見積もるのは難しい。確かに今季よりは高くなるだろう。ただしこの会合は中長期的な視点で、将来の規則をどう調整しコントロールするかを議論する場だ。コストは確かにあるが、それ以上に持続可能燃料の意義は大きい」

    Q:トト・ヴォルフは、レッドブルのPUプロジェクトは“エベレストを登るようなもの”だと表現しました。プロジェクトの進捗はどうですか? また、来年PUで大きなハンデを背負う心配はありませんか?

    メキース:「トトの言う通り、それはエベレストを登るような挑戦だ。自前でパワーユニットを作るというのは、狂気の沙汰だが素晴らしい挑戦でもある。まさにレッドブルらしい“クレイジーなこと”だ。ただし過小評価はしていない。相手は90年も取り組んできたメーカーたちだ。我々がいきなりフェラーリやメルセデスのレベルに達するとは思っていない。だが最大限のレベルで立ち上げている。人材、インフラを含めて一歩ずつ積み上げている。来年は多くのハードワークと眠れぬ夜が続くだろう。しかしこれはレッドブルらしい挑戦であり、我々はそれを楽しんでいる。数字を挙げて“どのレベルにいる”と言うことはしないが、山を登る覚悟はできている」

    Q:2014年導入のPUと2022年導入のグラウンドエフェクトカーを組み合わせた、この10年のF1技術の進化をどう評価していますか?

    メキース:「このPU世代は地球上で最も効率的なエンジンだ。50%を超える効率をICEとハイブリッドで実現しているのは驚異的だ。批判も多かったが、技術的には素晴らしい。複雑さが予想以上に増したこともあったが、それもF1らしさだ。これまで素晴らしいレースを提供してきたし、技術的にも驚異的だったと思う。次は2026年の規則で、新たな挑戦が待っている」

    バスール:「付け加えることはあまりないが、2014年当時と今とでは認識が全く違う。当時は性能差が大きかったが、今は大きな収束が起きていて、全員が同じ土俵にいる。技術的にも非常に高い水準に達している。ただしコストをコントロールし続ける必要がある。慢心は禁物だ」

    Q:次のPU規則で100%持続可能燃料を使用することになりますが、F1の将来にどんな意味を持つと考えていますか?

    メキース:「持続可能燃料の導入は、F1にとって画期的な挑戦だ。我々エンジニアにとっても、そして燃料メーカーやPUメーカーにとっても大きなテストになる。パフォーマンスを犠牲にせず、この高い要求を満たすことが求められる。コストがかかるのは事実だが、それ以上に未来に向けて価値のある取り組みだ」

    バスール:「大きな一歩前進だ。F1が環境的に新しい方向に舵を切るということだ。コストの課題はあるが、それを上回る意味を持っている。持続可能燃料の開発は中長期的に我々の競技にとって必要なことだ」

    Q:2026年に向けてPUとエアロの規則が同時に変わります。チーム運営にどんな影響を与えると考えていますか?

    小松礼雄:「このスポーツの素晴らしさを示すことになると思います。2014年のPU導入時には走れないチームもありましたし、2022年のグラウンドエフェクト導入時にはほぼすべてのチームが問題を抱えました。それでも短期間で解決しました。だから2026年も最初は大きな混乱があるでしょうが、すぐに解決策を見つけていくと思います。チーム運営としては非常に大きな挑戦ですが、それを乗り越えていくのがF1です」

    Q:ファンからの応援は力になる一方で、プレッシャーにもなります。チーム内部ではどう受け止めていますか?

    バスール:「正直に言えば、私はポジティブに受け止めている。たとえ昨年や今季に苦しい時期があっても、ファンは常に支えてくれた。これは素晴らしい感覚だ。ドライバーに自信を与えることが大事だと先ほど話したが、ミラノで数千人のファンが声援を送ってくれると、ドライバーの自信は大きく高まる。私は35年間レースをやっている。F1だろうとフォーミュラ・ルノーだろうと、自分自身に大きなプレッシャーをかけてきた。だから“プレッシャー”はむしろ前向きなものだと思う」

    Q:マクラーレンは今週末、両マシンのエンジンを交換しました。そろそろPU制限超過のペナルティが出始めると考えますか?

    小松礼雄:「我々はザントフォールトでオリーに5基目を入れました。予選で非常に悪い結果だったので、そこでペナルティを受ける判断をしました。その後P6まで挽回できたのは良かったです。エステバン側は現時点で追加投入の予定はありません」

    バスール:「我々はエンジンに関しては安全な状況だ。1度に複数のエンジンを登録して、後に使うこともできる。だから問題はない」

    メキース:「まだ分からない、と言いたいところだが、実際には大丈夫だと思っている。今週末はマックスに新しいPUを載せたし、裕毅には数戦前に戦略的な交換を行った。だから今のところ問題はないと考えている」

    Q:この世代のグラウンドエフェクトカーについてはどう評価しますか? オーバーテイク促進という目的は達成されたと思いますか?

    メキース:「導入前は批判も多かった。だが結果として、4年間で素晴らしい競争を生んだ。速さは過去最高レベルに近いし、今年も多くのオーバーテイクが見られた。2022年にはほぼ全チームがバウンシングに苦しんだが、それもF1らしい挑戦だった。このクルマは素晴らしいものをもたらしたと思う」

    バスール:「ブダペストでは4チーム6台が0.1秒以内にひしめいていた。それは本物のレースだ。確かにマクラーレンは一歩先を行っているが、タイヤマネジメントも含めてのことだ。コストキャップ下で開発された最初の世代でもある。この4年間は、さまざまなチームが勝利を挙げることができた。良いショーであり、良いスポーツだったと思う」

    小松礼雄:「このスポーツの素晴らしさを示したと思います。2014年には1周もできないチームもあった。2022年にはグラウンドエフェクトで全チームが問題を抱えた。それでも解決し、短期間で収束した。PU面でもシャシー面でも、F1が持つ力を示したと思います。来年はPUとエアロが同時に変わる大きな挑戦です。最初は状況が大きく変わるでしょうが、きっと各チームが解決策を見つけると信じています」

    Q:ルイスのペナルティについて。持ち越しという裁定に不満はありましたか?

    バスール:「“フラストレーション”という言葉が正しいかは分からないが、失望はした。厳しすぎたかどうかは分からない。ただ、日曜の夜にはモンツァに集中することを決め、抗議に時間やエネルギーを費やさないことにした。判定は主観的な部分がある。減速しなければならないのは当然だが、“十分に減速したか”は人の判断次第だ。決定する人物によって結果は変わる。だが仕方がない。我々は週末に集中することを選んだ」

  • アラン・パーメインがメキースを称賛「レッドブルF1は優れた人物を得た」

    アラン・パーメインがメキースを称賛「レッドブルF1は優れた人物を得た」

    新たにレーシングブルズのチーム代表に就任したアラン・パーメインが、レッドブルF1チームの新代表に抜擢された前任者ローラン・メキースを称賛した。

    今月初め、レッドブルは20年間チームを率いてきたクリスチャン・ホーナーの退任を決定。後任として、これまでレーシングブルズを率いていたローラン・メキースをチーム代表兼CEOに任命した。

    2026年に向けて自社製パワーユニットを開発するレッドブル・パワートレインズの指揮も担うことになるなど、メキースには極めて重責が課されている。

    「人の扱いに長けたレーサー」
    アラン・パーメインは英オートスポーツ誌のインタビューで、メキースの人物像と指導力を高く評価した。

    「本当に素晴らしい人物だと思う。人との接し方が上手くて、レースのことを理解している。彼はピュアなレーサーだよ。そして人との関わりに関しては非常に優れている」

    「F1で36年やってきて、数多くのチーム代表と仕事をしてきたが、彼はその中でも最高の一人だ」

    「私にとっても大きな挑戦」
    自身が引き継ぐ立場については、レーシングブルズのファエンツァとミルトンキーンズの2拠点を行き来しながらチームを率いることになると説明した。

    「非常に大きな靴を履くことになる。でも幸運なことに、ファエンツァとミルトンキーンズの両拠点には強力なマネジメントチームが揃っている。私もこの18カ月間その一員として働いてきたから、彼らのことはよく知っているし、移行を支えてくれている」

    レーシングブルズのチーム代表に就任したアラン・パーメインとレッドブルF1のチーム代表に就任したローラン・メキース

    メキース体制でシナジー継続
    レーシングブルズは2026年からレッドブル・パワートレインズ製エンジンの供給を受ける予定であり、メカニカル部品の共有も含めた両チームの連携がさらに重要になる。

    パーメインは、メキースがレッドブルで独自色を出しつつも、これまで築いた関係性がスムーズな連携を後押しすると見ている。

    「ローランとクリスチャンはうまく協力していた。今後もレギュレーションの範囲内で、両チームのシナジープログラムは継続される」

    「私もミルトンキーンズに行くことはあるし、ファエンツァにいることもある。その間は、ミルトンキーンズのテクニカルチームが連携業務を担ってくれるから、特に問題はないと思っている」

    古豪ベネトンからのキャリア
    パーメインは1989年にベネトンでF1キャリアを開始し、その後ルノー、ロータス、アルピーヌとチームが変わる中で中核スタッフとして活躍。2023年夏、オトマー・サフナウアーと共にアルピーヌを離れた後、2024年1月にレーシングブルズのレーシングディレクターとして復帰していた。

  • ローラン・メキース レッドブル新代表としてF1メディアの「ライオンの巣窟」へ

    ローラン・メキース レッドブル新代表としてF1メディアの「ライオンの巣窟」へ

    ローラン・メキースは、今週末のF1ベルギーGPで初めてレッドブル・レーシングのチーム代表として公の場に登場するが、そこでは熾烈なメディアの洗礼を受ける可能性が高いと元F1ドライバーのジョリオン・パーマーが警鐘を鳴らしている。

    メキースは、イギリスGP後に解任されたクリスチャン・ホーナーの後任としてレッドブルの新チーム代表に就任。今回のスパでのレースは、レッドブルのF1参戦以来、ホーナーがチームから不在となる初めてのグランプリとなる。

    このため、メキースは週末を通してメディアからの強い注目と圧力にさらされるとみられており、特に日曜の決勝後に行われる公式記者会見では、その対応ぶりが問われることになる。なお、彼は前職のレーシングブルズではこのような役割を担っていなかった。

    さらに、金曜日のFIA公式記者会見への出席や、F1放送局によるテレビインタビューなど、ホーナーが定例的にこなしていたメディア対応の機会にも登場する可能性がある。

    元F1ドライバーであり現在は解説者を務めるジョリオン・パーマーは、ポッドキャスト番組『F1 Nation』の中で次のように語った。

    「彼はいま、まさに“ライオンの巣窟”へと足を踏み入れようとしていると思う。とても苛烈な1週間になるはずだ」

    「彼はチャンピオンチームに加わったばかりで、レーシングブルズ時代の経験とはまったく異なる環境だ。チームの運営方法も、求められる基準も違う。でも、レッドブルは依然として週末に強さを発揮できる要素を備えている」

    「素晴らしいレース運営体制を持ち、劣勢でも実力以上の結果を引き出せるドライバーもいる。マックス・フェルスタッペンはプレッシャーに強く、スパではいつも速い。チームもスパでの経験が豊富だ」

    「ローランにとって、トップチームでの最初の週末は、まさにF1の本当の姿を体感するものになる。個人的にも、メディアの圧力や注目、質問の嵐にさらされるのは全くの新体験になるだろう」

    「しかも今週末はスプリント週末。すぐにオン・トラックの話題が出てくるし、レッドブルが好スタートを切ることを願うしかない。チームとしても彼を支える準備は整っているはずだ」

    「ここ1年半でレッドブルは大きく揺れ動いた。主要な人材が次々に去り、チーム内部には『次に出ていくのは誰だ?』という空気がある。落ち着かない状況だった」

    「でも、今こそチームが再結束し、ローランのもとで再スタートを切るチャンスなんだ」

  • ローラン・メキース 「F1チーム代表になるなんて夢にも思わなかった」

    ローラン・メキース 「F1チーム代表になるなんて夢にも思わなかった」

    ビザ・キャッシュアップRBフォーミュラ1チームのチーム代表となったローラン・メキースは、レースエンジニアになることが夢であり、実際にはチーム代表になることは「夢」ではなかったと認める。

    2001年シーズンを過ごしたアロウズからミナルディに移籍したメキースは、2002年のほぼF1キャリアのスタートからレースエンジニアを務めていた。

    そして2024年、メキースは、経験豊富なフランツ・トストの後任としてRBのチーム代表に就任した。彼の加入はアルファタウリからの大々的なリブランディングの一環である。

    フェラーリからレッドブルの姉妹チームに移籍してきたフランス人のメキースは、最近ではマラネロに本拠を置くチームの副チーム代表兼レーシングディレクターを務めていた。2023年のハンガリーGPを最後にフェラーリを離れ、現職に就く前にガーデニング休暇に入っていた。

    46歳のメキースがファエンツァのチームで働くのは実際には初めてではなく、2005年にミナルディがレッドブルに買収され、その後RBの元の名前であるトロロッソに改名された当時、彼はまだミナルディにいた。

    買収後、メキースはトロロッソのチーフエンジニアに就任した。彼は数年間チームに留まり、2014年に最終的にFIAのセーフティディレクターに就任した。

    つまり、チーム代表というのはメキースにとって一度も経験したことのない役割であり、おそらく想像もしていなかったことだろうが、少なくとも彼にとっては慣れ親しんだ領域での仕事なのだ。

    メキースはすでにチーム代表としての最初の任務を完了しており、ラスベガスで開催される2024年マシンの発表会に参加した。

    2024 年はメキースにとって探検の年になるだろうが、彼は多くの素晴らしい人々に囲まれていることを嬉しく思っている。

    RB・フォーミュラワン・チーム

    メキーズ 「とても幸運だ」と感じている
    「いや、最初はチーム代表になるなんて夢も思わないものだ」とメキーズはRacingNews365に語った。

    「まず、レースエンジニアが世界で最高の仕事だと今でも思っている。だから、おそらくそれが夢の仕事であり、それしかなかった。そしてもっと真剣に、いや、ご存知の通り、素晴らしい人々、上司、同僚たちこそが、あなたにチャンス、成長する機会、成長することを学ぶ機会を効果的に与えてくれた」

    「そして振り返ってみれば、この数年間にあなたを学ばせ、成長させ、意識的にせよ無意識的にせよ、あなたを導いてくれた人の数を考えるだけだ」

    「これは人材のビジネスであり、人材の質が非常に高く、スキルと経験が非常に集中している環境にいることは非常に幸運だ」

    マネジメントスタイルに関して、メキースは、自分の行動によってチームが個人としてもユニットとしても最高のパフォーマンスを発揮できるようにしたいと考えている。人々を第一に考えることが彼のリストの最優先事項だ。

    「もちろん、私たちが達成しようとしていることの中心に人々を置くプロジェクトだ」とメキースは付け加えた。

    「我々は、これは人間の問題であり、文化の問題だと考えている。そして、我々の従業員が自分自身を最大限に表現でき、望むだけ競争力を発揮できる環境にいることを確保しようと努めている。みんなとても競争心が強い人たちだ」

    「あとは結果だ。組織の構造は、抱えている人材と、彼らと作り上げてきた文化の結果だ」

  • フェラーリF1、アルファタウリ移籍のローラン・メキースの退団を発表

    フェラーリF1、アルファタウリ移籍のローラン・メキースの退団を発表

    スクーデリア・フェラーリは、ローラン・メキースがF1ベルギーGPを前にレーシングディレクターの職を辞任したことを発表した。

    ローラン・メキースは、フランツ・トストの今シーズン終了後の引退を受け、ピーター・バイエルを含む新経営陣の一員として、来年スクーデリア・アルファタウリのチーム代表に就任する。

    今シーズン初めの発表以来、ローラン・メキースの去就は不明で、両チームがリリース日について交渉していた。

    しかし、夏休み前の最終戦を前に、スクーデリア・フェラーリはメキースが即刻退団することを発表し、後任にディエゴ・イオベルノを新スポーティングディレクターに任命した。

    「ローラン・メキースのスクーデリア・フェラーリでの人気は今週で終わりを迎える」とスクーデリア・フェラーリは声明で発表。

    「レーシングディレクターはベルギーにおらず、チームが7勝を挙げた4シーズン半後に跳ね馬を去ることになる」

    「チーム全体が彼の長年の多大な貢献に感謝している」

    「ベルギーGPからピットウォールでのローランの職務の一部は、スポーツティングディレクターに就任したディエゴ・イオベルノが担うことになる」

    「彼はすべてのスポーツ問題を担当し、FIAとも連絡を取り合う。イオベルノは、過去23年間マラネロで働いてきたスクーデリアのベテランメンバーだ」

    「ピットウォールの同僚であるトラックエンジニアリング責任者のマッテオ・トッニナーリ、レースストラテジストのラヴィン・ジェインとともに、彼はチームプリンシパルのフレッド・バスールの直属となる」