ハースF1の小松礼雄代表は、2027年のドライバーラインアップについて「急いでいない」と語った。オリバー・ベアマンとエステバン・オコンはともに今季限りで契約満了を迎える一方、チームはポルティマオで平川亮、レオナルド・フォルナローリ、ラファエル・カマラを起用したTPC(旧型車テスト)を実施。将来に向けた選択肢の評価も進めている。
しかし、小松礼雄は現時点で後任候補の選定を優先する考えはない。
2026年の大規模なF1レギュレーション変更による開発競争のなか、まずはマシン側の問題を改善し、ベアマンとオコンが本来の能力を発揮できる環境を整えることが重要だと強調した。
2027年ラインアップは「急いでいない」
オランダGPの週末、ベアマンとオコンの将来について質問された小松礼雄は、ハースが早期決定を迫られているとの見方を否定した。
「僕たちはまったく急いでいません」
「今はオリーとエステバンという2人のドライバーに集中して、彼らから最大限を引き出そうとしています。彼らには難しいチャレンジがありますよね」
「彼らに何ができるかは分かっています。オリーはそれを何度も示していますし、エステバンもマシンに満足できているときに何ができるかは分かっています」
「ですから、本当に集中しなければならないのは、彼らに可能な限り最高のマシンを提供し、セットアップを適応させて、2人から最大限を引き出すことです。そして、2人のドライバーも完全にそこに集中しています」
小松礼雄の発言からは、今季の成績だけを材料にベアマンとオコンを評価するのではなく、まずチーム側がドライバーの能力を引き出せるパッケージを用意する必要があるとの考えがうかがえる。
平川亮ら3人をポルティマオで比較
一方、ハースは将来に向けたドライバー評価も並行して進めている。
チームはポルティマオで3日間のTPCを実施し、2025年型VF-25を平川亮、レオナルド・フォルナローリ、ラファエル・カマラに走らせた。
32歳の平川亮は、2022年のル・マン24時間レース優勝者で、2020年にはスーパーフォーミュラでランキング2位を獲得。F1ではこれまで6回のFP1出走経験を持ち、マクラーレンやアルピーヌでリザーブドライバーを務めた後、2025年にハースのリザーブドライバーに就任した。
21歳のフォルナローリはFIA F2王者で、2026年6月にもハースのテストに参加している。同じく21歳のカマラはフェラーリ・ドライバー・アカデミー所属で、今季F2では2勝を挙げてタイトル争いを展開している。
今回のテストが直接2027年のレースシート選考を意味するわけではない。ただし、現レギュラー2人の契約が今季限りとなっている状況で、ハースが複数の候補について実走データを収集していることは、今後の選択肢を広げる動きといえる。
「史上最大」の規則変更で開発競争に苦戦
小松礼雄がドライバー評価を急がない背景には、ハース自身が直面している開発面の課題もある。
2026年シーズン序盤、ハースは新レギュレーションへの対応で予想以上の競争力を示した。しかし、シーズンが進んで各チームのアップデートが本格化すると、F1で最小規模の組織であることによる制約が表面化したという。
「これは史上最大のレギュレーション変更です」
「ですから、僕たちは最小のチームなので、開発競争で他の大きなチームについていくのに本当に苦労するだろうと予想していました」
「シーズンのスタートは非常に良かったです。誰もが考えていたよりもはるかに良かったと思います。でも、その時点から先は、これが現実なんだと思います」
「僕たちは制約があるなかで可能な限り速くマシンを開発しようとしていますが、他のチームは僕たちよりも速いペースでマシンにパフォーマンスを加えています。それが現実です」
この状況では、単純な獲得ポイントや順位だけでドライバーを判断することは難しい。マシンそのものの競争力やドライバビリティも含めて評価する必要があるというのが小松礼雄の認識だ。

「チームのみんなに問題があるわけではない」
小松礼雄は、シーズン中盤以降に競争力が低下した責任をスタッフやドライバーに求める考えも否定した。
「正直に言って、チームのみんなに問題があるわけではありません」
「みんな素晴らしい仕事をしていますし、一緒になって取り組んでいます。他のチームについていくチャンスを得るためには、僕たちの場合、すべてが完璧でなければならないんです。本当にすべてです。でも人生では、常にそれを求めることはできませんよね」
小松礼雄はむしろ、チーム代表としてスタッフやドライバーが能力を発揮できる環境を改善することを自身の責任として挙げた。
「僕自身が、彼らにもっと良い環境を提供し、彼らが持っている能力を示せるようにしなければならないと本当に思っています。それは間違いありません」
「でも、こういう厳しい時期には人間性が表れますよね。僕たちには誰かを責めるような文化はありません」
ダウンフォース不足とドライバビリティを分析
現在のハースでは、単に結果が出ないことを問題とするのではなく、その原因を技術的に分解して改善作業を進めている。
「僕たちは問題を見ています。何が問題なのか、どこでダウンフォースが不足しているのか、なぜドライバビリティが良くないのか、ドライバーは何に苦しんでいるのか。全員が同じ認識を持って、問題を解決し、マシンにパフォーマンスを加えようとしています」
「もちろん、それには時間がかかります」
「僕たちが現在進めている多くの取り組みは、実際に成果として現れるまで時間がかかります。でも、自分たち自身とチームワークを信じて、お互いを支え合っていかなければなりません。そうすれば、過去2年間と同じように乗り越えられると思っています」
ハースにとって2027年のドライバー選択は、単純にベアマンとオコンの成績を比較するだけの問題ではない。現在のVF-26が抱えるダウンフォースやドライバビリティの問題を改善したうえで、2人がどこまで能力を発揮できるかを見極める必要がある。
その一方で、平川亮、フォルナローリ、カマラをTPCで走らせることで、将来に向けた比較材料も着実に蓄積している。小松礼雄が「急いでいない」と強調する2027年のラインアップ決定は、現レギュラードライバーの評価と将来候補の検証を並行しながら進められることになりそうだ。










オリバー・ベアマンのキャリアにおける2度目のグランプリ出場機会は、2025年にチームにフルタイムで移籍する前に、ハースF1チームの一員としてバクーで訪れることになる。



オリバー・ベアマンはグランプリデビュー戦で4ポイントを獲得した。