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  • トヨタ、2017年型『TS050 ハイブリッド』を発表 / WEC世界耐久選手権

    トヨタ、2017年型『TS050 ハイブリッド』を発表 / WEC世界耐久選手権

    トヨタは、2017年のFIA世界耐久選手権(WEC)を戦う、全面改良したTS050 HYBRIDを発表した。

    3月31日、北イタリアのモンツァ・サーキットにおいて、2017年を戦う改良型TS050 HYBRIDが、チームの代表者と、今季3台のTS050 HYBRIDをドライブするドライバーによって紹介された。

    今季のTOYOTA GAZOO Racingは、マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの3名が#7号車、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソン、中嶋一貴の3名が#8号車でWECのフルシーズンを戦い、ステファン・サラザンと、新たに加わる国本雄資、ニコラス・ラピエールの3名が駆る#9号車が第2戦スパ・フランコルシャン6時間と第3戦ル・マン24時間レースに参戦する。

    チームの最大の目標は明確であり、2016年にあと一歩というところで逃がしたル・マン24時間レースの勝利だ。そのために、トヨタ東富士研究所とケルンのトヨタモータースポーツGmbH(TMG)の技術陣が一丸となって開発を進め、TS050 HYBRIDのあらゆるコンポーネントに至る全面改良が進められた。

    2017年仕様のTS050 HYBRIDは改良設計された2.4リッターV6ツインターボ過給ガソリンエンジンに、8MJ対応のハイブリッド・システムを組み合わせる構成。東富士研究所によって開発された新型エンジンは、最適化された燃焼室に伴い、シリンダーブロック、シリンダーヘッドなどの主要部品を全面改良し、圧縮比が高められ、更なる熱効率の向上が図られている。

    加えて、ターボチャージャーのサイズ見直しと共にインペラ形状が改良され、応答性と過渡特性の改善によってターボラグは減少。また、インタークーラーは、熱効率の改良により、高温域での性能が向上された。

    ハイブリッド・システムもまた全面改良された。モーター/ジェネレーターユニット(MGU)は更に小型化され、改良された高出力型リチウムイオン・バッテリーと共に軽量化にも貢献している。こうして進化した高度なハイブリッド技術は、市販車にフィードバックされ、一般のお客様へ展開されると共に、将来にわたっての「もっといいクルマづくり」に繋げられる。

    更に、競争力向上を果たすべく、今シーズンのTS050 HYBRIDのシャシーの対しても、トヨタ東富士研究所とTMGの技術陣は、多岐にわたる改善を行った。

    今年、変更されたレギュレーションの目的は、安全性向上のための速度抑制にあり、空力効果を制限することで、ル・マンでの数秒のラップタイムダウンを目指している。具体的には車両フロントの空力部品(スプリッター)の高さを15mm上げると共に、リアのディフューザー幅が大幅に狭められた。

    これに対し、コンピュータによる計算流体力学(CFD)と風洞試験により、TOYOTA GAZOO RacingはTS050 HYBRIDの空力的コンセプトを見直すことで、性能改善するという難題に挑んだ。高くなったフロントノーズと特徴的なサイドポンツーン形状などが主な改良点である。

    昨年は1チーム1シーズンあたり3種類の空力パッケージを使用出来たが、今年は2種類に制限された。今回の発表会にTOYOTA GAZOO Racingは、低ダウンフォースパッケージを持ち込んでいる。また、タイヤの使用セット数も削減される。今季は車両毎に4セットプラス2本のスペアタイヤのみで、予選と6時間の決勝レースを戦うこととなる。チームとミシュランとの協力体制により、新しいコンパウンドと構造を持つタイヤでこの新規定に対応すると共に、サスペンションジオメトリの最適化も進めることで、タイヤ摩耗の低減を行う。

    その他の規則変更点としては、更なる安全対策があり、サイドミラーの後方視界検査が課された。また、ハイブリッドカーにはパワートレーンの状態を示すインジケーターの装着が義務づけられ、レース中に正常を表す緑のライト以外が点灯した場合、その車両はピットで修理を行わなくてはならない。

    2017年仕様のTS050 HYBRIDは、今季既にポールリカール(フランス)、アラゴン(スペイン)、ポルティマオ(ポルトガル)での合計5回のテストで30,000km以上を走破しており、この中では4回の30時間連続耐久走行テストが行われている。

    全面改良された車両と、世界チャンピオン経験者やWECの優勝経験者、そして2人の有望なルーキーという、ドライバーラインナップと共に、TOYOTA GAZOO Racingは勝利を目指して4月16日のイギリス・シルバーストンでの開幕戦に臨む。もちろん、今シーズンは、いずれのサーキットにおいてもライバルの強豪ポルシェ・チームとの激戦になることは間違いない。

    佐藤俊男 TOYOTA GAZOO Racing代表
    WEC合同テストを迎えるにあたり、チーム全員が士気を上げ、今シーズンへの決意を固めています。勝利を目指す我々の気持ちには疑いの余地がありません。しかし、強豪ポルシェ・チームとの戦いは、今年も厳しいものになると認識しています。トヨタ東富士研究所とTMGで構成される我々のチームは、オフシーズンの間に全力を尽くしてTS050 HYBRIDの全面改良を行い、初テストから良い手ごたえが確認出来ています。今シーズン、ル・マンに向けて3台体制で臨むことは、新たな試みであり、我々のル・マン参戦を応援して頂ける皆様方にワクワクする接戦をお届けする絶好の方策でもあると思っています。昨年の衝撃的な結末で経験したように、ル・マンで勝つことは本当に難しいことですが、これこそが我々の目標です。車両の競争力だけでなくチーム、ドライバー全てが目標に向かって確実に仕事をすることが求められ、皆が全力を尽くした末に必ず結果は見えて来ると信じています。

    村田久武 レーシングハイブリッド・プロジェクトリーダー
    “TS050 HYBRID”の名称こそ昨年と同じですが、パワートレーンの全面改良とあらゆるコンポーネントの効率向上を行い、今シーズンの車両は大幅な性能向上を遂げました。TOYOTA GAZOO Racingの最大の目標はル・マン優勝です。トヨタ東富士の開発スタッフは、昨年のル・マン24時間以来、不眠不休とも言うような頑張りを続け、毎ラップごとでも、レース全体を通してでも先頭争いをする性能を発揮できるパワートレーンの開発を行って来ました。本日、ここに、改良ターボチャージャーを搭載した2017年仕様の新しいエンジンと新M/G(モーター/ジェネレーター)ユニット、新バッテリーユニットをご紹介いたします。初テストはとても期待が持てる内容でしたが、更にコンポーネントの最良の適合を継続して万全の準備を整えます。

    パスカル・バセロン テクニカル・ディレクター
    我々のTS050 HYBRIDは今年も全面的なアップデートを果たしました。唯一変更が無かったのはモノコックくらいです。昨年は、幾つかのレースでTS050 HYBRIDのポテンシャルの高さを示すことが出来ました。しかし、我々の目標は更に高いところにあり、そのために大きな空力諸元の変更、性能と重量の点であらゆるコンポーネントの最適化を図りました。昨年のル・マン24時間レースで起きた衝撃は、反面、我々にとって、更なる品質管理の意識向上をもたらしました。リスクをゼロにすることは不可能ですが、今年はリスクの低減を目指しました。オフシーズンテストはまずまずで、パフォーマンスと信頼性の面で満足行く結果を得ていますが、ライバルは強敵であることはよく分かっています。

    ロブ・ルーペン チーム・ディレクター
    今年はWECにおけるTOYOTA GAZOO Racingにとってとても重要なシーズンになりますが、チームはその挑戦へ向けた準備が出来ていると思っています。開発を行ったトヨタ東富士研究所とTMGの技術陣は一丸となってTS050 HYBRIDのあらゆるコンポーネントの改良を図ると共に、第2戦スパと第3戦ル・マンへ向けて3台体制での出場というチャレンジへ向け準備をしてきました。我々の目標は今年も明確です。上位を争うこと、そして最大の目標であるル・マン24時間レースでの勝利と、WECのタイトル獲得です。それは強豪ライバルチームの存在によりとても高い目標であり、ミスも弱点も無く完璧なレベルで戦わなくてはならないことは分かっています。我々は2位になるためにレースを戦うのではなく、勝つためにレースに挑んでいます。困難な挑戦ですが、チーム一丸となって戦えば、絶対にチャンスは来るはずです。

    小林可夢偉 (TS050 HYBRID #7号車)
    昨年は幾つか残念なレースがありましたし、何よりもル・マンでの勝利という最大の目標が果たせませんでした。もしル・マンで勝てていれば、WECのタイトル争いでも大きなチャンスでした。その両方が私の目標です。冬季オフシーズンを終えて、またレースに戻ることが出来て嬉しく思います。2017年仕様のTS050 HYBRIDは見た目もカッコ良いですし、バランスはニュートラルで素晴らしいです。レギュレーションが変更されましたが、大きく損なわれたものはないようで、ホッとしています。現時点で良いパッケージングが出来ていると感じています。

    マイク・コンウェイ (TS050 HYBRID #7号車)
    新しいTS050 HYBRIDをとても気に入っており、現時点での感触はとても良いです。今はライバルがどのレベルにあるのかを知る必要があります。シーズン開幕へ向け、チームやスタッフとの関係も良好です。2015年と2016年に、このチームと共に戦ってきたことで、私は多くを学びました。今年は全戦で表彰台を争うべく、#7号車と共に全力を尽くします。今年は面白いシーズンになるはずですし、新たに#7号車のチームメイトとなるホセも歓迎します。今年が良いシーズンになること、特に最大の目標であるル・マンでの好成績を願っています。

    ホセ・マリア・ロペス (TS050 HYBRID #7号車)
    今年の最大の目標は、可能な限り早く学び、チームと共に最善を尽くすことです。耐久レースでのドライビングは初めてですし、特にコース上の混雑は全く経験したことがないものです。それらの全てが私のチャレンジになり、とても楽しみにしています。シーズンが始まる前に語るのは難しいですが、勝利のために全力を尽くしたいと思っています。今年のTS050 HYBRIDはとても好印象で、LMP1-H車両をドライブするのはとても楽しいです。特にハイブリッド・システムが作動したときはとてつもなくパワフルです。

    中嶋一貴 (TS050 HYBRID #8号車)
    2017年仕様TS050 HYBRIDの第一印象はとても良好でした。実際に、新型車両は特性的にも改良されているように感じられました。タイトルを争えるレベルだと思っていますが、現時点でライバルがどのレベルにあるのか分かりません。我々は昨シーズンもしっかり戦ってきたと思っており、今年もそれを継続し、常に可能な限り最高の結果を出すために戦っていかねばなりません。昨年は結果だけ見ると厳しい1年でしたが、新たなシーズン開幕を前にして、士気は更に高まっています。

    セバスチャン・ブエミ (TS050 HYBRID #8号車)
    新型TS050 HYBRIDの感触は最高です。今年の車両は「進化」と言えます。昨年は「革命」でした。レギュレーションの変更により、多くのダウンフォースを失うこととなりましたが、チームはその影響を最小限にすべくハードワークで対処してくれました。ドライブした印象は良く、シーズン序盤の現時点では、予想以上のレベルにあると思います。今年の目標はル・マンでの優勝しかありません。それだけにとても期待していますし、この冬季オフシーズンでの我々のハードワークが報われ、それぞれのレースで勝利を争えるだけの充分に正しいパッケージであることを願っています。

    アンソニー・デビッドソン (TS050 HYBRID #8号車)
    いつでも新型車に接するときは心がときめきます。レギュレーションの変更がとても大きかったこともあり、車両のパフォーマンスにも影響がありました。その変更が大きかったのが、主に空力面ですが、ここまでエンジニアが素晴らしい仕事をしてくれたおかげで、昨年の車両と比較しても感触は大きく変わっておらず、それは良い状況だと思います。この車両でレースを戦うことを考えるととても興奮します。特にル・マンでどれだけのパフォーマンスを見せられるか楽しみです。今季のLPM1-Hクラスは強豪ライバルとの一騎打ちの戦いとなりますが、我々は勝利を目指してベストを尽くすだけです。

    ステファン・サラザン (TS050 HYBRID #9号車)
    今年も昨年のル・マンでの競争力を再現出来ることを望んでいます。我々はあの時、最速の車両でした。私の願いは再び力強く、勝利のために戦うことです。我々は良いチームスピリットを今も保ち続けていますし、それこそが重要です。我々は3台、別々の車両のクルーではなく、ひとつのチームとして全員で共に戦います。ニコラスと再び共にレースを戦えること、そして新たに雄資というチームメイトを迎えることも楽しみにしています。私は自分の経験を可能な限りチームメイトの全員と共有していくつもりですし、それが目標達成のための最高のチャンスを与えてくれると思っています。

    国本雄資 (TS050 HYBRID #9号車)
    TS050 HYBRIDは運転がとても楽しいレースカーです。昨年の車との比較はできませんが、とても衝撃的だったのは加速とダウンフォースでした。この車両でレースを戦うのが待ちきれません。今はLMP1-Hカーと、新たな経験となるヨーロッパでのレースについて一歩一歩学んでいるところです。毎日がとても刺激的ですが、これからの数週間でやるべき準備がたくさんあることは分かっています。しかし、ステファンとニコラスという、ル・マンでの経験豊富な2人と組めるというのは私にとってとても有意義ですし、素晴らしいことです。

    ニコラス・ラピエール (TS050 HYBRID #9号車)
    TOYOTA GAZOO Racingの一員に戻れるのは最高の気分で、本当に楽しみです。既に多くの温かい歓迎をチーム全員から受けています。懐かしい顔ぶれや新たに加わったメンバーと共に再びレースを戦えるというのは嬉しいことです。#9号車は他の2台とは異なるスケジュールで、最初のレースとなる第2戦スパ、そして第3戦に向けて、集中して準備をしていきます。LMP2クラスで、2年連続のル・マン24時間レース優勝を飾れたのは素晴らしい経験でした。それだけにTS050 HYBRIDと共に今年も続けて表彰台を狙います。

    TOYOTA TS050 HYBRIDトヨタ TS050トヨタ WEC

  • 【WEC】 トヨタ、国本雄資とニコラス・ラピエールの起用を正式発表

    【WEC】 トヨタ、国本雄資とニコラス・ラピエールの起用を正式発表

    トヨタは、2017年シーズンのFIA世界耐久選手権(WEC)に3台目として参戦するTS050 HYBRIDのドライバーに、国本雄資とニコラス・ラピエールが決定したことを発表した。

    国本雄資とニコラス・ラピエールは、既に発表されているステファン・サラザンと組んでTS050 HYBRID#9号車を駆り、第2戦スパ・フランコルシャン6時間と第3戦ル・マン24時間の2戦に参戦する。

    26歳の国本雄資は、日本のSUPER GTにこれまで8年にわたって参戦、耐久レースにおいても十分な経験を積んできている。また、昨年は、トップレベルのドライバーが競う、日本のスーパーフォーミュラにおいてシリーズチャンピオンを勝ち取った。全日本F3のチャンピオンを経てトップカテゴリーに参戦している国本雄資は、今季もSUPER GTとタイトル防衛を目指すスーパーフォーミュラに参戦する。

    32歳のフランス人、ニコラス・ラピエールは、3年ぶりのチーム復帰となる。ラピエールは2012年から2014年までTOYOTA GAZOO RacingでWECシリーズに参戦。トヨタのハイブリッド・レースカーによるWEC初勝利にも貢献した。その後、彼はLMP2クラスに参戦。2度にわたってル・マン24時間レースのクラス優勝を勝ち取ったほか、2016年はシリーズチャンピオンに輝いた。

    この発表により、TOYOTA GAZOO Racingの2017年シーズン参戦体制が全て整った。1月に発表された、#7号車は小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスの3名。#8号車は中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソンの3名の組み合わせで、この2台がシリーズにフル参戦する。

    佐藤俊男 (TOYOTA GAZOO Racing代表)
    第2戦スパ・フランコルシャン6時間と第3戦ル・マン24時間に参戦するTS050 HYBRID 3台目のドライバーとしてニコラス・ラピエール選手と国本雄資選手を迎えることをとても嬉しく思います。すでに発表しているステファン・サラザン選手と合わせ、力強い#9号車のドライバーラインナップが出来たと思います。チームは、ラピエール選手を良く知っており、良い関係を継続して来ています。彼は、速さだけでなくル・マンでの好結果に何が必要かを知ったドライバーであり、即戦力でチームに貢献してくれると思います。国本雄資は昨年、全日本スーパーフォーミュラ選手権でチャンピオンを獲得し、速さと実績を示したドライバーです。WECテストにおいても安定的な速さで走ったばかりでなく、チームプレーにおいても素晴らしい内容でした。彼はWECの耐久レースに要求される条件にも十分適応できる選手だと確信しています。

    国本雄資
    WECへの参戦は夢でした。いつかTOYOTA GAZOO Racingのドライバーとしてル・マン24時間レースに出場することを願っていたので、このチャンスを最大に活かしたいと思っています。TS050 HYBRIDを初めてテストした時は、とても素晴らしく、心から楽しむことが出来ました。LMP1カーでのレース、そしてヨーロッパでレースを戦うのは私にとって新たな挑戦ですが、全力を尽くしたいと思います。そのためにチームやとても経験豊かで速い、ステファンとニコラスという2人のチームメイトから積極的に学んでいきたいと思っています。

    ニコラス・ラピエール
    TOYOTA GAZOO Racingと再びル・マンを戦うことになり、とても嬉しく思います。この機会を与えてくれたチームに感謝します。私がドライブしていた2014年のTS040 HYBRIDから、TS050 HYBRIDはかなり進化しているでしょうから、再びLMP1カーでレースが出来るのをとても楽しみにしています。すぐに第2戦スパを迎えることになるので、全力で集中し、来るシーズンへ向け自分自身の準備も進めなくてはなりません。私はトヨタのドライバーとしてル・マンの表彰台に登ったことがありますが、今年の目標は間違いなくそれを再現することです。

  • トヨタ:ニュルブルクリンク VLN1 予選/決勝レポート

    トヨタ:ニュルブルクリンク VLN1 予選/決勝レポート

    トヨタが2007年からスタートした「ニュルブルクリンクへの挑戦」も、今年で11年目となった。

    「もっといいクルマ作り」の軸を支える重要な活動の1つであり、この10年で様々な変化が生まれた。中古のアルテッツァでの参戦から、LEXUS LFA、トヨタ86、そしてクロスオーバートヨタ C-HRにより参戦が行なわれた。

    特にC-HRはTNGAの進化・熟成なども担っており、「極限でのテスト」がスポーツカーに限らず浸透し始めている証拠にもなった。この10年の経験や知見は、確実に市販モデルにフィードバックされているのである。

    新たな1年目としてスタートとなる2017年のニュルブルクリンクへの挑戦は、「人とクルマを鍛える」原点を見つめなおし、「人を鍛える」面でも、エンジニアのリーダーに今年初めて参加する若手の茶谷を起用したほか、チーフメカニックは2007年からニュルへの挑戦に関わってきた平田が担当。メカニックは5名で、昨年無念のリタイヤ経験したメンバーで構成、2年目の成長への期待はもちろん、リベンジも掛かっている。

    マシンは過去2年参戦しているLEXUS RCとなるが、その経験や反省を活かして大幅な改良を実施。初年度は“あえて”市販車のアイテムを採用してきた部分が多かったが、今年のマシンはパワートレイン、ドライブトレイン、フットワーク、軽量化、空力などに将来のスポーツカー開発のための技術蓄積を行なうためのスペシャルアイテムを投入するなど、これまで以上にエンジニアリングにも力が入っており、エンジニアの人づくりにも大きく貢献している。そういう意味では、LEXUS RCによるニュルブルクリンク挑戦「3年目の集大成」と言えるマシンと言ってもいい。とは言え、クルマづくりは全て順調だったわけではない。2016年末に行なわれた火入れ、シェイクダウン、国内テストでは様々なトラブルが発生。エンジニア・メカニックの力で解決すべき多くの課題は毎回数多く見つかった。それらを1つ1つ確実に修正・調整を行ない、国内最終テストでは2016年仕様よりも6秒速いタイムを記録。3名のドライバーからも「温度も安定」、「乗りやすい」とポジティブな意見が数多く聞かれた。

    国内テストを終えたマシンは海を渡り、ドイツ・ニュルブルクリンクへ。3月25日に行なわれたニュルブルクリンク耐久シリーズ第1戦(VLN1※)へ参戦した。

    ここでのミッションはニュル24時間に向けた様々なトライやデータ取り、そして実戦経験で人の動きや改善点を洗い出すこと。つまり、「クルマ」と「人」の実戦テストである。今回のドライバーは松井孝允/蒲生尚弥選手の2名での参戦。

    ※VLNはニュルブルクリンクで年間11回開催されている耐久レースシリーズの事で、3-4月に開催されるVLN1/VLN2には、ニュル24時間に向けたテスト/調整を兼ねて参戦を行なうチームも多く、TOYOTA GAZOO Racing も毎年エントリーを行なっている。

    前日の練習走行は、クルマの状況やコースの状況を見ながらセットアップに専念。空力やサスペンション、トランスミッション、燃料マップなどを、ニュルのコースの特性に合わせて様々なセットアップをトライ。2名のドライバーの評価を反映しながらクルマを仕上げていった。

    迎えた3月25日の8時半、快晴の天気の中でスタートした予選もタイムアタックが目的ではなく、前日同様にセットアップに専念。セットアップを変更する度にクルマは良い方向に仕上がっていたようで、ドライバーからは「マシンは速い上に安定して乗りやすい」と言う高い評価も。結果は8分56秒073と9分台を切るRC最速タイムを記録、更にSP3Tクラストップも獲得。クルマの仕上がりが結果になって現れてきた。

    12時から行なわれた4時間の決勝レースは松井→蒲生→松井→蒲生の順番で走行。トラブルもあった国内テストとは打って変わり、ルーティン以外にピットインをする状況も発生することなく順調に周回を重ねる。その結果、スタートから1回もトップを譲ることなく4時間を走り切り、クラス優勝を獲得。しかし、大事なのはこの順位ではなく、順調に周回を重ねたことで、ニュル24時間に向けた多くのセットアップや様々なデータの収集ができたことが大きい。

    マシンの仕上がりに満足する一方で、メカニックにはいくつか反省があり、コミュニケーション不足や作業後の報告、共有の漏れ、レース現場での焦りや時間の無さによる確認ミスなども見られた。しかし、チーフメカニックの平田の指摘の前に、メカニック自身も課題としてシッカリと認識しているようで、次回に向けて確実に改善が行っていくはずである。

    このプロジェクトはレースに勝つ事が目的ではないものの、LEXUS RCの参戦するSP3Tクラスは強豪揃いの激戦区の1つであることから、VLN1で得られた知見やドライバーからのフィードバック、そして各々の反省を踏まえ、短い期間の中で更に乗りやすいクルマに改善と対策を実施。ニュル24時間に向けて更なるステップアップを行なう。

    松井孝允
    今年のVLN1は最初からクルマの限界で走ることができたので、ニュル24時間に向けてのいいスタートが切れました。国内テストでは、ニュルのコースを想定したセットに仕上げたつもりでしたが、実際にニュルを走ると準備が足りなかったように感じます。しかし、今回は数多くのメニューをこなすことができたので、乗りやすいクルマに仕上げることができました。去年悔しい想いをしましたが、今年はクルマの仕上がりを考えると、結果もシッカリついてくると信じています。

    茶谷チーフエンジニア(トヨタ自動車社員)
    練習走行から大きなトラブルなくレースでは優勝できましたが、それよりもニュルブルクリンクで車両としても、チームとしてもいろいろ試せた事が大きいです。長時間での車両評価、私のレース経験が共に初だったので常に緊張していましたが、これまでのチームの頑張り、成果が今回の結果で現れたと思います。しかし、我々の目標は今回のレースでのテスト結果をニュルブルクリンク24時間レースにつなげること、メンバーが得られた技術を市販車につなげる事。それを忘れてはいけません。今回のレースでは自分が任された作業でのミスがありましたがチームに助けられました。このミスもしっかり次に繋げたいです。

    平田チーフメカニック(トヨタ自動車社員)
    予選からのセット変更も実施する度にクルマもよくなっていますし、結果もよかったのでメカニックたちのモチベーションにも繋がっていると思います。彼らは2年目でクルマの整備や準備がシッカリできていますし、困った時に手助けもできるのですが、作業時の合図や各々のコミュニケーションが不足していることや、自分がすべきことを考えて自主的に動けていない事がまだまだ多いです。2年目のメンバーですが、成長して欲しい部分はまだまだあります。

  • 【WEC】 トヨタ、3台目のドライバーはニコラス・ラピエールと国本雄資?

    【WEC】 トヨタ、3台目のドライバーはニコラス・ラピエールと国本雄資?

    ニコラス・ラピエールが、2017年のトヨタのル・マン24時間レースで、ステファン・サラザン、国本雄資とともに3台目のトヨタ TS050ハイブリッドを走らせると報じられている。

    フランスのメディアは、2012年から2014年中盤までトヨタからWECに参戦していたニコラス・ラピエールがトヨタに再加入する契約を結んだと報道。

    トヨタは、ル・マン24時間レースを3台体制で挑むことを発表しているが、3台目のドライバーはステファン・サラザンしか発表されていない。

    当初は、スーパーフォーミュラのチャンピオンである国本雄資、そして、トヨタの育成ドライバーである平川亮が3台目のドライバーを務めると報じられていた。

    しかし、4月1日にモンツァで行われるWECプロローグ(公式テスト)と同日に開催されるスーパーフォーミュラの合同テストのエントリーリストには、国本雄資の名前はないものの、平川亮はTOM’Sのドライバーとしてエントリーされている。

    トヨタは、他のカテゴリーに参戦させるドライバーであっても、モンツァでのWEC公式テストを優先させると主張しており、実際に中嶋一貴と小林可夢偉はスーパーフォーミュラのテストには参加しない。

    国本雄資は、アラゴンで行われたテストで、ステファン・サラザンよりも速いラップを刻んだとされている。

    一方、今年、Gドライブからヨーロピアン・ルマン・シリーズに参戦する平川亮は、ドラゴン・スピードのオレカ07でル・マン24時間に参戦すると見られている。

    トヨタは、モンツァテスト前日の31日(金)に9名のドライバー全員とともに2017年型のTS050ハイブリッドを発表する。

    【WEC】 トヨタ、国本雄資とニコラス・ラピエールの起用を正式発表
    【WEC】 トヨタ、国本雄資とニコラス・ラピエールの起用を正式発表

  • 足立さやか、フィンランドラリー選手権第3戦で初の表彰台

    足立さやか、フィンランドラリー選手権第3戦で初の表彰台

    TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムにてコ・ドライバーとしてフィンランドラリー選手権に挑戦中の足立さやかが、3月10-11日に開催されたフィンランドラリー選手権第3戦、Tahko SM-Ralliにドライバーのヤルッコ・ニカラと共にスバルインプレッサWRXで参戦。クラス3位、総合3位で初の表彰台を獲得した。

    同選手権今シーズン最後のスノーラリーとなるTahko SM-Ralliは、Tahkoスキーリゾートを中心に、フィンランド東央部のNilsiäで開催され、スペシャルステージ(SS)6本、総SS距離104.32㎞を含む全292.15㎞の行程で154台が競いあった。コースはワイドセクションとナローセクションが混在し、ハイスピードからナローセクションに侵入するコーナーなど、非常にテクニカルな設定。ペースノートの精度の高さ、最適なタイミングでの読み上げなどが要求され、選手にとって大きなチャレンジとなった。

    SS1でトップタイムを出し、好調なスタートを切ったニカラ・足立組は、SS2以降も常に総合3位のポジションをキープし、各ステージでのトップとの差は1~3秒台という僅差の戦いを繰り広げた。最終SSは32.83kmと本ラリー最長で、さらに順位が上がることも期待されたが、ニカラ・足立組のスタート直前で競技が中断され、二人はスタート位置で45分間足止めされた。日没が近づいて路面の凍結が始まり、さらに通常のライトのみで薄暗い中での走行を強いられたクルーは、そんな中でも最後のアタックを試みたが、ステージ後半にエンジン不調も重なり、スローダウンを余儀なくされた。しかし、最後まで慎重に車を運び、クルーにとって初めての表彰台を獲得した。

    各ステージで記録されたトップタイムの平均時速が120.4㎞/hというハイスピードの本ラリーで、ライバルたちが格上のR5車両を使用している中、R5より速度が落ち、重量のあるR4車両でニカラ・足立は大いに健闘し、また新しい学びを得た一戦となった。

    足立さやか
    今回のラリーはハイスピードセクションとナローセクションが混在していたのでとてもノートが大事だと思い、レッキの段階から慎重にノートを作りました。それでもラリーでは読み遅れてしまう箇所が何か所かありましたが、そこはヤルッコのドライビングと経験が私を助けてくれました。このラリーを通じてまた新しい発見があり、様々な工夫をお互いに話し合う事ができて、回を重ねるごとに彼を理解できるようになりました。次戦は私たちにとって初めてのグラベルのラリーなので、事前にグラベルでのレッキトレーニング、ドライビングテストを行い、準備を入念にしたいと思います。

    ヤルッコ・ニカラ
    今回はハイスピードからナローセクションに入る際などブレーキのタイミングが難しかったのですが、サヤカは自分に合わせてくれたし、どんどんフィンランドのリズムに慣れてきています。サヤカのリーディングなしにあれだけ速く攻めることはできませんでした。もちろんまだいくつかの改善ポイントはありますが、走行を重ねるごとにフィーリングが合ってきているのを感じます。

    ヨウニ・アンプヤ(チーフインストラクター)
    このラリーはとてもハイスピードでテクニカルなコース設定のため、ペースノートが勝敗を大きく左右します。まだ新しいコンビにとって、学ぶことの多い、良いラリーでした。このラリーをR4でR5の上位車と互角で戦えたことは素晴らしい成果であり、ハイスピードでのサヤカのペースノートのリーディングが正しく行えていたからとも言えます。細かいセクションでのリーディングのタイミングやロードセクションでの誘導など、改善すべきポイントはまだあります。これからもコ・ドライバーとしての経験を多く積み、スキルを磨いてほしいと考えています。

  • トヨタ:2台のヤリスWRCが揃って入賞 / WRCメキシコ 結果

    トヨタ:2台のヤリスWRCが揃って入賞 / WRCメキシコ 結果

    3月12日(日)、2017年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦ラリー・メキシコの競技最終日となるデイ4がレオンを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #10号車)が総合6 位でフィニッシュ。

    ユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム組(ヤリスWRC #11号車)も総合7位で完走し、今シーズン初めて2台のクルーが揃って10位以内に入り、ポイントを獲得した。

    ラリー最終日はサービスパークが置かれるレオンの東側エリアで、2本計54.90kmのSSが用意された。そして、最終ステージのSS19はトップ5のタイムを記録したクルーに対しボーナスのポイントが与えられるパワーステージに設定された。TOYOTA GAZOO Racing WRTのハンニネンは、7位ラトバラに0.3秒差の6位で最終日をスタート。しかし体調が優れなかったこともあり、最初のSS18でラトバラに逆転を許し7位に後退。ラトバラは6位に浮上し、そのままの順位で最終ステージのSS19を走りきった。この結果、今季初めて2台揃ってトップ10内でフィニッシュし、ドライバーズポイントと、コ・ドライバーズポイントを獲得。ラトバラ/アンティラ組は順位をひとつ落としながらも選手権2位につけ、ハンニネン/リンドストローム組は11位となった。また、TOYOTA GAZOO Racing WRTは、マニュファクチャラーズ選手権で2位のポジションを堅持した。

    今回のラリーではメキシコの特徴である高い気温と、高い標高というふたつの要素が組み合わさった結果、競技2日目にはチームはエンジン温度の上昇という難題に直面した。しかしスタッフ全員の努力と貢献により、競技3日目以降問題は解決し、最終日には選手たちが心から満足できる状態までヤリスWRCを進化させることに成功。タフなコンディションのラリーを走破したことで、TOYOTA GAZOO Racing WRTはさらに多くの事を学び、将来に向けて貴重な経験を蓄積した。

    WRC次戦は、4月6日から9日にかけてフランスのコルシカ島で行なわれる第4戦ツール・ド・コルス。コルシカ島の島全体が舞台となるこの伝統の1戦は、シーズン最初の完全なターマックラリーである。コルシカ島のツイスティな舗装路は平均速度こそ比較的低いが、ミスに対しては寛容ではなく、選手たちは正確なマシン操作を求められる。4月のコルシカ島は天候変化が読みにくいため、選手とチームはあらゆるコンディションに対応できるように、入念な準備を行う必要がある。

    トミ・マキネン(チーム代表)
    モンテカルロ、スウェーデンと開幕から2戦連続で素晴らしい結果になりましたが、今回のメキシコは、我々が今年直面するであろうと事前に予想していたような結果になりました。しかし、難しい状況を乗り越え、ふたりのドライバーが初めて同時にドライバーズポイントを獲得したことに満足しています。今回の結果、そして我々にとって初めてのグラベルラリー参戦から多くの情報を得られた事を嬉しく思います。今回我々が学んだことは、将来必ず役に立つでしょう。今回は非常にトリッキーなラリーだったにも関わらず、2台のクルマを完走に導いたドライバー、コ・ドライバー、エンジニア、そしてメカニックの貢献に心から感謝します。

    嵯峨宏英(チーム副代表)
    前戦スウェーデンでは素晴らしい結果を残すことができましたが、気温と標高の高いメキシコ戦は、これまでとは違う試練を我々に与えるであろうと予想していました。事前に想定テストを行ない、万全の準備をして臨んだものの、我々の予想を超える試練が待っており、とても厳しい戦いとなりました。競技2日目には、オーバーヒートに苦しみましたが、エンジニア・メカニック一丸となって、限られた時間の中で対策を施し、最終日のSSでは、それらの対策が効果的であったことを確認できました。そして、クルー達がゴールまで無事にそのクルマを走らせ続けてくれました。こうした一つ一つの経験が、ヒトを鍛え、クルマを強くしてくれるのだと思います。今回も、学びの大変多いラリーとなりました。ラリーは、お客様が普段使っている道が舞台です。その道で、全力を尽くし、極限の状態でクルマを学ぶことが「もっといいクルマづくり」に繋がっていくと改めて強く感じます。この4日間、現場でチームの皆と過ごす中で、多くの地元のファンの方に暖かい声援を頂き、とても嬉しく思います。また、日本からも心温まる応援メッセージをいただきました。ファンの皆様に感謝いたします。次戦も、応援をよろしくお願い致します。

    ヤリ-マティ・ラトバラ(ヤリスWRC#10号車)
    ラリー・メキシコでは5位以内に入ることが目標でした。1つ及ばず6位という結果でしたが、今回我々が序盤に直面した困難は予想を超えたものでしたし、またパワーステージでボーナスポイントを獲得できたので、嬉しく思います。そして、ドライバーズとマニュファクチャラーズの両選手権では、依然良いポジションにつけています。今日は最初のSSの滑りやすいセクションでスピンし10秒を失ってしまいましたが、それまでは今回のラリーで最高のフィーリングでした。あのスピンがなければかなり良いタイムを記録することができたと思いますが、重要なのは最後に満足できる状態にまでクルマを持っていけたことです。4日間の戦いを通して、我々は一段と成長することができたと思います。

    ユホ・ハンニネン(ヤリスWRC#11号車)
    体調不良により、私にとってはスタートからフィニッシュまで辛いラリーでしたが、今シーズン初めてリタイアすることなく、10位以内で走り切り、ポイントを獲得することができたことを嬉しく思います。ヤリ-マティを0.3秒リードして最終日を迎えたのは良い経験でしたが、彼のほうが速く、残念ながらリードを守ることができませんでした。ラリー・メキシコで今回我々が体験した事は、自分たちとチームの将来にとって大きなプラスになるでしょう。また、このラリーでは今年初めて木に当たらずに最後まで走ることができ、この年齢になっても自分がまだ成長し、多くを学んでいると実感することができました。

    【WRC】 ラリー・メキシコ 結果:クリス・ミークが優勝
    WRC ラリー・メキシコ 結果

  • トヨタ:エンジン温度上昇の問題は解決 / WRC ラリー・メキシコ デイ3

    トヨタ:エンジン温度上昇の問題は解決 / WRC ラリー・メキシコ デイ3

    3月11日(土)、2017年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦ラリー・メキシコの競技3日目デイ3がレオンを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #10号車)は、前日よりもふたつ順位を上げ総合6位に浮上した。

    また、ユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム組(ヤリスWRC #11号車)は、ラトバラとわずか0.3秒差の総合7位で長い1日を走りきった。

    ラリー・メキシコの競技3日目デイ3は、サービスパークが置かれるレオンの周辺で9本、計157.57kmのSSが行われた。前日のデイ2は気温が高かったため、ヤリスWRCを含む多くのクルマのエンジンに温度上昇の問題が発生した。TOYOTA GAZOO Racing WRTのエンジニアは問題の原因を探り、デイ3に向けてエンジンのマッピングを変更するなど入念な対策を実施した。その結果ヤリスWRCは2台とも大きな問題を発生することなくデイ3を走行。午後のステージでは降雨を予想してソフトタイヤを選択したが、雨は降らずクルマ本来のパフォーマンスを完全に発揮させることができなかった。また、ラトバラはSS11の終盤コーナリングラインが膨らみ、タイヤが岩に当たりパンクをしたが大事には至らず。前日の8位から6位にポジションを上げた。前日総合4位のハンニネンは、体調を崩しながらも着実な走りでラトバラと0.3秒差の7位につけ、TOYOTA GAZOO Racing WRT は2台揃っての完走、そしてポイント獲得という目標に向かって大きく前進した。

    ラリー・メキシコでは毎年、「暑さ」と「薄い空気」が大きな問題となる。ラリーの中心となるレオンの気温は3月でも30度前後に到達。エンジンと、ブレーキに特に厳しいラリーとして知られている。今年からWRカーのレギュレーションが変更され、エンジンの出力が従来よりも大幅に上がったため、冷却はさらに厳しくなった。また、メキシコはWRCの中でもっとも標高が高いエリアが舞台となり、SSの最高地点は2,700mを超える。高地では空気中の酸素量が減るため、エンジンは20~25%程度のパワーダウンを余儀なくされる。エンジンエンジニアにとって、メキシコはもっとも難しく、そして挑戦のしがいがあるラリーなのである。

    明日の最終日デイ4は、サービスパークが置かれるレオンの東側エリアで2本のSSが行われる。SSの合計距離は54.9kmと短いが、最終ステージのSS19は、上位タイムを記録した選手に対しボーナスポイントが与えられる、パワーステージとなる。

    トミ・マキネン(チーム代表)
    チームスタッフの素晴らしい働きにより、昨日発生したエンジン温度上昇の問題は解決されました。しかし、今日はタイヤ選択とパンクによりやや遅れをとってしまいました。ヤリ-マティとミーカは彼らができる中で最善を尽くして戦い、ユホは体調不良にも関わらずよく頑張ったと思います。明日はラリー最終日となりますが、2台揃って完走し、ドライバーズポイントとマニュファクチャラーズポイントの両方を獲得する事が我々の目標です。すべての状況を考えると、我々の今日までの戦いには満足しています。

    ヤリ-マティ・ラトバラ(ヤリスWRC#10号車)
    昨日発生したエンジン温度上昇の問題をエンジニアとメカニックが解決してくれたおかげで、今日は1日を通してクルマの調子が良く、昨日よりもエンジンのパワーを上げて走ることができました。ただし、タイヤの選択については正解ではありませんでした。午後は雨が降ると予想してソフトタイヤを選んだのですが、結局雨は降らず、タイヤが路面に対して柔らかすぎたため、摩耗が進んでしまったのが残念でした。明日の最終日は現在の順位を守り、パワーステージでも良い走りをしてなるべく多くのポイントを獲得したいと思います。

    ユホ・ハンニネン(ヤリスWRC#11号車)
    ヤリ-マティと同じように、私も午後のステージではソフトタイヤを選び摩耗に苦労しました。また、どれだけ走りに影響したのかは分かりませんが体調も優れず、走行中はまだ良かったのですが、SSをフィニッシュしてクルマを止めると具合が悪くなってしまいました。ただし、チームのサポートにより午後はだいぶ回復しました。ヤリスWRCは、エンジニアとメカニックの努力により、今日は1日を通して問題なく走ることができ、走行距離を増やすことができました。多くのデータが蓄積されたことで、今後は同じようなコンディションに対して、より正しく対処することができるでしょう。

  • トヨタ:ユホ・ハンニネンが4位につける / WRCラリー・メキシコ デイ2

    トヨタ:ユホ・ハンニネンが4位につける / WRCラリー・メキシコ デイ2

    3月10日(金)、2017年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦ラリー・メキシコの競技2日目デイ2が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム組(ヤリスWRC #11号車)が4位につけた。

    また、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #10号車)は前日と順位は変わらず、8位でデイ2を走りきった。

    9日(木)の夜にメキシコシティのストリートステージで開幕したラリー・メキシコは、サービスパークがあるレオンの近郊で10日の午前中に競技が行われる予定だった。しかし、ラリーカーをメキシコシティからレオンへと運搬するトランスポーターが、予期されていなかった道路閉鎖に伴う交通渋滞により10日朝までにレオンのサービスパークに到着しなかったため、大会主催者はデイ2午前中のSS2とSS3をキャンセルすることを決断。そのため、デイ2の競技はSS2の再走ステージとして設定されていたSS4から始まることとなり、午後4時14分に競技がスタートした。SS4をスタート後しばらくすると、両ドライバーはエンジン温度の上昇に気がつき、温度を下げるため、通常はリエゾン区間で使用する出力を絞ったロードセクション・モードに切り替えながら走行。そのためタイムをロスしたが、それでも5本のSSを走りきりサービスパークへと帰還した。チームは温度上昇の原因究明と対策に全力で取り組み、早期の問題解決を目指す。

    シーズン最初のグラベルイベントであるラリー・メキシコは、SSの出走順がタイムに大きな影響を及ぼす。ドライコンディションのグラベルロードは、道の表面に滑りやすい小さな砂利やダストがたまっているため非常に滑りやすい。しかし、何台か競技車両が走行すると路面はクリーンになりタイヤのグリップ力が高まる。つまり、ドライのグラベルコースでは、出走順がはやい選手がどうしても不利になるのだ。ラリー・メキシコでは、最初のグラベルステージとなるデイ2の出走順はここまでのドライバーズ選手権のランキング順となり、選手権トップのラトバラはもっとも不利な先頭走者を担った。そのため、タイムロスを避けることは不可能に近かった。

    明日のデイ3は、サービスパークが置かれるレオンの北〜東にかけてのエリアで9本のSSが予定されている。まず午前中に3本のグラベルステージを走行し、選手は1度レオンのサービスパークに戻り30分間のサービスを受ける。その後、午前中に走行した3本のSSを再走した後に、レオンのミニサーキットで2本のスーパーSSを戦う。そして、1日の最後にはサービスパークすぐ横のストリートステージを走行する。全9本のSSの合計距離は157.57km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は347.54kmとなる。

    トミ・マキネン(チーム代表)
    高い気温、そして高い標高という、ふたつの難題が重なるラリー・メキシコは、我々にとって大きな挑戦になるだろうと思っていました。今日、2台のクルマに起こった問題に関しては、幸運にも解決の糸口が見つかったと信じています。そして、困難な1日だったにも関わらず、2台のクルマがSSを走りきりサービスパークに戻って来たという事が何よりも重要です。ユホは4位と表彰台が見える位置につけ、ヤリ-マティも難しい状況で良い仕事をしました。明日も彼らの頑張りに期待したいと思います。

    ヤリ-マティ・ラトバラ(ヤリスWRC#10号車)
    デイ2は、タフな1日になるだろうとあらかじめ覚悟していましたが、こんなにタフになるとは!というのが正直な感想です。走行距離が長いエル・ショコラテ(SS4)では、どうしてもエンジンの温度が上昇しやすいのですが、今日も走行中に温度が上がってしまったため、ロードセクション・モードに切り替えて温度が下がるのを待ち、その後ステージ・モードに戻すという操作を繰り返しました。また、他の距離が短いSSでも多少温度が上がる傾向が見られました。このようにいくつか問題は起こりましたが、大切なのは1日を走りきりサービスパークに戻ってきたということです。明日が、今日よりも良い1日となることを期待しています。

    ユホ・ハンニネン(ヤリスWRC#11号車)
    今日のデイ2はとても大変な1日となり、出走順のアドバンテージをうまく結果に結びつけることができませんでした。出走順が後方だったので良いコンディションの道を走れたはずなのですが、それでも路面があまりにも滑りやすかったことにショックを受けました。もしかしたら選んだタイヤが今日の路面に対しては硬すぎたのかもしれません。また、ヤリ-マティと同じように、私のクルマのエンジンも温度が上がってしまいました。でも、エンジニアとメカニックが一丸となって、明日までに問題を解決してくれると信じています。

  • トヨタ:ユホ・ハンイネンが首位発進 / WRCラリー・メキシコ デイ1

    トヨタ:ユホ・ハンイネンが首位発進 / WRCラリー・メキシコ デイ1

    3月9日(木)、2017年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦ラリー・メキシコが開幕。メキシコの首都であるメキシコシティでSS1が行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム組(#11号車)がベストタイムを記録し、首位に立った。

    一方、第2戦ラリー・スウェーデンの勝者であるヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #10号車)は、総合8位につけている。

    ラリー・メキシコ初の試みとなる首都メキシコシティでのSS1は、市中心部の歴史的地区「ソカロ」に設けられたターマック(舗装路)の市街地ステージが戦いの舞台に。全長1.57kmのコースを2回走行し、その合計タイムがSS1の結果となる。大勢の観客が見守る中、競技は夕方6時過ぎにスタート。走行1回目は雨で滑りやすいコンディションとなったが、比較的雨が弱い時に走行したハンニネンがトップタイムを記録。その後雨量が増え、ラトバラは8番手タイムで1回目の走行を終えた。2回目の走行が始まる頃には雨は止み、路面は徐々に乾いていった。ハンニネンは落ち着いた走りで5番手タイムを記録。2回の走行の合計タイムで総合トップに立った。また、ラトバラは2回目の走行でも8番手タイムを記録し、総合8位で競技初日を走りきった。

    メキシコシティ中心部のソカロは、歴史的な建造部に囲まれた広場である。最近では映画、007シリーズ「スペクター」のオープニングで激しいアクションシーンの舞台となった。そして、今回のラリー・メキシコでは映画に負けないぐらいスペクタクルなラリーショーが、大観衆の前で展開された。ソカロでのSS1のために、ラリーカーは8日夜にラリーのホストタウンであるレオンから積車で約400km陸送された。また、選手たちは9日の早朝チャーター機でメキシコシティに飛んだ。そしてSS1の終了後、ふたたび飛行機でレオンに戻るというハードなスケジュールとなった。しかしメキシコシティでのSS1は大成功に終わり、ラリー・メキシコの歴史に新たなる1ページが書き加えられた。

    競技2日目となる明日のデイ2は、サービスパークが置かれるレオンの周辺でグラベルステージが行われる。SS2と、その再走ステージであるSS4「エル・ショコラテ」は今大会最長となる54.90kmのコース。また、SS6はかつて銀鉱で栄えたグアナファトの市街地でのストリートステージで、選手たちは狭い地下道の舗装SSを走行する。そして1日の最後にはミニサーキットでのスーパーSSが2本用意されるなど、コースは実にバリエーション豊か。SSは全7本でその合計距離は154.85km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は418.82kmとなる。

    ヤリ-マティ・ラトバラ(ヤリスWRC#10号車)
    SS1のように距離の短い市街地SSは、リスクを冒して走っても大幅にタイムを縮めることが難しいので、とにかく注意して走りました。重要なのは大勢の人に素晴らしいショーを楽しんでもらえたということです。1回目の走行は雨でコースが濡れていたため非常に滑りやすく感じましたが、2回目はかなり乾いていました。長い移動の1日が終わり、明日からが本当の意味での競技スタートになります。

    ユホ・ハンニネン(ヤリスWRC#11号車)
    走行1回目は雨で路面が濡れていましたが、タイヤは思っていたよりもグリップしました。とにかくミスを犯さないように気をつけて走りましたが、ヤリスWRCのフィーリングはとても良く、運転が簡単に感じられました。それでもトップタイムを記録し、初めて自分がWRCの総合首位になった事に驚いています。素晴らしいマシンを用意してくれたチームに感謝したいですね。ラリーは明日からが本当の戦いとなりますが、幸いにして朝がそれほど早くないので、今晩はゆっくりと休んでリフレッシュし、自信を持って明日の戦いに臨みたいと思います。

  • トヨタ:WRC 第3戦 ラリー・メキシコ シェイクダウン レポート

    トヨタ:WRC 第3戦 ラリー・メキシコ シェイクダウン レポート

    3月8日(水)、2017年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦ラリー・メキシコのシェイクダウンがラリーの中心となるレオンの近郊で行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #10号車)が4番手タイムを、ユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム組(ヤリスWRC#11号車)が10番手タイムを記録。明日の競技開始に向けての最終準備作業を完了した。

    高い気温と高い標高という、ふたつの困難な要素が戦いの鍵を握るラリー・メキシコは、チームにとって新たなる挑戦となる。ヤリスWRCにとってメキシコでの初走行となったシェイクダウンでは、ラリー本番のSSに近いタフな路面コンディションの5.31kmのグラベルコースを複数回走行。システムの最終チェックを行なうと共に、ラリー本番を想定した全開走行も実施してヤリスWRCのメキシコの道でのパフォーマンスを確認した。

    ラリー・メキシコは2004年に初めてWRCのカレンダー入りを果たしたが、メキシコにおけるモータースポーツの歴史は非常に長い。1950年から1954年にかけて行なわれた有名な「カレラ・パナメリカーナ」は、メキシコ国内を縦断する公道レースとして世界中で話題になった。1954年に優勝したウンベルト・マリオーリの平均速度は222km/hと、とてつもなくハイスピードなレースだった。メキシコではモータースポーツの人気が非常に高く、今年はWRC以外にも、F1や、TOYOTA GAZOO Racing が参戦するFIA世界耐久選手権(WEC)など、ワールドクラスのモータースポーツイベントの開催が予定されている。

    競技初日は、レオンから約400km離れたメキシコシティでオープニングステージが行なわれる。そのため、シェイクダウンを終えたラリーマシンは、トランスポーターに載せられて陸路メキシコシティへと旅立った。メキシコシティでは市の中心部の歴史的地区「ソカロ」でSS1として1.57kmのショートステージを2回走行する。競技開始は18時05分からと遅いスタートとなり、選手たちは走行終了後飛行機でレオンへと戻り、10日(金)からのグラベルステージに臨む。

    トム・フォウラー (チーフエンジニア)
    通常、他のラリーでは、タイヤをセーブするためシェイクダウンを全開で走る事は少ないのですが、今回はメキシコ特有の高い標高にエンジンのマッピングを適合させるため、あえて全開走行を行ないました。走行ごとにチューニング作業を行なった結果、エンジンの最適化が進み、最終的に2台のマシンともに満足できるタイムを記録しました。また、マシンには何も問題が生じなかったため、シェイクダウンではパフォーマンスの向上作業に集中することができました。

    ヤリ-マティ・ラトバラ (ヤリスWRC #10号車)
    シェイクダウン最初の走行ではマシンのセッティングにあまり満足できなかったのですが、その後エンジンのマッピングを変更し、ダンパーの減衰力を調整したところ2回目の走行ではフィーリングがかなり良くなりました。そして、3回目の走行では本当に満足できるセッティングに仕上げることができました。これで、明日からの競技に自信を持って臨むことができますが、ラリー・メキシコはとても気温が高くタフなイベントであり、スプリントラリーというよりも耐久ラリー的な傾向が強いため、心して臨むつもりです。

    ユホ・ハンニネン (ヤリスWRC #11号車)
    全体的にとても良いフィーリングでシェイクダウンを走り終える事ができました。マシンには何も問題が発生しなかったため、エンジンのマッピング作業に集中し、良いセッティングを見つけることができたと思います。ラリー・メキシコはとても難しく長いラリーなので、競技最終日の日曜日がはるか先の事に感じられます。明日の木曜日はSS1を戦うためメキシコシティに向かいますが、メキシコはとても熱狂的で素晴らしいファンが多いので、今からとても楽しみです。