ブログ

  • FIA、F1エンジン救済制度をカナダGP後に適用 ホンダに追加開発の可能性

    FIA、F1エンジン救済制度をカナダGP後に適用 ホンダに追加開発の可能性

    2026年F1シーズンで導入された新パワーユニット規則をめぐり、FIA(国際自動車連盟)はパフォーマンスで遅れを取るメーカーを対象とした追加開発制度「ADUO(追加開発・アップグレード機会)」の適用時期を明らかにした。

    当初はマイアミGP以降に発動する予定だったが、バーレーンGPとサウジアラビアGPの中止によって評価期間が再編され、最初の判定はF1カナダGP終了後に行われることになった。

    最初の評価期間は5戦に短縮
    FIAは声明で、2026年F1技術規則の付録C5第4.2条に基づき、シーズンを3つの期間に分けて内燃エンジンの性能を分析すると説明した。

    「これら3つの期間は、それぞれ第1〜6戦、第7〜12戦、第13〜18戦を対象とする。しかし、オーストラリア、中国、日本、バーレーン、サウジアラビア、マイアミの各グランプリを含む最初の期間は、中東で続く情勢によって混乱した」

    「そのため、最初の期間は調整され、現在はシーズン最初の5戦(オーストラリア、中国、日本、マイアミ、カナダ)で構成される。結果はカナダGP後、遅くとも2週間以内に通知される」

    これにより、ADUOの最初の対象メーカーはカナダGP後に確定する。対象となったパワーユニットメーカーには、通常のコストキャップやテスト制限を超えた追加開発枠が認められる。

    ホンダF1が対象候補、アウディとフェラーリも可能性
    ADUOは、最も性能の高いエンジンに対して性能指数が2%以上、4%未満劣っているメーカーを対象とする制度だ。

    2026年F1では新たな50対50のハイブリッド・パワーユニットが導入され、メーカー間の性能差が顕在化している。メルセデスが性能と信頼性の両面で好調な一方、ホンダは開幕から苦戦しており、ADUOの対象となる可能性が高いとみられている。

    さらに、フェラーリや新規参入のアウディも、最初のADUOリストに含まれる可能性がある。

    FIAは今後の評価期間についても説明している。

    「第2期間は第6〜11戦(モナコからハンガリー)、第3期間は第12戦(オランダ)から第18戦(メキシコシティ)までを対象とする」

    「結果が通知されると、ADUO対象のパワーユニットメーカーには、認められる開発枠の詳細が個別に通知される」

    「対象メーカーは、早ければ次戦からアップグレードを投入できる」

    救済ではなく競争均衡を保つための開発枠
    ADUOは単なる救済措置ではなく、2026年F1の新パワーユニット規則で生じたメーカー間格差を一定範囲に収めるための制度だ。

    ただし、対象となるには明確な性能基準があり、最下位メーカーに無制限の開発を認めるものではない。あくまで、最良のパワーユニットに対して一定以上の遅れが確認された場合に限り、追加開発の機会を与える仕組みとなる。

    ホンダにとっては、アストンマーティンとの2026年F1プロジェクトを立て直すうえで重要な機会となる。一方で、ADUOが認められたとしても、その効果が即座にパフォーマンスへ反映されるとは限らない。追加開発枠をどの領域に使い、どのタイミングで実戦投入できるかが、シーズン中盤以降の競争力を左右することになる。

  • 角田裕毅が相撲観戦 F1日本GPと日本相撲協会の連携に続く話題

    角田裕毅が相撲観戦 F1日本GPと日本相撲協会の連携に続く話題

    角田裕毅が大相撲観戦に訪れ、日本相撲協会の公式Xがその様子を紹介した。

    F1マイアミGPからF1カナダGPまで約3週間のインターバル期間となるなか、現在レッドブルのリザーブドライバーを務める角田裕毅は、日本で束の間の時間を過ごしているようだ。

    日本相撲協会公式Xは「<六日目の様子> 本日、F1ドライバーの角田裕毅選手が観戦にお越しくださいました。」と投稿。会場で観戦する角田裕毅の様子を公開した。

    F1ドライバーとして世界を転戦する角田裕毅と、日本の伝統競技である相撲の組み合わせには、ファンからも多くの反応が寄せられている。

    F1日本GPでは日本相撲協会とコラボ
    2026年F1日本GPでは、鈴鹿サーキットと日本相撲協会によるコラボレーションも実施された。

    鈴鹿サーキットは2月、「日本文化や日本の美しさ、モータースポーツ文化を世界へ発信する取り組み」の一環として、日本相撲協会との連携を発表。3月28日の予選日には大関・琴櫻関がオフィシャルステージに登壇した。

    さらに開催前日の3月26日には、F1と地域の子どもたち、日本文化の交流事業「Community Experience Programme」に複数の力士が参加。F1と日本の伝統文化を融合させる取り組みとして注目を集めた。

    今回の角田裕毅の大相撲観戦も、F1と相撲界のつながりを感じさせる話題として関心を集めそうだ。

  • アルピーヌF1チーム 元FIA空力責任者ジェイソン・サマービルを獲得

    アルピーヌF1チーム 元FIA空力責任者ジェイソン・サマービルを獲得

    アルピーヌF1チームは5月15日、FIA(国際自動車連盟)で空力部門責任者を務めていたジェイソン・サマービルを副テクニカルディレクターとして迎え入れることを発表した。新設されたポジションで、デビッド・サンチェス(エグゼクティブ・テクニカルディレクター)の直属となる。

    サマービルは1999年にウィリアムズでF1キャリアをスタートし、2003年にトヨタF1へ加入。空力部門でキャリアを積み、最終的には副責任者を務めた。その後、2010年から2011年にかけてエンストンのチームに在籍しており、今回が古巣復帰となる。

    その後はウィリアムズで空力部門を率いたほか、フォーミュラワン・マネジメント(FOM)では2022年F1レギュレーション策定にも関与。2022年からはFIAで空力部門責任者として、複数のレギュレーションサイクルを監督していた。

    今回の副テクニカルディレクター職は、アルピーヌの設計・空力グループをさらに強化する目的で新設されたものだという。RacingNews365によると、サマービルは今週前半にFIAでの職務を終えており、以前からアルピーヌ加入が報じられていた。

    アルピーヌは2026年シーズン序盤で競争力を示しており、開幕4戦終了時点でコンストラクターズ選手権5位の23ポイントを獲得。これは2025年シーズン通算ポイントをすでに上回る数字となっている。

    チームは昨夏以降、主要人材の補強を進めており、フラビオ・ブリアトーレとスティーブ・ニールセン体制のもとで技術組織の強化を加速させている。サマービルの加入によって、現行マシンだけでなく将来コンセプトの開発もさらに推し進める狙いだ。

    ジェイソン・サマービルは次のように語った。

    「エンストンに戻り、フラビオ、スティーブ、そしてデビッドとこの新しい役職で働けることを本当に楽しみにしている」

    「ここ数年はチーム環境での競争の最前線から離れていたので、再びその渦中に戻り、コンマ数秒を追い求め、ライバルとポイントやトロフィーを争えることに大きなやりがいを感じている」

    「ファクトリーの優秀なエンジニア、デザイナー、空力担当者たちと仕事を始め、近い将来のチーム成功に貢献できることを願っている」

    ジェイソン・サマービルとデビッド・サンチェス(アルピーヌF1チーム)

    サンチェスもサマービル加入を歓迎した。

    「ジェイソンのような経験と実績を持つ人物を迎えられることを非常に嬉しく思っている。我々は継続的な前進を続けている」

    「今季ここまでのチームの仕事は素晴らしいものだったが、これはまだ始まりに過ぎない。誰ひとり現状に満足してはいない。ジェイソンが加わることで、現在のF1開発競争の中でさらにパフォーマンスを引き上げることができるだろう」

    アルピーヌF1は“技術組織の再構築”を加速
    2026年F1シーズンのアルピーヌは、単なるパフォーマンス向上だけでなく、組織そのものの強化に力を注いでいる。昨年からデビッド・サンチェスやスティーブ・ニールセンらを招へいしてきた流れに続き、今回のサマービル加入によって空力部門の体制はさらに厚みを増すことになる。

    特に2026年F1レギュレーションをFOMやFIA側で経験してきたサマービルの知識は、現行マシン開発だけでなく、中長期的な技術戦略においても大きな武器となりそうだ。現在コンストラクターズ5位につけるアルピーヌは、勢いを一時的なものに終わらせず、本格的な上位争いへの足場固めを進めている。

  • マックス・フェルスタッペン率いるVerstappen Racing ニュル24時間予選4番手

    マックス・フェルスタッペン率いるVerstappen Racing ニュル24時間予選4番手

    マックス・フェルスタッペン率いるVerstappen Racingが、2026年ニュルブルクリンク24時間レースの予選で4番手を獲得した。

    #3 メルセデスAMG GT3を走らせるメルセデスAMGチーム・Verstappen Racingは、トップ予選3でダニ・ジュンカデラが8分12秒005を記録。ポールポジションから0.882秒差で、土曜午後にスタートする24時間レースを2列目から迎える。

    トップ予選3で4番手に浮上
    ニュルブルクリンク24時間レース第54回大会のポールポジションをかけたトップ予選3は、残った12台によるシュートアウト形式で行われた。各車は1台ずつコースインし、クリアトラックで2周の計測ラップを行った。

    セッション前には雨が降っていたものの、路面は大部分が乾き、ところどころに湿った区間が残るコンディションとなった。

    Verstappen Racingは、最初のアタック終了時点で暫定9番手。トップから6.8秒遅れという位置だったが、ジュンカデラは2回目の計測ラップで8分12秒005までタイムを縮め、決勝グリッド4番手を確保した。

    マックス・フェルスタッペンもトップ予選2に出走
    トップ予選では各セッションで異なるドライバーを起用する必要があり、Verstappen Racingはトップ予選1をルーカス・アウアー、トップ予選2をマックス・フェルスタッペン、そしてトップ予選3をダニ・ジュンカデラが担当した。

    25.3kmのノルドシュライフェで、ポールから1秒以内に入ったことは、24時間の決勝に向けて十分な競争力を示す結果となった。

    ポールはレッドブル・チーム・アプトのランボルギーニ
    ポールポジションを獲得したのは、レッドブル・チーム・アプトの#84 ランボルギーニ・ウラカン GT3 Evo2。ルカ・エングストラーが8分11秒123を記録した。

    同じくレッドブル・チーム・アプトの#130 マルコ・マペッリが8分11秒468で2番手に入り、フロントロウを独占。3番手にはクリストファー・ハーゼのシェラー・スポーツPHX アウディ R8 LMS GT3 Evo IIが続いた。

    ティエリー・フェルミューレンもドライバーに名を連ねるリアライズ・コンドー・レーシング with リナルディの#45 フェラーリ296 GT3 Evoは、5番手から決勝をスタートする。

    24時間レースは土曜15時にスタート
    第54回ニュルブルクリンク24時間レースは、5月16日(土)15時00分(CEST)にスタートし、5月17日(日)にフィニッシュを迎える。

    Verstappen Racingにとって、4番グリッドは勝負権のある位置だ。フェルスタッペン自身が関わるチームとして注目を集めるなか、24時間の長丁場では序盤の速さだけでなく、雨、交通量、トラブル対応、夜間走行での安定性が結果を左右することになる。

  • エイドリアン・ニューウェイは何が特別なのか “空気を見る男”F1伝説の正体

    エイドリアン・ニューウェイは何が特別なのか “空気を見る男”F1伝説の正体

    エイドリアン・ニューウェイを語るとき、F1界では必ずと言っていいほど「空気が見える男」という表現が使われる。

    その象徴的な言葉を広めたのは、当時レッドブルのチーム代表だったクリスチャン・ホーナーだった。「ニューウェイは空気を見ることができる男だ」という表現は、彼の空力感覚を神格化する比喩として定着した。

    だが、本人はそのイメージを笑いながら否定している。

    2024年のポッドキャスト出演時、ニューウェイは「もちろん空気なんて見えない」と語った。

    それでも彼は、“見えているように感じさせる”何かを持っている。

    その本質は、現代F1のエンジニアリングが失いつつある“感覚的理解”にある。

    CFD以前の世代だからこそ身についた“想像力”
    ニューウェイがキャリアを築いた時代には、現在のような高度なCFD(数値流体解析)やCAD(コンピューター設計)は存在しなかった。

    設計者はドラフターに向かい、風洞実験を繰り返しながら、自分の頭の中で空気の流れを想像するしかなかった。

    ニューウェイはその時代を生き抜いた。

    だからこそ彼は、コンピューターが答えを出す前に、“どう流れるべきか”を直感で組み立てる癖が身についている。

    本人も「理解し、視覚化しようとする」と語っているように、彼の武器は計算能力ではなく“イメージ化能力”だ。

    これは単なるロマン主義ではない。

    むしろ、現代F1において極めて希少な能力になっている。

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ニューウェイが特別なのは“空力”ではなく“全体像”を見ているから
    ニューウェイが本当に優れているのは、単純なダウンフォース量の追求ではない。

    彼は「マシン全体のバランス」を最優先に考える。

    それが最も分かりやすく現れたのが、2022年のグラウンドエフェクト時代の幕開けだった。

    多くのチームが“最大ダウンフォース”を追求した結果、激しいポーパシングに苦しんだ。

    一方でニューウェイは、空力数値だけではなく「安定したプラットフォーム」の重要性を重視し、自らサスペンション設計に深く関与した。

    その結果、レッドブルRB18は他チームほど深刻なバウンシングに苦しまず、マックス・フェルスタッペンは2022年に15勝を挙げる支配的シーズンを築いた。

    翌2023年には、F1史上でも屈指の圧倒的マシンへと進化する。

    ここで重要なのは、ニューウェイが“空力だけ”を見ていなかったことだ。

    多くのライバルがCFDの数値を追い続ける中、彼は「ドライバーが扱えるか」「姿勢変化で破綻しないか」という現実側を見ていた。

    現代F1が失いつつある“職人的直感”
    この記事が面白いのは、単なるニューウェイ賛美で終わっていない点にある。

    むしろテーマは、「技術進化が人間の感覚を奪っているのではないか」という問題提起だ。

    スマートフォンが記憶力を代替し、AIが文章を代替し、CFDが空力感覚を代替する。

    便利さと引き換えに、人間は“自分の頭で補完する能力”を失いつつある。

    F1の設計現場も同じだ。

    現代の若いエンジニアはCADやシミュレーションに極めて強い。

    しかしニューウェイ世代のように、“頭の中で空気を流す”訓練は受けていない。

    だからこそ、ニューウェイのような人物は再現不可能とも言われる。

    彼の才能は「知識量」ではなく、「感覚」「経験」「直感」「芸術性」の複合体だからだ。

    レッドブル低迷が“ニューウェイ不在”を際立たせた
    この記事が強く示唆しているのは、ニューウェイ離脱後のレッドブルの変化でもある。

    2024年にニューウェイ退団が発表された後、レッドブルは次第に“他チームと同じ方向”へ進み始めた。

    ピエール・ワシェ自身も、後に「ドライバー向けではない特性を導入してしまった」と認めている。

    つまりニューウェイは、単に速いマシンを設計していたわけではない。

    「何をやってはいけないか」を知っていた。

    それが最大の価値だった。

    F1では、多くの場合“見えているもの”より、“他人が見落としているもの”のほうが重要になる。

    そしてニューウェイは、その“見落とし”を察知できる数少ない設計者だった。

    “最後の鉛筆世代”が去った後に残るもの
    ニューウェイはいずれ鉛筆を置く。

    そのときF1は、おそらくさらに高度なシミュレーション時代へ進んでいる。

    だが同時に、“感覚でマシンを理解する設計者”は減っていく可能性が高い。

    この記事が言いたいのは、「ニューウェイは空気が見える」という神話ではない。

    “コンピューターに頼り切らず、自分の頭の中で考え抜く能力こそが、本当の差を生む”ということだ。

    そして、それこそがエイドリアン・ニューウェイという存在の本質なのかもしれない。

    Source: PlanetF1

  • ザク・ブラウン FIA会長に書簡 “レッドブルF1の2チーム体制”に異議

    ザク・ブラウン FIA会長に書簡 “レッドブルF1の2チーム体制”に異議

    マクラーレンのCEOを務めるザク・ブラウンが、FIA会長モハメド・ビン・スライエムに対し、F1における“複数チーム所有”の規制強化を求める書簡を送っていたことが明らかになった。

    現在、レッドブル社はレッドブルとレーシングブルズの2チームを所有しており、ブラウンは以前からこの体制について「スポーツの公正性を損なうリスクが高い」と批判を続けてきた。RacingNews365が確認した書簡では、近年の具体例を挙げながら、現行ルールへの問題提起を行っている。

    “チーム間連携”を問題視したシンガポールGP
    ブラウンが特に問題視したのは、2024年F1シンガポールGPでの出来事だ。

    当時レーシングブルズに所属していたダニエル・リカルドは、レース最終盤にファステストラップ狙いのピットストップを実施。その結果、マクラーレンのランド・ノリスからボーナスポイントを奪う形となり、タイトル争いを展開していたマックス・フェルスタッペンに有利な状況を生み出した。

    結果としてフェルスタッペンは、残りレースでノリスに次ぐ順位でもタイトル獲得が可能な条件を維持することになり、ブラウンはこの件を“系列チームによる競技介入”の象徴例として挙げた。

    マイアミGPのローソン指示も槍玉に
    ブラウンはさらに、先日のF1マイアミGPで発生したレーシングブルズの対応についても言及した。

    レース序盤、ターン2で360度スピンを喫したマックス・フェルスタッペンは順位を落としたが、その後リアム・ローソンとの争いの中でコース外へ押し出したように見える場面があった。

    その後、レーシングブルズはローソンに対してフェルスタッペンへポジションを返すよう指示。ブラウンは、この対応が結果的にレッドブル側を利するものだったとして、競技の独立性に疑問を投げかけている。

    ローレン・メキース移籍問題も指摘
    書簡では、人材移動の扱いについても問題視された。

    2025年7月、レーシングブルズ代表だったローラン・メキースは、解任されたクリスチャン・ホーナーの後任として即座にレッドブルへ昇格。当時、一般的に適用される“ガーデニング休暇”は課されなかった。

    ブラウンはこれに対し、マクラーレンがレッドブルからロブ・マーシャルを引き抜いた際には、9か月のガーデニング休暇と高額補償が必要だったと比較。さらに、レーシングブルズからアンドレア・ランディがレッドブル入りした件も挙げ、「本当に独立した競争相手同士で許容されるレベルのファイアウォールが機能しているとは思えない」と主張した。

    また、風洞利用やソフトウェア開発などにおいても、複数チーム所有による潜在的な優位性が存在する可能性があると指摘している。

    FIA会長も“2チーム所有”に疑問
    こうした問題提起に対し、FIA会長モハメド・ビン・スライエムも、F1マイアミGPでRacingNews365などに対して見解を示していた。

    「2チーム所有については、その理由が正しいものである限り問題ないとも言える。だが、“正しい理由”とは何か?」

    「他チームに買われたくないから保有する、あるいはレギュレーション投票で影響力を得るためという理由であれば問題だ」

    「個人的には、2チーム所有は正しい形ではないと思っている。ただ非常に複雑な問題なので、現在FIA内部で調査を進めている。可能なのか? 許されるべきなのか? 本当に正しいのか? を検討している」

    ブラウンは書簡の中で、FIAとのさらなる協議にも前向きな姿勢を示している。

    “レッドブルモデル”への包囲網は強まるのか
    これまでF1では、レッドブルとレーシングブルズの関係性についてたびたび議論が巻き起こってきた。

    特に2026年F1シーズンは、新レギュレーションやPU勢力図の変化により、チーム間協力や技術共有への視線がこれまで以上に厳しくなる可能性がある。ザク・ブラウンの書簡は、単なる政治的牽制ではなく、F1全体の競技構造そのものに一石を投じる動きとなりそうだ。

  • ジョージ・ラッセルに正念場 トト・ヴォルフ「F1カナダGPで反撃する」

    ジョージ・ラッセルに正念場 トト・ヴォルフ「F1カナダGPで反撃する」

    ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、F1カナダGPで反撃を狙う。メルセデスは開幕4戦を全勝し、コンストラクターズ選手権でフェラーリに70ポイント差をつけているが、チーム内ではキミ・アントネッリが急速に存在感を高めている。

    アントネッリは中国GP、日本GP、マイアミGPで3連勝を飾り、ラッセルに20ポイント差をつけてタイトル争いをリード。開幕戦オーストラリアGPを制したラッセルにとって、モントリオールは流れを取り戻す重要な一戦となる。

    アントネッリ3連勝で変化したチーム内の勢力図
    トト・ヴォルフは、ラ・ガゼッタ・デロ・スポルトに対し、アントネッリの直近3戦の勝利を率直に認めた。

    「このスポーツで我々が愛しているのは、レースの最後に時計が嘘をつかないことだ。そして時計は、キミが直近3つのグランプリで勝つにふさわしかったことを示している」

    一方で、ラッセルの不振がすべて本人の責任だったわけではない。中国GPではQ3で電気系のトラブルに見舞われ、マシンが1速に固定される問題を抱えながらも2位でフィニッシュした。日本GPではセットアップ変更が裏目に出たうえ、セーフティカーのタイミングと再スタート時のバッテリー充電問題が重なり、勝機を逃した。

    マイアミでは本人のミスも指摘
    マイアミGPでは状況がさらに厳しかった。ラッセルは中盤のテクニカル区間でバランスとタイヤのオーバーヒートに苦しみ、予選5番手、決勝4位。優勝したチームメイトのアントネッリから43秒遅れてチェッカーを受けた。

    ヴォルフは、ラッセルの停滞についてチーム側の問題や不運もあったとしながら、マイアミでは本人のミスもあったと認めた。

    「ラッセルはうまくいかなかった。場合によってはチームの問題や不運が原因であり、マイアミでは彼自身のミスによるものだった」

    トト・ヴォイルフ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    カナダGPから巻き返しへ
    それでもヴォルフは、ラッセルの実力に対する信頼を崩していない。カナダGPの舞台となるジル・ヴィルヌーヴ・サーキットで、ラッセルが再び本来の競争力を取り戻すと見ている。

    「とはいえ、我々はジョージの価値を知っている。そして彼がカナダから戻ってきて、非常に競争力を発揮し、ライバルたちを苦しめる準備ができていることも分かっている」

    メルセデスが圧倒的な序盤戦を築くなか、焦点はチーム内のタイトル争いに移りつつある。アントネッリが勢いで先行する一方、ラッセルには経験と実績がある。カナダGPは、その均衡が再び動き出す最初の分岐点になる。

  • オリバー・ベアマン F1ドライバー総意を代弁「V8やV10復活を望んでいる」

    オリバー・ベアマン F1ドライバー総意を代弁「V8やV10復活を望んでいる」

    2026年F1シーズンから導入された新世代パワーユニットは、電動出力の増加と100%持続可能燃料の採用が大きな特徴となっている。一方で、FIA会長モハメド・ビン・スライエムは、次期レギュレーションでV8やV10エンジン復活の可能性に言及しており、パドック内でも議論が続いている。

    そうした中でベアマンは、現行のV6ターボハイブリッド時代がもたらした技術進化を高く評価しつつも、“ドライバーとしての本音”も隠さなかった。

    「F1はパワーユニット開発の最前線をリードするという点で、本当に素晴らしい仕事をしてきた」

    「それらの技術はいずれ市販車にも落とし込まれていくはずだ」

    「たとえば持続可能燃料に関しても、F1はその道を切り開いてきた。今使っている燃料は完全に持続可能なものだし、それは本当に素晴らしいことだ」

    「少し高価ではあるけど、どこかでスタートしなければならない。そういう意味でも彼らは素晴らしい仕事をしてきた」

    “V8やV10に戻りたい”というドライバーたちの一致した思い
    その一方で、ベアマンは“もし持続可能燃料を維持しながら自然吸気型に近いエンジンへ戻れるなら、ドライバーたちは歓迎する”と語った。

    「もし持続可能燃料を使いながら、普通のエンジン――V8でもV10でもいいけど――を走らせる方法があるなら、僕たち全員が賛成すると思う」

    「今のF1が常に新しい技術を切り開き、前進し続けていることは本当に素晴らしいと思う」

    「でももちろん、ドライバーとして、そしてクルマ好きとしては、あの素晴らしいサウンドのエンジンや、高性能なエンジンを愛しているのは間違いない」

    V型8気筒

    “V6ハイブリッドしか知らない世代”の率直な憧れ
    興味深いのは、ベアマン自身がV10やV8時代のF1マシンを実際には経験していない世代だという点だ。

    2014年から導入されたV6ターボハイブリッド時代しか知らないベアマンは、それでもなお過去のF1エンジンに強い憧れを抱いている。

    「僕はV6ハイブリッド以外のF1カーを運転したことがない」

    「でも近いうちに乗る予定なんだ。すごく楽しみにしているよ」

    現在のF1では、持続可能性やメーカー参入を重視した技術路線が続いている。しかし、ドライバーたちの間では“もっとシンプルで感情に訴えるエンジン”を求める声が根強く残っていることを、ベアマンの発言は改めて浮き彫りにした。

  • MotoGP幹部 F1との“共催週末”に否定的「現実的ではない」

    MotoGP幹部 F1との“共催週末”に否定的「現実的ではない」

    MotoGPとF1の“同時開催構想”について、MotoGP側が現時点で否定的な見解を示した。MotoGPのチーフ・スポーティング・オフィサーを務めるカルロス・エスペレータは、F1との共同開催について「非常に困難」と語り、実現性の低さを強調している。

    F1とMotoGPの双方を傘下に収めたリバティ・メディア体制のもとで、近年は両カテゴリーの連携強化がたびたび噂されてきた。

    特に「同じサーキットで同一週末に開催する」というアイデアはファンの間でも話題となってきたが、MotoGP側は慎重な立場を崩していない。

    MotoGP幹部「現実的ではない」
    カルロス・エスペレータはGPblogのインタビューで、F1との共同開催案について「現在取り組んでいるものではない」と明言した。

    「もしそのダイナミクスを見れば、まず物流面だけでも非常に、非常に困難になる」

    そう語ったエスペレータは、現状ではF1とMotoGPの両方を同時に受け入れられるサーキットが存在しないと説明した。

    「世界中を見渡しても、両カテゴリーのピットボックスや収容能力など、すべてを同時に満たせるサーキットはひとつもない」

    さらに、F1マシンとMotoGPマシンでは求められるコース特性が根本的に異なることも問題視した。

    「トラックレイアウトの観点から見てもそうだ。非常に難しい」

    MotoGPでは安全面の観点からグラベルトラップを重視する一方、F1ではアスファルトランオフが主流となっている。また、縁石や高速コーナーの設計も両カテゴリーで要求が異なるため、単純な共催は成立しにくいという事情がある。

    “商業的メリットも小さい”と指摘
    エスペレータは、共同開催による商業的メリットについても懐疑的な見方を示した。

    「今ある以上に収益化するのは簡単ではない。座席数は座席数のままだ。キャパシティを増やせるわけではない」

    さらに、F1とMotoGPでは観客層やチケット価格帯も大きく異なると指摘した。

    「非常に異なる客層と価格帯が存在している。だから現時点では想像するのは非常に難しい」

    リバティ体制でMotoGP拡大戦略は加速
    その一方で、リバティ・メディアによるMotoGP買収後、MotoGP側が北米市場拡大を重視している点は明確になっている。

    特にアメリカ市場への注力が進められており、近年は都市型イベントや新市場開拓が重要テーマとなっている。実際、F1マイアミGPの市街地コース周辺でMotoGP開催を行う可能性についても協議が行われたことが確認されている。

    エスペレータは2007年にドルナへインターンとして加入し、その後MotoGPの運営中枢へ昇進した人物だ。現在はスポーティングレギュレーション、サーキット選定、カレンダー編成、MotoGPの国際展開などを担う重要ポジションに就いている。

    “F1+MotoGP週末”は理想論の段階か
    F1とMotoGPの共同開催は、リバティ・メディア体制発足以降たびたび浮上してきたテーマだった。しかし今回の発言からは、少なくともMotoGP側が「実務面では非現実的」と判断している実情が見えてくる。

    特に2026年以降のF1は新世代ハイブリッド規則への対応だけでも運営負荷が増しており、MotoGP側も開催地域拡大や新市場開拓を優先している状況だ。

    ファンにとっては夢の“モータースポーツスーパーウイークエンド”構想だが、現場レベルではサーキット設備、安全基準、物流、商業設計など、解決すべき課題があまりにも多いことが改めて浮き彫りとなった。

  • フェラーリF1に消えた“安全策” バスールが変えたマラネロの発想

    フェラーリF1に消えた“安全策” バスールが変えたマラネロの発想

    フェラーリF1は今季、F1マシンの設計面でいくつもの巧妙なアイデアを投入してきた。いわゆる“マカレナ”リアウイング、エキゾーストウイング、そしてヘイロー上の小型ウイングレットなど、レギュレーションの境界を突く発想でライバルの注目を集めている。

    それらは単独でチームをトップに押し上げる魔法の解決策ではない。しかし、フレデリック・バスールの下でフェラーリのマインドセットが変化していることを示している。

    かつてのマラネロにあった“失敗を恐れて安全側に振る”姿勢は薄れ、あらゆる領域でラップタイムを削る文化が根づきつつある。

    バスールはThe Raceの独占インタビューで、就任当初に最も驚かされたのは、恐怖や責任追及の文化そのものではなく、露出を避けるために各所で余裕を取りすぎていたことだったと語った。

    「恐怖や非難の文化があったというわけではない。ただ、少し後ろ向きだったのかもしれない」

    「私が加入して最初にショックを受けたのは、あらゆる項目で我々にギャップがあったことだ。それは単に、露出したくなかったからだった」

    「重量を1キロ多く積む。燃料を半リットルか1リットル多く積む。サイドポッドをさらに開ける。もう一段階余裕を取る。結局、すべてを並べてみると、それはコンマ2秒だった」

    「ゼロマージンにはできない。しかし、ゼロとコンマ2秒の間にはコンマ1秒がある。昨年、我々と前にいる相手との差の平均が100分の3秒だったことを考えれば、コンマ1秒がシーズンに与える影響は想像できるはずだ」

    「このマインドセットについて、私は全員に、自分たちはパフォーマンスの貢献者なのだと納得させるために必死に働きかけている。ロイックのマインドセットも同じだ」

    “恥ずかしがるな”というメッセージ
    バスールが進めているのは、単なる攻めた空力パーツの導入ではない。重要なのは、スタッフが極端なアイデアや未検証の発想を提案できる空気を作ることだ。

    「イノベーションという点では、我々は毎日、すべてを押し進めなければならない。“恥ずかしがるな”と言い続ける必要がある」

    「何か提案があるなら、オープンでいればいい。何かを提案して、それが機能しなかったとしても、我々は誰かを責めることはない」

    「マシンにはいくつかの例が見えているし、これから出てくるものもある。彼らには、我々が革新を促しているというマインドセットがあり、それは大きな助けになっている」

    ただし、バスールは現実主義者でもある。革新そのものが目的ではなく、あくまで目標は勝つことだと強調する。

    「私が言ったことを過大評価しないでほしい」

    「見えるイノベーションもあれば、決して見えないイノベーションもある。見えるのは空力面だけだからだ」

    「目標は革新することではない。目標は勝つことだ。イノベーションは、それが機能する場合にのみ意味がある。効果がないなら、ウイングがああいう動きをする必要はない」

    「この作業とマインドセットにはかなり満足している。彼らがより自由に感じているように思うからだ」

    スクーデリア・フェラーリ

    唯一の指標はラップタイム
    バスールが変えようとしているのは、部門ごとの評価軸でもある。空力部門はダウンフォース、エンジン部門は馬力という個別の指標ではなく、チーム全体の唯一のKPIはラップタイムでなければならないという考え方だ。

    「レースチームとしては当たり前のように思えるかもしれないが、決して当たり前ではない。チームの唯一のKPIはラップタイムでなければならない」

    「レースチームではあまりにも頻繁に、空力担当者のKPIはダウンフォース量、エンジン担当者のKPIは馬力になっている。そして彼らは重量や冷却のことを気にしない」

    「私は、集団として唯一のKPIはラップタイムだというメッセージを押し出そうとしている。イノベーションも同じだ」

    ロイック・セラがもたらした競争者の感覚
    フェラーリが設計面で前に出るようになった背景には、2024年10月に加入したロイック・セラの存在もある。ただし、セラの到着はSF-25の基本設計に大きく関わるには遅すぎた。前任のエンリコ・カルディレが方向性を定めた後であり、セラはすでに進行中のプロジェクトに途中から加わる形だった。

    バスールは、昨年序盤に中国での失格につながった車高問題によってフェラーリが「追い込まれた」と認める。その影響でセットアップは保守的になり、開発を早期に切り上げて2026年に集中する判断にもつながった。

    「F1チームに加わると、数カ月は必要だ。かなり早く進んだとはいえ、最初から関わっていないプロジェクトを引き受けるのは難しい。すでに決定が下されていて、別のプロジェクトも控えている中で、そこに飛び込まなければならないからだ」

    「正直に言って、状況は簡単ではなかった。しかし彼はオペレーションに焦点を当てることができた。それは我々にとって重要だったと思う」

    「昨年のシーズン終盤、我々はオペレーション面で非常に良い仕事をしたことがあった。それが今年に向けた最高の準備になった」

    バスールがセラについて最も評価するのは、あらゆる領域で最後のわずかなタイムを追い求める競争者としての姿勢だ。

    「ロイックは、レース、現場、オペレーションにおいて大きな経験を持つ競争者だ。ミシュラン時代の経験もある」

    「これは我々にとって一歩前進だと思う。悪い比較をしたいわけではない。しかし彼は本物のレーサーであり、あらゆる場所で最後の何分の一秒を追いかけている。チームにとって良い後押しになった」

    開発戦争で問われる“市場投入までの速さ”
    フェラーリは今季、表彰台争いには加わっているものの、まだ勝利を狙える位置には届いていない。バスールは、ここからの開発競争が非常に激しくなると見ている。

    「今季は、我々にはあらゆる場所に改善の余地があるというマインドセットを持つ必要がある」

    「正直、他のチームのことは分からない。しかし我々はアップグレードを投入する。昨年なら100分の数秒だったものが、今年は10分の数秒になる。私にとって比率は1対10だ」

    「だから、コース上の見た目以上に重要なのは、チームの開発能力、どこを改善できるかを理解する能力、他者がどこでより良い仕事をしているのか、なぜそうできているのかを理解する能力だ。その点で非常にオープンマインドであり、開発する能力を持つことだ」

    バスールは、シーズンを通じて一戦早くアップグレードを投入できることの価値も強調した。

    「2〜3コンマを持ち込むたびに、それをシーズン中に1レース早く先取りできるなら、それは非常に有益だ」

    「開発する能力を持つには、アイデアが必要であり、生産能力も必要だ。市場投入までの時間が鍵になる」

    フェラーリに今、不足していないものがあるとすれば、それはアイデアだ。かつての安全策を積み重ねる姿勢から、コンマ1秒を削るために境界線へ踏み込む姿勢へ。バスールがマラネロから追い出したものは、失敗への過度な恐れだった。