メルセデスF1のリザーブドライバーを務めるフレデリック・ベスティが、自身の置かれている状況の厳しさを率直に語った。24歳のデンマーク人ドライバーは、幼いころから追い続けてきたF1のレギュラーシート、そして将来的なF1ワールドチャンピオンという夢を今も諦めていない。
しかし現在のベスティの仕事は、メルセデスでタイトル獲得を目指すキミ・アントネッリとジョージ・ラッセルを支えることだ。
F1の現場にいながら、自らグランプリでマシンを走らせることはできない。その状況が、次第に大きな精神的負担になっているという。
「本当に、本当に、本当に残酷だ」
リザーブドライバーという役割は、ベスティにとってますますつらいものになりつつある。それでもメルセデスでの仕事には全力で取り組み、F1マシンをドライブするわずかなチャンスを得るために努力を続けている。
母国デンマークの『Ekstra Bladet』のインタビューで、ベスティは現在のフラストレーションを隠そうとはしなかった。
「本当に、本当に、本当に残酷だ」
さらに難しいのは、自分自身がいつかその座を手に入れたいと願っている一方で、現在はメルセデスの2人のレギュラードライバーを支えることに仕事の大部分を費やさなければならない点だ。
「僕の持っているポジティブなエネルギーはすべて、キミかジョージがワールドチャンピオンになるのを助けるために使っている。もちろん、それは難しい。僕自身、8歳のころからワールドチャンピオンになることを夢見てきたからね」
それでも、ベスティは現状を受け入れて諦めたわけではない。現在はレギュラードライバーの陰にいる立場だが、チャンスが訪れたときに備え、最大限の準備を続けている。
そのなかでも、メルセデスのシミュレーターでの作業は重要な役割を占めている。
「僕はこのツールで懸命に仕事をしているし、誰よりもよく理解している」

2週間ごとにショブリンへ「いつ乗れる?」
ベスティは、実際のF1マシンを次にいつドライブできるのかを確認するため、チームにも継続的に働きかけている。
「2週間に一度、『ショブ』(トラックサイド・エンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリン)に、いつまたマシンを運転できるのか聞いている。必要なチャンスを作り出すために、できる限りプッシュしているんだ」
だが、何よりつらいのは、グランプリの現場まで足を運びながら、自分自身はレースに参加できないことかもしれない。
ベスティは笑みを浮かべながらも、F1が常に目の前にあることが、逆に待ち続ける苦しさを増幅させていると明かした。
「僕はF1にいるのが嫌いなんだ。笑ってしまうかもしれないけど、それが一番強く感じていることだ」
「F1はそこにある。でも、手が届かない。あるいは、ほとんど手が届かない。その『ほとんど』という部分が、僕に希望を持たせ続け、信じさせ続けている」
「その間、22台のマシンがぐるぐる走っているのをただ立って見ていて、自分自身は運転することを許されていない。それ以上に残酷なことなんて、僕には想像できない」
2028年のF1レギュラーシートを目指すベスティ
ベスティは2027年もメルセデスのリザーブドライバーを務める見通しだ。それでも2028年に向けてチャンスが生まれることを期待し、F1のレギュラーシート獲得を目指し続けている。
その目標は、子どものころからまったく変わっていない。
「僕は人生ずっと、F1のワールドチャンピオンになることを夢見てきた。プロのレーシングドライバーになることを夢見ていたわけじゃない」
「夢はF1なんだ」
F1のすぐそばまでたどり着きながら、その最後の一歩を踏み出せないベスティ。メルセデスを支える重要な役割を果たしながらも、本人が求めているのはリザーブという立場ではなく、自らグリッドに並び、F1で勝利とタイトルを争う機会である。











フレデリック・ベスティ 2024年にメルセデスF1のリザーブドライバーに就任

