投稿者: dbcheck

  • 2027年F1マシンは空力規則も大幅変更 リアウイングやフロアを見直し

    2027年F1マシンは空力規則も大幅変更 リアウイングやフロアを見直し

    2027年のF1マシンでは、すでに決定しているパワーユニット(PU)規則の見直しに加え、空力レギュレーションも大幅に変更されることが明らかになった。変更はリアウイングやフロアなど複数の重要な空力パーツに及び、2026年型マシンからの設計流用は想定以上に難しくなるという。

    この情報を明かしたのは、ウィリアムズのチーム代表ジェームズ・ボウルズ。F1は新世代マシンで浮上した課題を改善するため、2027年に向けてPUと空力の両面からレギュレーションを見直す方針だ。

    リアウイングやフロアなどが変更対象
    ベルギーGP金曜フリー走行中にSky Sports F1の中継へ出演したボウルズは、2027年に向けた空力規則について次のように説明した。

    「来年は空力レギュレーションが変更される。しかも、その内容はかなり大きい」

    「ビブ(フロントフロア先端部)、リアウイング、フロアの一部などが変更される。その結果、多くの人が期待しているほど今年のマシンをそのまま引き継げるわけではない。ただ、それには正当な理由がある」

    変更は全面的なレギュレーション刷新ではないものの、空力性能に大きく関わる主要パーツが対象となるため、各チームの2027年型マシン開発への影響は小さくない。

    ボウルズは、ウィリアムズがすでに2027年用の新シャシー開発を計画していることも明かし、今回の規則変更によって設計作業はさらに複雑になるとの見方を示した。

    PU規則変更と合わせて競争力向上を目指す
    今回の空力規則見直しは、2027年から導入されるPUレギュレーションの変更とセットで進められる。

    2026年から採用された電動出力と内燃エンジン出力を50対50とする配分については、ドライバーやチームからエネルギーマネジメントの負担が大きいとの指摘が相次いだ。そのためF1は2027年から内燃エンジン側の比率を高める方向へ規則を変更することを決定している。

    空力規則もこれに合わせて見直され、ダウンフォースやコーナリング速度を適正化することで、ストレートで使用できる電力エネルギーとのバランス改善を図る狙いだ。

    ボウルズは今回の決定について、シーズン開幕時には予想していなかったと認めながらも、その方向性を支持した。

    「シーズン開幕時には予想していなかった。しかし、スポーツとして正しい方向性だと思う」

    「より良いフォーマット、率直に言えば、より良いショーを作る助けになる。これはパワーユニット規則の変更とも一体となって進められているものだ」

    より完成度の高いF1を目指して改良継続
    ボウルズの発言は、Sky Sports F1のデビッド・クロフトとカルン・チャンドックも驚く内容だった。これまで2027年規則といえばPU変更ばかりが注目されており、空力規則の大幅な見直しは広く知られていなかったためだ。

    しかしボウルズは「公表してはいけないことを話したとは思っていない」と述べ、F1が現在もレギュレーションの改善を続けていることを示唆した。

    「予選でも決勝でも最高のプロダクトを実現したいという思いがある」

    「レース自体は非常に良くなっていることは誰もが認めるだろう。しかし、まだ理想的な状態ではなく、このマシンからすべてを引き出せているわけではない」

    「パワーユニット規則と空力規則、その両方を改善することで、F1はさらに良い方向へ進んでいけるはずだ」

    2027年のF1はPU規則だけでなく空力規則にもメスが入ることになり、各チームは限られた設計流用の中で、新たなマシンコンセプトの開発を迫られることになりそうだ。

  • ホンダF1 渡辺康治 アストンマーティンに慎重姿勢「ハンガリーはコース特性も影響」

    ホンダF1 渡辺康治 アストンマーティンに慎重姿勢「ハンガリーはコース特性も影響」

    アストンマーティンF1はハンガリーGPで16項目に及ぶ大規模アップグレード版「AMR26B」を投入し、今季ここ数戦と比べて大きく競争力を改善した。しかし、ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、この結果を過大評価すべきではないとの見方を示した。

    一方で、ホンダとアストンマーティンの開発体制については着実な前進を強調。ザントフォールトで投入予定の新型パワーユニットとさらなる車体アップデートによって、次のステップへ進むことに期待を寄せている。

    「ハンガリーGPはサーキット特性も影響した」
    ハンガリーGPでは、16項目の改良が施されたAMR26Bをフェルナンド・アロンソがQ2進出へ導き、決勝でもランス・ストロールが13位、アロンソが14位でフィニッシュした。

    シルバーストンやスパ・フランコルシャンといった高速サーキットで苦戦していたアストンマーティンにとって、明らかな前進が見られた週末だった。

    しかし、渡辺康治社長は、その改善にはコース特性も大きく関係していると語る。

    「サーキットの特性による部分もあります」

    ハンガロリンクは空力性能やシャシー性能の影響が大きい低速・中速主体のコースであり、高速区間の多い前戦までとは異なる条件だった。

    そのため、今回の結果だけでマシンの完全復活を判断するのは時期尚早との考えを示した。

    ホンダとアストンマーティンの連携は着実に前進
    慎重な姿勢を見せる一方で、渡辺社長はホンダとアストンマーティンの協力体制については確かな手応えを感じているという。

    現在は車両全体のパフォーマンスを向上させるための共通認識がチーム内で形成されつつあり、両者が同じ方向を向いて開発を進められていることを成果として挙げた。

    マシン全体としてどのように性能を引き上げるべきかについて、「明確な共通認識」が構築されつつあり、その点で着実な改善が進んでいると評価した。

    ホンダ・レーシング

    次の主役はホンダ新型パワーユニット
    ハンガリーGP後には、改良型ホンダ製パワーユニットを搭載したAMR26がハンガロリンクでフィルミングデーを実施。新エンジンとアップグレード版シャシーが初めて組み合わされた。

    この改良型パワーユニットは、夏休み明け最初の一戦となるオランダGPでレースデビューする予定だ。

    渡辺社長はアップデートについて、パワーユニットが中心になるとしながらも、車体との一体開発が重要だと説明した。

    「今回のアップデートはパワーユニットが中心になります。しかし、変更を行う際には一つの要素だけを単独で開発することはありません。常に車体とパワーユニットを一体として開発しています」

    アストンマーティンのエイドリアン・ニューウェイも、ザントフォールトではホンダの新パワーユニットに加え、AMR26への追加アップデートを投入することを明らかにしている。

    ザントフォールトが真価を測る重要な一戦に
    今回のハンガリーGPは、アストンマーティン復調への明るい兆しを示した一方で、その評価には慎重さも必要であることを渡辺社長は強調した。

    だからこそ、ホンダの新型パワーユニットと追加アップデートが揃って投入されるザントフォールトは、アストンマーティン・ホンダが本当に前進したのかを判断する重要なレースとなる。

    渡辺社長も「その意味でも、次のザントフォールトでは確かな結果を残したい」と意気込みを語っており、夏休み明け初戦は今後の巻き返しを占う大きな試金石となりそうだ。

  • アストンマーティンF1躍進の真の収穫「相関性が正しいことが最大の成果」

    アストンマーティンF1躍進の真の収穫「相関性が正しいことが最大の成果」

    アストンマーティンは2026年F1ハンガリーGPで投入した大規模アップデート「AMR26B」によって、シーズン前半とは見違えるような競争力を披露した。フェルナンド・アロンソは今季初のQ2進出を果たし、決勝でもアルピーヌに迫るレースペースを見せるなど、チームは確かな前進を印象づけた。

    しかし、チームアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、今回の週末で得られた最大の成果は順位やラップタイムではないと強調する。それは、今後の開発を左右する「相関性」が正しかったことだった。

    AMR26Bは期待通りの前進を実現
    ハンガリーGPで投入された新仕様のAMR26Bは、アストンマーティンに大きな変化をもたらした。

    チームはキャデラック、ウィリアムズ、ハースを上回る競争力を示し、アルピーヌとも互角に戦える位置まで復調。レーシングブルズやアウディにはまだ及ばないものの、長く苦しんできたシーズン前半から脱却する第一歩となった。

    DAZNスペインで解説を務めたデ・ラ・ロサは、予選終了後の時点で今回のアップデートを高く評価していた。

    「シーズン序盤を考えれば、このアップデートを持ち込めたこと自体が非常にポジティブだ。今後へ向けても希望が持てる」

    さらにアロンソについても手応えを語った。

    「フェルナンドはマシンバランスにずっと満足している。非常に堅実な第一歩だ。まだアップデートの性能をすべて引き出せてはいないが、ガレージでは『Q2には進める』という感触があった。フェルナンドならラップをまとめられると分かっていた」

    また、トップとの差が大きく縮まったことも重要だと指摘した。

    「見るべきなのは最速タイムとの差だ。トップとの差が約2秒まで縮まったことは非常に前向きな材料だ。これまでどれほど苦しんできたかを考えれば、大きな前進と言える」

    決勝では予選以上の競争力を発揮
    デ・ラ・ロサは、予選以上に決勝の内容を高く評価している。

    「予選でも大きく前進したが、決勝はさらに良かった。レースペースの方が予選より優れていた」

    アストンマーティンは13位と14位でレースを終えたものの、その内容には十分な価値があったという。

    「13位と14位という結果だったが、それは実力によるものだった。実際に自分たちより速かったマシンで完走できなかったのはオスカー・ピアストリだけだった。ほかはタイヤのデグラデーションや戦略で前に出られただけだ。これは非常に期待が持てる」

    また、今回投入した空力パッケージではロングランデータが不足していたことも明かした。

    「この空力パッケージでロングランをしていなかったので、多くの疑問があった。しかし信頼性も良く、タイヤのデグラデーションも良かった。この部分も改善されたようだ」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    デ・ラ・ロサが最も重視した「相関性」
    デ・ラ・ロサが何より重要だと強調したのは、アップデートが期待通りの性能を発揮したことだった。

    「僕たちは再びレースを戦えるチームになりつつある。そして非常に重要なのは、今回のアップデートが僕たちの期待通りの効果を発揮したことだ」

    その理由は、シミュレーションと実車の一致にあるという。

    「つまり、シミュレーションと実車の相関性が正しいということだ。それは単なる良い感触ではない。風洞やシミュレーター、CFDで今後試すものに対して大きな自信を与えてくれる。これは非常に価値がある。過去には必ずしもそうではなかったからだ」

    2027年へ向けた最大の財産
    F1では風洞やCFD、シミュレーターで得られたデータが実車で再現されなければ、アップデートの方向性そのものを見失ってしまう。

    アストンマーティンは2026年前半、その相関性の低さに苦しみ、開発効率が大きな課題となっていた。しかしAMR26Bでは設計段階で予測した性能がサーキットでも再現され、開発ツールへの信頼を取り戻した。

    これは単にハンガリーGPで競争力が向上したというだけではない。今後投入するアップデートの精度を高め、2027年マシンの開発にも自信を持って取り組める環境が整ったことを意味する。

    デ・ラ・ロサが「最大の成果」と表現したのは、まさにこの点だった。AMR26Bは速さだけでなく、アストンマーティンが再び正しい方向へ開発を進められることを証明した一台となった。

  • メルセデスF1 夏休み明けに大規模アップグレード投入へ「さらに大きな一歩を」

    メルセデスF1 夏休み明けに大規模アップグレード投入へ「さらに大きな一歩を」

    メルセデスF1の副テクニカルディレクターを務めるシモーネ・レスタは、2026年シーズン後半に向けて、現在よりも大規模なアップグレードパッケージを投入する計画であることを明らかにした。

    2026年の新レギュレーション初年度、メルセデスはジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリの活躍で開幕11戦中8勝を挙げ、コンストラクターズ選手権とドライバーズ選手権の両方で首位に立っている。

    夏休み時点ではアントネッリがフェラーリのルイス・ハミルトンに50ポイント差をつけてランキングトップを維持している。

    カナダ以来となる大規模アップグレードを計画
    メルセデスは第10戦カナダGPで大型アップグレードを投入した後は、小規模な改良を各レースへ継続的に持ち込んできた。しかし、夏休み明けには再び大きな進化を目指すという。

    レスタはハンガリーGPで次のように説明した。

    「究極的には、冬季テストから開幕戦にかけて十分に競争力のあるマシンを用意することを目指していた」

    「その後は、ほぼ毎戦ごとに小さなステップを積み重ね、カナダでは大きなアップデートを投入した」

    「私たちは常に、各レースで少しずつ改良を加えていこうとしている」

    ライバル勢がより大規模なアップデートを投入していることにも触れつつ、自分たちの開発方針は変わらないと語った。

    「もちろん、私たちよりも多くのアップデートを持ち込んでいるチームもある。それは彼らにとって素晴らしいことだ」

    「それでも私たちは、毎戦何らかの新しいアイテムを投入し続けようとしている」

    そして、シーズン後半に向けた開発計画についてこう明かした。

    「おそらく夏休み明けには、マシンにもう少し規模の大きなアップグレードを投入することに重点を置くことになるだろう」

    「私たちは毎戦マシンを進化させることに集中しているが、それと同時に、さらに大きな一歩となるアップデートを投入することも考えている」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ハミルトンとのタイトル争いは「F1にとって良いこと」
    レスタは、ランキング2位につける元メルセデスのルイス・ハミルトンとのタイトル争いについても言及した。

    7度のワールドチャンピオンであるハミルトンは、メルセデス時代に6度のタイトルを獲得。2026年からフェラーリへ移籍した現在も、アントネッリ最大のライバルとなっている。

    レスタはまず、メルセデスの両ドライバーを高く評価した。

    「まず何よりも、アントネッリとジョージ・ラッセルの2人が非常に高いレベルで走っている姿を見ることができてうれしい」

    「レースによって浮き沈みはあったが、基本的には2人とも非常に力強いパフォーマンスを見せている」

    「これはお互いのレベルをさらに引き上げることにつながる。チーム内での競争は、チーム全体の競争力を高める上で非常に重要だ」

    その上で、ハミルトンがタイトル争いに加わっていることを歓迎した。

    「私たちにとって重要なのはそこだ。そして、ルイスが先頭争いをしている姿を見るのも素晴らしいことだ」

    「ルイスはブラクリーで素晴らしいキャリアを築いたし、チームとのつながりはいまでも感情的にとても深い」

    「だから彼が前線で戦っている姿を見るのは本当にうれしい。彼が優勝争いをしていることは、このスポーツをより良いものにしてくれる。そういう光景を見るのは素晴らしいことだ」

    2026年シーズンは新レギュレーション初年度ということもあり、各チームが開発競争を続けている。メルセデスはこれまで細かな改良を積み重ねる戦略を採ってきたが、夏休み明けにはより大規模なアップグレードを投入し、タイトル争いをさらに優位に進めることを狙っている。

  • 小松礼雄 ハースF1失速の責任は自らに「環境を整えられなかった」

    小松礼雄 ハースF1失速の責任は自らに「環境を整えられなかった」

    2026年シーズン序盤に好スタートを切ったハースF1だが、シーズンが進むにつれて開発競争でライバル勢に後れを取り、順位を落としている。

    チーム代表の小松礼雄は、その原因はスタッフの能力ではなく、限られた人員や設備といったチーム環境にあると説明。十分な開発環境を提供できなかった責任は自分にあると認めた。

    序盤の躍進は「予想をはるかに超えていた」
    2026年にF1は大幅なテクニカルレギュレーション変更を迎えたが、ハースは開幕戦オーストラリアGPでオリバー・ベアマンが7位、中国GPでは5位に入るなど、期待以上のスタートを切った。

    小松礼雄は、この結果について次のように振り返った。

    「今シーズンここまでの流れは、このチームの良い面も悪い面もすべて表していると思います。シーズン序盤のあれほど強いスタートは、僕の予想や期待をはるかに超えるものでした」

    「今回は史上最大規模のレギュレーション変更でした。グリッドで最も小さなチームである僕たちは、新規参戦のキャデラックを除けば最後尾付近から始まると本気で思っていました」

    そのうえで、基本を徹底したことが好結果につながったと説明した。

    「僕たちは基本に集中しました。予定どおりマシンを完成させ、すべてのテストを消化し、信頼性を確保しながらできる限り多くを学ぼうとしました。走らなければ学べませんからね」

    「その基本は非常にうまくできました。一方で、途中でいくつかミスもありました。それでも開幕戦までには、自分たちの持っているパッケージを最大限引き出す理解は十分にありました」

    さらに、小松は与えられた力を確実に結果へ結び付けることの重要性を強調した。

    「僕はいつも『チャンスを生かせる位置にいなければならない』と言っています。5位を争えるクルマなら5位を獲るべきですし、それが10位や15位のクルマでも、その位置にいなければいけません」

    「15位のクルマでも前で何が起きるかは分かりません。だからこそ基本をしっかりやる必要があります。序盤の好スタートは、それを実践したチーム全員のおかげです。本当に素晴らしい仕事でした」

    小松礼雄(ハースF1チーム)

    開発競争で後退した原因は「環境」にある
    しかし、開幕6戦で5度の入賞を記録した後、ハースはアップデート競争でライバルに追い抜かれた。

    小松は、その責任はスタッフではなく、自身が整えられなかったチーム環境にあると語る。

    「その後の開発競争で起きたことは、僕たちが置かれている制約の多い環境を示しています」

    「人数も、使えるツールも、利用できるリソースも限られています。その制約の中でも、みんなは本当に素晴らしい姿勢を見せてくれています」

    「問題から目を背けることなく、オープンで透明性のある形で向き合い、できるだけ早く改善しようとしています」

    そして、自らの責任について率直に認めた。

    「彼らが本来の力を発揮できる環境を、僕がまだ提供できていないということです」

    「だからこそ、できるだけ早くその環境を整えたいと思っています。開発競争で後れを取ったことは、決してスタッフの能力を反映したものではありません」

    「問題は彼らが置かれている環境であり、それは僕の責任です。彼らが本当のポテンシャルを発揮できるよう改善を進めています。約400人という規模で、これだけの成果を上げていること自体が本当に驚くべきことです」

    「激しい開発競争は想定内だった」
    一方で、小松は現在の状況そのものには驚いていないという。

    「これは完全に予想していました。新しいレギュレーションでは、どのチームにも改善の余地が大きく残っています。だから開発競争がこれほど激しくなることは分かっていました」

    「僕たちが追いつき続けるのは非常に厳しい戦いになるとも分かっていました。制約がある以上、すべてが完璧でなければなりません。しかし現実には、すべてを完璧にはできません」

    「だから今の位置にいるのです。しかし、開発競争がこれほど熾烈だったこと自体は、まったく驚きではありません」

    今回の発言からは、ハースの成績低下をスタッフの能力不足ではなく、組織規模や設備といった構造的な制約によるものと捉えていることがうかがえる。小松は責任を自ら引き受け、チームが本来の力を発揮できる環境づくりを最優先課題として進めていく考えを示した。

  • F2王者テオ・プルシェール オペルからフォーミュラE参戦

    F2王者テオ・プルシェール オペルからフォーミュラE参戦

    2023年のFIA F2王者テオ・プルシェールが、2026/27年シーズンからオペルGSEフォーミュラEチームに加入し、フォーミュラEにフル参戦することが発表された。

    22歳のフランス人ドライバーであるプルシェールは、新世代マシン「GEN4」が導入されるシーズンにフォーミュラEデビューを果たす。オペルにとっても同シーズンがシリーズ初参戦となり、両者は新時代のスタートをともに切ることになる。

    F2王者からインディカーと耐久レースを経験
    プルシェールは若くしてモータースポーツ界で実績を残し、2023年にFIA F2選手権のタイトルを獲得した。

    その後はインディカー、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ、FIA世界耐久選手権(WEC)に参戦。さらにF1でもドライバー育成に関わる役割を務めるなど、シングルシーターと耐久レースの双方で経験を積んできた。

    2026/27年シーズンがフォーミュラEでの初シーズンとなるが、電動レーシングカーでの走行経験はすでに持っている。

    プルシェールは2026年のマイアミ・ルーキー・フリー走行とマドリード・ルーキーテストに参加。マイアミではトップからわずか0.093秒差の2番手に入り、パドック関係者に強い印象を与えた。

    オペルがGEN4導入と同時にフォーミュラE参戦
    プルシェールを起用するオペルGSEフォーミュラEは、2026/27年シーズンから選手権に加わる新規参戦チームだ。

    ドイツの自動車ブランドであるオペルは、ラリー、ツーリングカー、耐久レースで長い歴史と成功を収めてきた。その技術的な経験を、電動モータースポーツの最高峰であるフォーミュラEに持ち込む。

    参戦初年度は、フォーミュラEがGEN3 EvoからGEN4へと移行する大きな転換点と重なる。新チームと若手ドライバーにとっては、既存勢との差を縮める好機となる一方、まったく新しいマシンへの適応力も問われる。

    GEN4は最高出力600kWで常時4輪駆動
    GEN4マシンは、最高速度335km/h以上に到達し、0-100km/h加速は約1.8秒、0-200km/h加速はわずか4.4秒とされている。

    0-200km/h加速は前世代マシンより1.5秒速く、レースモードでは現行のGEN3 Evoと比較して50%高い出力を発生する。

    予選モードでは、GEN3マシンより1周平均で約10秒速くなると見込まれている。

    アタックモードでは最大600kWを発生。これはGEN3 Evoの通常出力と比較して71%の増加となり、電動レーシングカーとして大幅なパフォーマンス向上を実現する。

    また、GEN4は常時4輪駆動を採用する唯一のシングルシーターレーシングカーとなる。

    テオ・プルシェール(オペル) フォーミュラE

    「これまでで最大のシングルシーターでの機会」
    プルシェールは、オペル加入とフォーミュラE参戦について次のように語った。

    「オペルGSEフォーミュラEチーム、そしてオペルファミリーに加わることができて、とてもうれしいです。オペルは豊かなレースの歴史を持つ象徴的なブランドであり、今度は世界選手権で新たな歴史を築こうとしています」

    「これは僕のキャリアにおける次のステップであり、これまでに得たシングルシーターでの最大の機会です」

    「新しいGEN4世代は、F2から移行する僕に完璧に合っています。より大きなパワー、4輪駆動、そして驚異的な加速性能があります。まさに僕が大好きなタイプのマシンです」

    「多くを学び、さらに成長を続けたいと思っています。オペルを成功に導くため、初日から全力を尽くします」

    F2王者としての実績に加え、インディカーやWECで異なるマシンを経験してきたプルシェール。GEN4導入とともに始動するオペルの新プロジェクトで、その適応力とスピードが試されることになる。

  • ホンダ・レーシングがコミケ初出展 アストンマーティンF1ショーカーも展示

    ホンダ・レーシングがコミケ初出展 アストンマーティンF1ショーカーも展示

    HRC(ホンダ・レーシング)は、8月15日・16日に東京ビッグサイトで開催される「コミックマーケット108」に初出展することを発表した。

    世界最高峰のモータースポーツで培ってきた挑戦の精神をより多くの人に届けることを目的とし、ビジョンクリエイターの河森正治氏とのコラボレーションプロジェクト「情熱駆動」を中心に、モータースポーツとエンターテインメントを融合したブースを展開する。

    会場となる南3・4ホールのNo.2231ブースでは、アストンマーティンF1のショーカー展示をはじめ、河森氏デザインの特別仕様シミュレーター「Honda eMS SIM-01」の初公開・販売、VTuber・戌神ころねとのコラボグッズなど、多彩なコンテンツが用意される。

    アストンマーティンF1ショーカーを展示
    ブースでは、ホンダ製パワーユニット「RA626H」を搭載するアストンマーティンF1のショーカー(AMR26)を展示。2026年シーズンからホンダとパワーユニットパートナーシップを結ぶアストンマーティンのF1マシンを間近で見ることができる。

    アストンマーティンF1ショーカー

    1300万円の特別仕様シミュレーターを初公開
    目玉企画の一つとなるのが、河森正治氏がデザインを手掛けた世界に1台だけの特別仕様シミュレーター「情熱駆動 Honda eMS SIM-01」だ。

    HRCが本物のフォーミュラカーをベースに製作した筐体へ、コミックマーケット108開催を記念したスペシャルリバリーを施したもので、会場で初公開されるほか、税別1300万円で販売される。

    また、「Honda eMS SIM-01」の振動ステージでは、レーシングカー特有の振動やサウンドを体感できる体験イベントも実施される。

    河森正治氏やVTuberとのコラボ企画も
    「情熱駆動」プロジェクトでは、Honda/HRCのモータースポーツへの情熱を河森氏ならではの世界観で描いた新ビジュアルを公開。会場限定グッズも販売される。

    さらに、Honda eMSと人気VTuber・戌神ころねの描き下ろしコラボビジュアルも初公開。こちらもコミックマーケット108限定グッズとして販売される予定だ。

    来場者向けには、Honda公式LINEとHonda Racing公式Xをフォローした人を対象に、鈴鹿サーキットで人気の土産「タイヤカスさきいか」をプレゼントするキャンペーンも実施。アンケート回答者には限定スマートフォン壁紙も配布される。

    河森正治 × ホンダ・レーシング戌神ころね × ホンダ・レーシング

    トークステージも開催
    会場では「HRC PASSION DRIVEN STAGE」も実施される。

    8月15日は「REAL × CYBER ~Honda/HRCの情熱とは?~」をテーマに、河森正治氏、TVアニメ監督の福田己津央氏、HRC代表取締役社長の渡辺康治氏が登壇。

    8月16日は「REAL × ENTERTAINMENT ~レースがつなぐ情熱~」をテーマに、HRCレーシングドライバーの佐藤蓮と声優の和泉風花が出演し、モータースポーツとエンターテインメントの魅力について語る。

    今回のコミックマーケット初出展は、HRCがモータースポーツファンだけでなく、アニメやゲーム、VTuberなど幅広いカルチャー層へアプローチする新たな取り組みとなる。展示や体験コンテンツを通じて、HondaとHRCが掲げる「情熱駆動」の世界観を発信する。

  • フェラーリF1代表 後半戦の最優先課題「開発ペース維持が最も重要」

    フェラーリF1代表 後半戦の最優先課題「開発ペース維持が最も重要」

    フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは、2026年シーズン後半戦でチームにとって「最も重要」なのは現在の開発ペースを維持し続けることだと強調した。

    フェラーリは前半戦を好調に戦い、コンストラクターズランキングでは2位につけている。ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールがそれぞれ1勝ずつを挙げ、ドライバーズランキングではハミルトンが首位アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)を50ポイント差で追っている。

    前半戦は「スペインGPが転換点」
    バスールは、夏休み前までのシーズンを振り返り、スペインGPを境に流れが変わったと説明した。

    「前半戦は、おそらく2つの段階に分けられると思う」

    「最初はスペインGPまでだ。その間の4〜5戦では、メルセデスが圧倒的に速く、我々より100ポイント近く多く獲得していた」

    「しかし、おそらくスペインGP以降は状況が変わり、この4〜5戦では我々の方がメルセデスより多くのポイントを獲得できた」

    フェラーリは今季、大規模アップグレードを一度に投入するマクラーレンやレッドブルとは異なり、小規模な改良を毎戦投入し続ける方針を採用している。その積み重ねが、シーズン中盤以降の巻き返しにつながったとみられる。

    課題は実行力とパワーユニット開発
    一方で、バスールはさらなる改善が必要な分野としてレース運営とパワーユニットを挙げた。

    「今日(ハンガリーGP終了時点)を基準に結論を出すなら、改善すべきなのは実行力だと言える」

    「ただ、シーズン開幕からここまでを見れば、その実行力は我々の強みでもあった」

    「エンジン面を改善しなければならないことは理解しているし、それは進めていく。ただし、エンジンはシャシーよりも開発の反応が遅く、改善には時間がかかる」

    フェラーリは今季導入されたADUO(追加開発機会)制度を利用して、すでに1回目のパワーユニットアップグレードを投入。シーズン後半には2回目の改良も予定されている。

    スクーデリア・フェラーリ

    「開発ペースを維持することが最重要」
    バスールは、残りのシーズンで最大のテーマは開発を止めないことだと改めて強調した。

    「最も重要なのは、この開発ペースを維持し続けることだ」

    「マクラーレンは我々とは異なる哲学を採っている。大型アップグレードを投入し、そのたびに非常に大きな前進を遂げている。直近ではマイアミかカナダだったと思う」

    「我々は違うアプローチを選んでいる。毎戦のように新しいパーツを投入し続ける方法だ」

    「この勢いを維持しなければならない。残りは11戦か12戦か、正確な数は分からないが、まだ多くのレースが残っている」

    「シャシーにはあらゆる面で改善の余地がある。だから、この開発スピードを維持し続けなければならない」

    大型アップグレードで一気に性能を引き上げるライバルとは対照的に、フェラーリは継続的な進化を積み重ねる開発哲学を貫いている。バスールは、この積み重ねこそがタイトル争いを続けるための最大の鍵になるとの考えを示した。

  • フェルナンド・アロンソ マクラーレンF1時代にハミルトンへのデータ共有停止を要求

    フェルナンド・アロンソ マクラーレンF1時代にハミルトンへのデータ共有停止を要求

    2007年にマクラーレンでチームメイトとなったフェルナンド・アロンソが、当時新人だったルイス・ハミルトンへのデータ共有を停止するようチームに要求していたことが明らかになった。

    当時アロンソのレースエンジニアを務めたマーク・スレイドが振り返り、この要求は却下されたものの、アロンソがチーム内で不公平な扱いを受けていると強く感じていたことの表れだったと証言している。

    スレイドが明かしたアロンソの要求
    2007年シーズン、前年まで2年連続でワールドチャンピオンを獲得していたフェルナンド・アロンソは、マクラーレンへ移籍。一方、チームメイトにはF1デビューを果たした新人ルイス・ハミルトンが起用された。

    しかし、シーズンが進むにつれて両者の関係は急速に悪化。アロンソはチームが新人のハミルトンを優遇していると感じ、不満を募らせていった。

    当時アロンソのレースエンジニアだったマーク・スレイドは、ピーター・ウィンザーのインタビューで次のように明かした。

    「2007年、フェルナンドとルイスの関係が最悪だった頃、シルバーストンあたりの時期にフェルナンドはルイスに自分のデータを見せないよう要求した」

    「彼は、自分もルイスのデータを見なくて構わないと言っていた。両方のマシンのデータにアクセスできることは、ルイスにとって有利になるだけだと確信していたんだ」

    この要求は最終的にマクラーレンに却下された。

    マクラーレンが要求を拒否した理由
    スレイドは、チームが要求を受け入れなかった理由について、チーム全体の競争力を優先したためだと説明した。

    「もちろん認められなかった。しかしフェルナンドは本気だった」

    「彼もルイスのデータを見ることはできた。その情報をもっと有効に使って自分のパフォーマンス向上につなげるべきだったと思う」

    さらにエンジニアの立場から、データ共有はチーム全体の利益につながると強調した。

    「エンジニアとして言えば、情報は多いほど判断の質が高まり、チームは速くなる。戦っている相手はチームメイトだけではなく、グリッド上のすべてのライバルだからだ」

    「もし両ガレージで扱える情報を制限すれば、結果としてチーム全体のパフォーマンスも制限してしまう」

    要求の背景にあった不信感
    スレイドによれば、アロンソは要求が拒否されたことにも強い不満を抱いていたという。

    「最終的には拒否されたが、彼は非常に真剣だった。そして自分の望みがかなわなかったことに非常に不満を抱いていた」

    一方で、この要求そのものが問題の本質ではなく、チームとの関係悪化が生んだ結果だったと振り返る。

    「この要求は、彼がさまざまな面で不公平な扱いを受けていると感じていたことの表れだった」

    「これは多くの要因の一つに過ぎない。彼なりに、不公平だと感じていた状況を正そうとした行動だったのだろう」

    2007年のマクラーレンは、アロンソとハミルトンの激しいタイトル争いに加え、チーム内対立やスパイゲート問題などで混乱したシーズンとして知られる。アロンソは3年契約で加入したものの、わずか1年でチームを離脱しており、今回の証言は当時の緊張関係の一端を改めて示すものとなった。

  • ドナルド・トランプが画策したニュージャージーF1計画 実現しなかった舞台裏

    ドナルド・トランプが画策したニュージャージーF1計画 実現しなかった舞台裏

    米国のドナルド・トランプ大統領が、かつてニュージャージー州でF1グランプリを開催する構想に関与していたことを、アルピーヌのエグゼクティブアドバイザーを務めるフラビオ・ブリアトーレが明かした。

    当時、米国でのF1人気は現在ほど高くなく、ブリアトーレはトランプと当時のF1最高経営責任者バーニー・エクレストンを引き合わせ、ニューヨーク周辺での市街地レース開催を模索していたという。

    米国で3戦を開催するまでに成長したF1
    現在のF1は、Netflixのドキュメンタリーシリーズ『Formula 1:栄光のグランプリ』の影響もあり、米国で急速に人気を拡大している。

    サーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われるアメリカGPは2012年からカレンダーに定着し、2022年にはマイアミGP、2024年にはラスベガスGPが加わった。現在では米国内で年間3レースが開催されている。

    さらに2026年には米国系チームのキャデラックがF1に参戦し、北米市場における選手権の存在感はかつてないほど強まっている。

    しかし、2007年を最後にインディアナポリスでのアメリカGPが消滅した当時、F1は米国で十分な評価を得られておらず、新たな開催地の確保に苦戦していた。

    ブリアトーレがトランプとエクレストンを仲介
    ブリアトーレによると、米国でのF1開催を復活させるため、自身がトランプとエクレストンの間を取り持ったという。

    当初はニューヨーク市内でのグランプリ開催が有力視されていたが、トランプは交通や行政上の問題を理由に、ニュージャージー州の方が現実的だと提案した。

    ブリアトーレは『The Race Business』の番組『In Conversation With…』で、当時の経緯を次のように振り返った。

    「もちろん、ドナルドもF1については何も知らなかった。でも、彼は優れたプロモーターだった」

    「当時はボクシングをプロモートしていたし、ラスベガスでもあらゆるイベントを手がけていた」

    「僕がドナルドとバーニーを話させた。僕はドナルドのオフィスにいて、バーニーと映像をつなぎ、ニューヨークでレースを開催するならどこが最適かを話し合った」

    トランプはニュージャージー開催を提案
    トランプはニューヨークでの開催には多くの障害があると指摘し、代替案としてニュージャージーを推したという。

    「ドナルドは、ニューヨークはさまざまな理由で非常に難しいが、ニュージャージーなら開催できると言った」

    「それでバーニーは、ニュージャージーの2人か3人の関係者と交渉を始めた」

    ニュージャージーでは、マンハッタンの高層ビル群を背景にハドソン川沿いを走る市街地レース構想が長年にわたって検討された。だが、資金面や運営面の問題から計画は進展せず、実際にグランプリが開催されることはなかった。

    当時の米国ではF1の価値が認められず
    ブリアトーレは、計画が失敗した最大の理由として、当時の米国でF1が特別なスポーツとして認識されていなかったことを挙げた。

    「でも、僕たちは成功できなかった。F1は特別なものだと考えられていなかったからだ」

    「NASCARやインディカーについて話すのとは、まったく違うビジネスだった。当時のF1には、ほとんど価値が認められていなかった」

    現在ではマイアミやラスベガスで大規模な市街地レースが行われ、F1は米国スポーツ市場で重要な地位を築いている。一方で、トランプとエクレストンが関わったニュージャージー開催構想は、米国でF1人気が本格化する前に消えた未実現の計画となった。