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  • ハースF1富士TPCで見えた坪井翔と福住仁嶺起用の賛否 議論を分けたTPCの役割

    ハースF1富士TPCで見えた坪井翔と福住仁嶺起用の賛否 議論を分けたTPCの役割

    TGRハースF1チームが7月28日から29日にかけて富士スピードウェイで実施したTPC(Testing of Previous Cars)は、日本のモータースポーツファンにとって特別な2日間となった。

    2025年型VF-25を使用した今回のテストでは、坪井翔と福住仁嶺がF1マシンをドライブ。日本人ドライバーが母国で最新世代に近いF1マシンを走らせる機会は極めて珍しく、平日の開催にもかかわらず多くのファンが富士スピードウェイを訪れ、その走りを見守った。

    しかし、今回のTPCを巡る議論は、単純な賛否では語れないものだった。

    日本では「国内トップドライバーがF1マシンに乗る姿を見られた」という喜びが広がる一方で、「TPCは本来、若手育成のための制度ではないのか」という疑問も投げかけられた。そして海外では、坪井翔や福住仁嶺という個人以上に、「トヨタとハースはTPCをどのような育成プログラムとして運用していくのか」という点が大きな論点となった。

    一見すると、日本は歓迎、海外は批判という構図にも見える。

    だが、実際に交わされていた議論を追っていくと、対立していたのは坪井翔と福住仁嶺の評価ではなかった。

    議論の中心にあったのは、「TPCを何のための制度と考えるのか」という認識の違いである。

    日本では、国内トップカテゴリーで実績を積み重ねたドライバーがF1マシンへ乗ること自体に大きな価値が見いだされた。一方、海外ではTPCをF1への育成プロセスの一部と捉える見方が強く、限られた走行機会を誰へ与えるべきかという議論へ発展していった。

    同じ出来事でありながら、評価の出発点は大きく異なっていたのである。

    TPCとは何か 今回の議論を理解するための前提
    今回の反応を理解するうえで、まず整理しておきたいのがTPCという制度の位置付けだ。

    TPC(Testing of Previous Cars)は、FIAが認める旧型F1マシンによるテスト制度である。原則として使用できるのは2年以上前のマシンだが、2026年はレギュレーションが全面的に変更されたことから、前年型となる2025年型マシンの使用が特例として認められた。

    現在のF1では、現行マシンによるプライベートテストは厳しく制限されている。そのためTPCは、若手ドライバーへF1マシンを経験させる場として活用されるだけでなく、リザーブドライバーの走行機会やチームスタッフの育成、オペレーション確認、各種システムの習熟など、多くの目的を担うプログラムとなっている。

    ハースも今回の富士テストについて、ドライバー育成だけではなく、エンジニアやメカニックを含めたチーム全体の育成プログラムであることを強調していた。

    つまりTPCは、単なるデモランでもファンサービスでもない。

    一方で、将来のF1ドライバー候補へ経験を積ませる役割も期待されていることから、「誰を起用するのか」が常に議論の対象となる制度でもある。

    今回の富士テストも、その二面性が色濃く表れたケースだった。

    トヨタとハースは2025年から技術提携を進め、その一環としてTPCを活用してきた。平川亮や宮田莉朋、小林可夢偉、そして坪井翔もこれまでテストへ参加しており、今回初めて福住仁嶺が加わった。

    そのため、今回の起用は単独の出来事ではなく、「トヨタ・ハース提携がどのような育成プログラムを目指しているのか」を示す一つの材料として受け止められたのである。

    ハースF1チーム 富士スピードウェイ

    日本では「F1に乗る姿」そのものが歓迎された
    日本国内で最も目立ったのは、坪井翔と福住仁嶺の起用を歓迎する声だった。

    その多くは、「F1デビューへ近づいた」という期待よりも、「国内トップドライバーがF1マシンを走らせる姿を日本で見られる」という事実そのものを喜ぶものだった。

    平日開催にもかかわらず、「2日とも富士へ行く」「仕事を調整してでも見たい」「日本でF1マシンの本格走行を見られる機会は貴重だ」といった声が相次ぎ、現地からは走行写真や動画、ガレージ周辺の様子が次々と発信された。

    イベントとしての注目度の高さは、TPCという制度の認知度以上に、「F1マシンが富士を走る」という特別感の大きさを物語っていた。

    福住仁嶺の起用には、とりわけ感慨深いという反応が多かった。

    GP3でランキング3位に入り、欧州でF1を目指した経験を持ちながら、その夢は叶わなかった。それでも帰国後はSUPER GTやスーパーフォーミュラで第一線を走り続け、日本を代表するドライバーの一人としてキャリアを築いてきた。

    そうした歩みを知るファンからは、「ようやくF1マシンへ乗る姿を見ることができた」「長年応援してきたので本当にうれしい」「努力が報われた瞬間だった」といった声が多く聞かれた。

    坪井翔についても同様である。

    スーパーフォーミュラ王者、SUPER GT王者という国内最高峰カテゴリーでの実績を考えれば、「国内でこれだけ結果を残したドライバーがF1マシンへ乗るのは当然」「トップカテゴリーを戦ってきた証しだ」と受け止める意見が目立った。

    現地ではガレージ前へ姿を見せた福住に拍手が送られたという報告や、坪井を含めてサインを求めるファンの列ができたという投稿も見られ、会場全体が2人を温かく迎える雰囲気に包まれていたことが伝わってくる。

    ここで印象的なのは、多くのファンが今回のTPCを「F1昇格への選考」ではなく、「国内モータースポーツで積み重ねてきたキャリアが最高峰カテゴリーで評価された瞬間」と受け止めていたことだ。

    もちろん、年齢や現在の立場を考えれば、今回の走行がそのままF1レギュラーシートにつながると考えているファンは多くない。

    それでも、「F1へ乗る価値」と「F1へ昇格する可能性」は別の話だという見方が、日本では広く共有されていた。

    国内最高峰で結果を残したドライバーが、世界最高峰のマシンを操る。その姿を見ること自体に意味がある――。

    そう考えるファンが多かったからこそ、今回のTPCはまず歓迎ムードで受け止められたのである。

    しかし、その一方で、「だからこそ別の選択肢もあったのではないか」という声も確かに存在した。

    その議論は、坪井や福住の実力を疑問視するものではなく、TPCという制度の目的そのものへ向けられていくことになる。

    歓迎一色ではなかった国内 「若手を乗せるべき」という声はなぜ上がったのか
    歓迎ムードが広がる一方で、日本国内ではもう一つの議論も静かに広がっていた。

    それは、「TPCは本来、誰のための制度なのか」という問いである。

    「坪井も福住も素晴らしいドライバーだと思う」

    「2人の実績に異論はない」

    そう前置きしたうえで、「それでもTPCは若手へ経験を積ませる場ではないのか」という意見が少なからず見られた。

    「育成プログラムというなら、将来F1を目指す若いドライバーへ機会を与えた方がいい。」

    「国内トップドライバーへの評価としては理解できるが、育成とは少し意味が違う。」

    「限られた走行日数だからこそ、将来につながる投資に使ってほしい。」

    こうした声は、坪井や福住を否定するものではなく、TPCという制度の運用方法に対する問題提起だった。

    実際、「坪井が日本で最速クラスのドライバーであることは誰もが認めている」「福住にもF1マシンへ乗る資格は十分ある」と評価するコメントと、「それでも若い世代へ機会を与えるべきではないか」という意見は矛盾なく共存していた。

    つまり、日本で起きていた議論は「起用された2人がふさわしくない」という話ではなく、「TPCという限られた機会を、どのような目的で使うべきか」という制度論だったのである。

    その背景には、トヨタとハースの提携に対する期待の大きさもある。

    2025年に両者の技術提携が発表された際、多くのファンは「日本人ドライバーがF1へ近づく新たなルートができるのではないか」と期待を寄せた。

    宮田莉朋がF2へ参戦し、平川亮がリザーブドライバーとして活動するなど、少しずつF1との接点は増えていたものの、「トヨタからF1ドライバーが誕生する」という明確な道筋は、まだ見えているとは言い難い。

    だからこそ、TPCにも「未来への投資」という役割を期待する声が生まれた。

    もし将来的にF1を目指す若手がいるのであれば、その経験を少しでも早く積ませるべきではないか――。

    そうした考え方は決して否定的なものではなく、トヨタ・ハース提携への期待が大きいからこそ生まれた意見でもあった。

    もっとも、その一方で、「TPCを若手だけの制度と考える必要はない」という反論もあった。

    ハース自身が説明しているように、TPCはドライバーだけではなく、エンジニアやメカニックを含めたチーム全体の育成プログラムでもある。

    そうした環境では、経験豊富なドライバーが的確なフィードバックを返すことに大きな意味がある。

    マシンの挙動を正確に伝えられるドライバーであれば、エンジニアにとっても貴重なデータが得られる。レースオペレーションを確認するうえでも、安定して走行できるベテランドライバーを起用するメリットは小さくない。

    そのため、「育成とは若手だけを意味するものではない」「チーム全体を育てるというTPC本来の目的を考えれば、今回の人選は十分理解できる」という意見も少なくなかった。

    つまり、日本国内でも議論は単純な賛成と反対には分かれていない。

    「国内トップドライバーへの評価」という考え方と、「未来のF1ドライバーへの投資」という考え方。その二つの価値観がTPCという制度の中で交差し、「誰を乗せるべきだったのか」という議論につながっていったのである。

    ハースF1チーム トヨタ

    海外では最初から論点が違っていた
    海外でも、坪井翔と福住仁嶺の起用は大きな話題となった。

    しかし、日本とは異なり、議論の出発点は2人への評価ではなかった。

    多くのファンにとって最初の疑問は、「彼らは誰なのか」という点だった。

    スーパーフォーミュラやSUPER GTを日常的に追っている海外ファンは決して多くない。坪井の名前を初めて目にしたという反応も珍しくなく、福住についても「GP3時代は知っているが、その後はどういうキャリアを歩んだのか」という質問が目立った。

    そのため、SNSや掲示板では、日本のファンが2人の実績を紹介し、それを受けて「国内でそこまで成功しているドライバーなら理解できる」というやり取りが数多く見られた。

    ただ、海外ではそこで議論が終わらない。

    2人の経歴を理解した後、多くのファンが関心を向けたのは、「では、なぜ今この2人だったのか」という点だった。

    「TPCは将来のF1ドライバーへ経験を積ませる場ではないのか。」

    「もっと若い育成ドライバーを起用する選択肢はなかったのか。」

    「このプログラムはトヨタのF1育成戦略の一部なのか。」

    こうした疑問が次々と挙がり、議論は自然とトヨタとハースの提携全体へ広がっていった。

    特にRedditなどでは、「actual young drivers(本当に若い育成対象のドライバー)」という表現が繰り返し使われ、TPCを将来のF1候補へ経験を積ませる制度として捉える意見が目立った。

    一方で、「経験豊富なドライバーから得られるフィードバックはチームにとって非常に重要だ」「TPCはオーディションではなく、チーム全体の開発と育成を目的とした制度だ」と擁護する声もあり、海外でも意見は決して一方向ではなかった。

    興味深いのは、ここでも議論の中心が坪井や福住個人ではなく、TPCという制度の使い方に置かれていたことである。

    海外が注目したのは「トヨタはF1への道筋を描けているのか」
    海外で交わされた議論は、やがてTPCという制度そのものから、トヨタの育成戦略全体へと広がっていった。

    繰り返し見られたのが、「このTPCは、トヨタがF1ドライバーを育成するプロジェクトの一部なのか」という問いだった。

    トヨタとハースは2025年から技術提携を開始し、TPCやシミュレーター、エンジニア交流などを含む協力関係を築いてきた。しかし、その先にどのような育成ロードマップがあるのかは、まだ明確には示されていない。

    そのため海外では、「TPCの先に何があるのか」という視点から提携を評価する声が少なくなかった。

    「この経験はFP1につながるのか。」

    「リザーブドライバーへの昇格を見据えたものなのか。」

    「最終的にF1レギュラーシートまで到達できる仕組みが用意されているのか。」

    こうした疑問は、今回の起用だけに向けられたものではなく、トヨタがF1とどう向き合おうとしているのかという、より大きなテーマへと発展していった。

    その過程で、しばしば比較対象となったのがホンダだった。

    ホンダは長年にわたり、若手ドライバーを欧州へ送り出し、F3、F2を経てF1へ挑戦する環境づくりを続けてきた。もちろん、そのすべてが成功したわけではないが、「F1へ向かうルート」が見えやすかったことは事実である。

    一方、トヨタは国内モータースポーツへの関与が非常に深く、スーパーフォーミュラやSUPER GTとの結び付きも強い。そのため、欧州のジュニアカテゴリーを軸とするホンダとは育成の考え方自体が異なっている。

    海外ファンの中には、「トヨタは国内カテゴリーを重視しすぎているのではないか」という見方もあれば、「国内で経験を積んだドライバーへF1マシンを経験させることにも十分な価値がある」と評価する声もあった。

    つまり、ホンダとの比較は優劣を論じるものではなく、「トヨタはどのような方法でF1を目指す人材を育てようとしているのか」という関心の表れだったのである。

    だからこそ、「path to the grid(F1グリッドへの道筋)」という言葉が繰り返し使われた。

    海外ファンが知りたかったのは、坪井翔や福住仁嶺がF1へ行けるかどうかではない。

    TPCという取り組みが、将来の日本人ドライバーをF1へ送り出す仕組みの一部として機能するのかどうかだった。

    「ご褒美」という言葉が映し出した評価軸の違い
    今回のTPCを巡る議論を象徴する出来事の一つが、トヨタタイムズが福住仁嶺の初めてのF1走行を紹介した際に用いた「ついに”ご褒美”の日がやってきた」という表現だった。

    日本では、この言葉に共感する反応が多く見られた。

    F1という夢を追い続けながら叶わず、それでも国内トップカテゴリーで結果を残し続けてきた福住の歩みを知るファンにとって、「ご褒美」は長年の努力が報われたことを表す自然な言葉だった。

    「ここまで頑張ってきたからこそ得られた機会だ。」

    「長く応援してきたファンとして本当にうれしい。」

    「キャリアへの最高の評価ではないか。」

    そうした受け止め方は、国内ファンの間で広く共有されていた。

    一方で、「TPCは育成プログラム」という視点に立つ人たちは、この表現に少し違った印象を抱いていた。

    もしTPCが将来のF1ドライバーを育てる場なのであれば、「ご褒美」ではなく、「挑戦」や「次のステップ」といった意味合いの方が強いのではないか――。

    そんな考え方である。

    もっとも、この言葉自体が強い批判を受けたわけではない。

    むしろ印象的だったのは、「ご褒美」という一言が、それぞれのファンがTPCへ期待している役割を映し出していたことだった。

    TPCを国内トップドライバーへの評価と捉える人にとっては、「ご褒美」はしっくりくる。

    一方で、TPCをF1育成のプロセスと考える人にとっては、「未来への投資」というイメージの方が強い。

    同じ言葉であっても、TPCという制度をどう理解しているかによって、その響きは大きく変わっていた。

    TPCが残したもの
    今回の富士TPCは、イベントとして見れば大きな成功だったと言える。

    平日開催にもかかわらず多くのファンが富士スピードウェイへ集まり、日本人ドライバーがF1マシンを走らせる姿に歓声を送り、その様子は国内外で広く共有された。

    トヨタとハースの提携によって、日本でF1マシンが走る機会が増えたこと自体を歓迎する声も多く、日本のモータースポーツファンに新たな夢を示したことは間違いない。

    一方で、育成プログラムとしての評価は、今回のTPCだけで結論づけられるものではない。

    ここで得た経験がFP1出走やリザーブドライバーとしての活動、さらにはF1への挑戦へどうつながっていくのか。その積み重ねがあって初めて、トヨタ・ハース提携の育成プログラムは評価されることになる。

    今回の議論から見えてきたのは、日本と海外で賛否が真っ二つに分かれていたという単純な話ではなかった。

    日本では「国内トップドライバーへの評価」として歓迎され、海外では「将来のF1育成」という観点から議論された。その評価軸は異なっていたものの、どちらにも共通していたのは、トヨタとハースの提携が日本人ドライバーに新たな可能性をもたらしてほしいという期待だった。

    だからこそ、富士で行われた2日間のTPCが投げかけた問いは、「坪井翔と福住仁嶺を起用したことは正しかったのか」ではない。

    トヨタ・ハース提携は、日本人ドライバーをF1へ送り出す新たな道となり得るのか。

    今回交わされた数多くの議論は、その未来への期待の大きさを物語っていた。

  • ハースF1 富士TPCに7900人 坪井翔と福住仁嶺が2日間を完走

    ハースF1 富士TPCに7900人 坪井翔と福住仁嶺が2日間を完走

    7月29日(水)、静岡県の富士スピードウェイでTGRハースF1チームによるTPC(Testing of Previous Cars/旧型車テスト)が終了した。2日間にわたるテスト最終日は好天に恵まれ、坪井翔と福住仁嶺が2025年型マシン『VF-25』で精力的に周回を重ねた。

    初日は雨の影響で走行時間が制限されたものの、2日目は朝からドライコンディションとなり、気温・路面温度ともに高い厳しい環境のなかでプログラムを消化。

    2日間合計では100周を大きく超える周回を重ね、2025年マシンのデータ収集とドライバー評価を進めた。

    坪井翔が2日間最速タイムを記録
    午前のセッション3では、前半2時間を坪井、後半2時間を福住が担当。両者ともハードタイヤで走行を開始した後、新品ミディアムタイヤを装着してアタックランを実施した。

    坪井はセットアップ変更やスタート練習を挟みながら徐々にタイムを更新し、最終的に1分17秒914を記録。このタイムが2日間を通じた最速タイムとなった。

    一方、福住は最高速336.449km/hを記録しながら1分18秒442をマーク。セクター1では坪井のベストを上回る区間タイムを刻んだものの、高い路面温度の影響もあってセクター2、3でタイムを伸ばし切れず、コンマ5秒差となった。

    今回のベストタイムは昨年のTPCで記録された1分17秒470には届かなかったが、今年は真夏の高温コンディションでタイムが出にくい状況だったことが大きく影響した。坪井も「コンディションが整っていれば1分16秒台には十分入れた」と手応えを語っている。

    また、今回のテストではタイヤ温度の管理も大きな課題となった。アタックラップ後はピットでブロワーを使用してタイヤを冷却し、「プッシュラップ→インラップ→アウトラップ→プッシュラップ」というサイクルで走行を繰り返した。

    坪井は「リヤタイヤの温度管理が難しく、冷却しないと2周目はフロントとリヤのバランスがまったく合わずアタックできなかった」と振り返っている。

    午後はロングランでレースシミュレーション
    午後の最終セッション4は14時30分から17時まで実施され、午前とは異なりロングランを中心としたプログラムが組まれた。

    最初にステアリングを握った福住は、アタックランを終えた後に18周の連続走行を実施。1分24秒前後の安定したペースを維持し、レース距離を想定した走行データを収集した。

    その後、シート交換などを経て坪井が走行を担当。1分19秒133を記録した後、連続走行へ移行し、前半は1分23秒台、終盤は1分22秒台を中心に周回を重ねた。

    午後だけで2人は合計48周を走破し、2日間にわたるTPCの全プログラムを完了した。

    ハースF1チーム 富士スピードウェイ

    F1マシンで得た大きな収穫
    2日間のテストでは、スーパーGTとスーパーフォーミュラで活躍する坪井、そして今回がF1マシン初ドライブとなった福住が、ともに多くの経験を積んだ。

    福住は「1分18秒2くらいまでは見えていた。もう少しまとめられた部分はあったが、この暑いコンディションの中で攻め切れたので悔いはない」と振り返った。

    一方の坪井も、高温コンディションでもF1マシンのポテンシャルを十分に引き出せたことに手応えを示しており、日本を代表するトップドライバー2人にとって充実した2日間となった。

    なお、今回のTPCには2日間合計で7900人が来場。昨年から127.4%増となる観客が富士スピードウェイを訪れ、日本で近代F1マシンが走る貴重な機会を楽しんだ。ハースF1チームのTPCは、日本のモータースポーツファンの関心の高さを改めて示すイベントとなった。

  • ハースF1 富士TPC初日終了 福住仁嶺がF1初走行で77周を走破

    ハースF1 富士TPC初日終了 福住仁嶺がF1初走行で77周を走破

    ハースF1チームは7月28日、富士スピードウェイでTOYOTA GAZOO Racing(TGR)とのドライバー育成プログラムの一環として実施しているTPC(Testing of Previous Cars/旧型車テスト)の初日を終了した。

    この日は午前・午後の2セッションが行われ、福住仁嶺がF1マシンでの初走行を含めて計77周を走破。午後は天候の変化に翻弄されながらも、2025年型マシン『VF-25』で貴重な走行距離を積み重ねた。

    午前はF1初ドライブで54周を走破
    当初3時間で予定されていた午前セッションは、午後からの天候悪化が予想されたため1時間延長され、9時から13時まで実施された。

    ウエットコンディションでスタートしたセッションでは、まず昨年に続いてTPCへ参加する坪井翔が15周を担当。その後、マシンは福住へ引き継がれ、シートやペダル類の調整を終えた福住が自身初となるF1マシンでの走行に臨んだ。

    福住はウエットタイヤで走行を開始すると、路面の乾燥に合わせてスリックタイヤへ変更。1プッシュ・2クールダウンを繰り返すプログラムを消化しながら徐々にペースを上げ、DRSも使用した走行でベストタイム1分18秒080を記録した。最高速度は336.449km/hに達し、午前だけで54周を走破した。

    午後は雨待ちの展開 終盤にはオーバーランも無事帰還
    午後のセッションは、午前の延長に伴い予定より1時間遅れの14時30分にスタートした。

    昼過ぎから再び雨が降り始めたものの、水量がウエットタイヤには不足していたため、福住は序盤に9周を走行したあと約1時間の待機を強いられた。

    その後、雨脚が強まったタイミングで走行を再開すると、ベストタイムを1分33秒745まで更新。さらに終盤にもコースへ戻ったが、雨が強くなったGRコーナー(第1コーナー)でオーバーランを喫した。幸いマシンはバリアなどへの接触はなく、そのままピットへ戻り、午後の走行を終えた。

    午後は福住のみが23周を走行し、予定されていた坪井の走行は行われなかった。

    ハースF1チーム トヨタ

    2日目も福住と坪井がセッションを分担
    富士TPC初日は、午前のドライコンディションと午後の不安定な天候という対照的な条件のなかで終了した。

    福住は初めてF1マシンをドライブしながら1日で77周を走破。チームにとっても車両やタイヤ、各種システムのデータを収集する充実した一日となった。

    29日の2日目は、午前のセッション3を福住、午後のセッション4を坪井が担当する予定となっている。

  • ハースF1 小松礼雄がフォルナローリに言及「間近で評価できることを嬉しく思う」

    ハースF1 小松礼雄がフォルナローリに言及「間近で評価できることを嬉しく思う」

    ハースF1の小松礼雄代表が、2024年FIA F2王者レオナルド・フォルナローリを高く評価した。将来的な起用については明言を避けたものの、「間近で評価できることを嬉しく思う」と語り、その才能を認めた。

    フォルナローリは6月にヘレスでハースの2025年型マシンを使ったTPC(旧型車テスト)に参加。このテストをきっかけに、2027年のF1デビュー候補としてハース入りの可能性が取り沙汰されており、小松代表の発言にも注目が集まっている。

    F2王者フォルナローリに高まるF1昇格への期待
    レオナルド・フォルナローリは2024年にFIA F3王者、2025年にはFIA F2王者に輝いたイタリア期待の若手ドライバー。現在はマクラーレンのリザーブドライバーを務め、今年3月にはバルセロナで初のF1テストを経験した。

    その後もマクラーレンでTPCプログラムを継続してきたが、6月17日と18日にはヘレスでハースの2025年型マシンをドライブ。この異例のテストが、2027年のハース加入の可能性をめぐる憶測を呼んでいる。

    ハースの2027年シート候補には、現在チームのリザーブドライバーを務めるジャック・ドゥーハンのほか、レッドブルのリザーブドライバーである角田裕毅、フェラーリ・ドライバー・アカデミー所属のラファエル・カマラらの名前も挙がっている。

    小松礼雄「若手にチャンスを与えることが目的」
    フォルナローリのハースでのテストは、トヨタがサポートする若手育成プログラムの一環として実施されたとみられる。通常は日本人ドライバーの育成が中心となるだけに、マクラーレン育成ドライバーであるフォルナローリの参加はパドックでも話題となった。

    こうした状況について、小松礼雄代表はスペイン紙『Marca』などの取材に対し、フォルナローリを高く評価しつつも、将来の契約については慎重な姿勢を示した。

    「これがどこにつながるのかは分かりません。しかし、私たちのTPCプログラムの目的は若いドライバーにチャンスを与えることです」

    「レオは現F2チャンピオンです。堅実なドライバーですし、マクラーレンでも素晴らしい育成プログラムの中にいます。だから彼を間近で評価できる機会を得られたことを嬉しく思っています」

    「現時点で新しいドライバーが必要かどうかは分かりません。私の関心は現在の2人のドライバーに向けられています」

    【関連】
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  • ハースF1 ボン・ジョヴィと提携 新会員制度「Haas+ Fans First」始動

    ハースF1 ボン・ジョヴィと提携 新会員制度「Haas+ Fans First」始動

    ハースF1は6月30日(火)、ファン向けロイヤルティプログラム「Haas+」を軸とした新たなファン施策「Haas+ Fans First」を開始した。F1だけでなく、音楽やエンターテインメント分野とのコラボレーションを通じて、会員限定の特別な体験や限定特典を提供していく。

    第1弾企画では、世界的ロックバンド「ボン・ジョヴィ」と提携。ロンドン・ウェンブリー・スタジアムで開催される『Forever Tour』最終公演のVIPチケットが当たるキャンペーンを実施し、ファンとの新たな接点づくりを加速させる。

    ハースF1が新ファンプログラムを始動
    TGRハースF1チームは、新たなファン向け施策「Haas+ Fans First」を正式に発表した。

    無料で登録できるロイヤルティプログラム「Haas+」を中心に展開されるこの取り組みでは、F1の枠を超えてスポーツ、音楽、エンターテインメント、カルチャー分野との協業を進め、ファンへ特別な体験を提供することを目的としている。

    プログラムではVIPアクセスやバックステージ体験、限定イベントへの招待、一般公開前のファンウェアやグッズの先行案内など、通常では得られない特典が用意される。

    第1弾はボン・ジョヴィとの特別企画
    「Haas+ Fans First」の第1弾として、ハースF1はアメリカを代表するロックバンド「ボン・ジョヴィ」と提携した。

    抽選で選ばれたHaas+会員1名と同行者1名には、ロンドンのウェンブリー・スタジアムで開催される『Forever Tour』最終公演のVIPチケット2枚が贈られる。

    キャンペーンは7月1日に受付を開始し、8月21日まで実施。応募はHaas+会員限定となる。

    小松礼雄「ファンとともにチームを成長させたい」
    チーム代表の小松礼雄は、この取り組みについて次のように説明した。

    「ファンの皆さんは私たちの活動の中心です。『Haas+ Fans First』は、世界中で応援してくださる皆さんへ感謝を伝え、モータースポーツの枠を超えた体験を提供するための取り組みです」

    「TGRハースF1チームには、スポーツやエンターテインメント、ポップカルチャーを代表する多くの方々とつながる機会があります。チームがコース内外で成長していく中で、その歩みをファンの皆さんと共有することが重要だと考えています」

    「ジョン・ボン・ジョヴィ氏とそのご家族とは1年以上にわたって協力関係を築いてきました。世界最高のロックバンドのライブを体験していただくこと以上に、『Haas+ Fans First』のスタートにふさわしい企画はないと思います」

    ジョン・ボン・ジョヴィ「ロックもレースも本質は同じ」
    ジョン・ボン・ジョヴィも今回のコラボレーションについて歓迎のコメントを寄せた。

    「ロックンロールとレースには多くの共通点があります。素晴らしいチームを作り、仲間を信頼し、チャンスをつかみ、最後までアクセルを緩めないことです」

    「TGRハースF1チームは、その闘志を体現しているチームです。努力と粘り強さ、そして情熱があれば世界中どこへでも行けるという信念は、私もずっと大切にしてきました。ハースファミリーの一員となり、ファンの皆さんとこの新しい旅を共有できることを楽しみにしています」

  • ハースF1 小松礼雄「ゴジラは共鳴する存在」日本GPで特別リバリー

    ハースF1 小松礼雄「ゴジラは共鳴する存在」日本GPで特別リバリー

    TGRハースF1チームは2026年F1日本GPに向けて、東宝の人気コンテンツ「ゴジラ」とのコラボレーションを実施することを発表した。

    3月24日には東京ミッドタウン日比谷でメディアイベントが開催され、チーム代表の小松礼雄、エステバン・オコン、オリバー・ベアマン、そして東宝の大田圭二氏が登壇。日本GPで走行する特別リバリーが世界初公開された。

    今回のコラボは、日本文化とF1の融合を象徴する取り組みとなる。多くの報道陣とファンが集まる中、カウントダウンとともにベールが外され、ゴジラのデザインが施されたVF-26が披露されると会場は大きな歓声に包まれた。

    小松礼雄「ゴジラのダイナミックさと共鳴」
    小松礼雄は今回のコラボについて、チームとして以前から構想していたことを明かした。

    「(チームオーナーの)ジーンと『コラボするならゴジラだ』と話していた。世界中で知られるゴジラのダイナミックさは、我々のチームと共鳴する部分がある」

    「ゴジラファンの皆さんとF1という面白い世界を融合できればと思っている」

    さらに今回のリバリーについても強い手応えを示した。

    「車体にゴジラの炎やダイナミックな雰囲気を自然に表現できた。クラックのデザインも含めて、非常にナチュラルなコラボになった」

    東宝・大田圭二氏「大きな価値を生む」
    東宝の大田圭二は、両者の共通点を強調した。

    「小松代表から直接提案をいただき、対話を重ねて実現した。TGRハースF1チームの挑戦する姿勢と、ゴジラの圧倒的なパワーには多くの親和性がある」

    「今回のコラボによって、大きな価値が生まれると確信している」

    ハース F1 日本GP エステバン・オコンハース F1 日本GP オリバー・ベアマン

    オコン&ベアマンも興奮「迫力満点」「楽しみ」
    ドライバーのエステバン・オコンは、初めてマシンを見た印象を次のように語った。

    「すごくカッコいい車になった。最初は黒と赤のデザインに見えたけど、近づくとゴジラが現れて迫力があった。この車が走るのを早く見せたい」

    オリバー・ベアマンも期待を寄せる。

    「ゴジラの魂が入ったことで、本当にクールなマシンになった。このクルマで日本GPを走るのがとても楽しみだ」

    日本GPは3月27日開幕
    2026年F1日本GPは、三重県・鈴鹿サーキットで3月27日から29日にかけて開催される。

    TGRハースF1チームは、コンストラクターズランキング上位につける好調な流れの中で母国イベントを迎えることとなり、ゴジラとの特別マシンとともに大きな注目を集める週末となりそうだ。

    コピーライト:TM & ©︎ TOHO CO., LTD.

  • ハースF1のローラ・ミュラーが告白「エステバン・オコンはとても心配性」

    ハースF1のローラ・ミュラーが告白「エステバン・オコンはとても心配性」

    シーズン最終盤に入り、ハースF1のレースエンジニアとしてエステバン・オコンを担当するローラ・ミュラーが、1年目の手応えを振り返った。

    ミュラーは2025年開幕前にオコンのレースエンジニアに就任し、F1の歴史上初めて女性が正式に昇格した例として注目を集めた。2022年にシミュレーター部門からハースへ加わり、その後パフォーマンスエンジニアを経て現在の役割に抜擢された人物だ。

    「エステバンは面白い人。そして心配性」
    オランダのFomule.nlに語ったミュラーは、オコンとの関係が当初から好調だったと明かす。

    「エステバンと仕事をするのは本当に良い。私たちは根本的に似ているところが多い」とミュラーは説明する。

    「彼はすごく面白いの。多くの人が思っている以上にね。でも同時にとても心配性でもある。私はどちらかというとリスクを取るタイプで、トラックウォークでは自転車で走りながら時々ちょっとした ‘無茶’ をすることもある。するとエステバンは『ケガするんじゃないか』と本気で心配するのよ。2人でよく笑っているわ」

    新しい環境と新しい役割「思ったより早く噛み合った」
    2人が“噛み合う”までに時間はかかったのかと問われると、ミュラーは「驚くほどすぐだった」と語る。

    「大きな調整は必要なかった。エステバンは経験豊富なドライバーだけれど、今年は新しいチームに来たばかり。彼は環境に慣れる必要があって、私は新しい役割に慣れる必要があった」

    「もちろん、ドライバーとレースエンジニアとしてコミュニケーション面で慣れるべき部分はある。でも、思っていたよりずっと簡単だった。誤解や小さなミスは今でもあるけれど、それが私の働きに悪影響を及ぼしたことはないわ」

    「互いを信頼している」関係性の成熟
    ミュラーが最も強調したのは、オコンとの間に築かれた“信頼”だ。

    「私が言うことをエステバンはしっかり受け止めてくれるし、その逆も同じ。セットアップの話でも、その他のことでもね。彼のドライバーとしての経験は、私が良い判断をするうえで大きく助けになっている」

    「私たちは常にオープンに話し合っている。どちらか一方が主導する、という関係ではない。そこがとても大きいわ」

    ハースF1にとって変革の年となった2025シーズン。オコンとミュラーの“新コンビ”は、最終盤を迎えた今、確かな信頼と手応えを築き上げている。

  • トヨタ、ハースF1チームとの提携はチーム買収の第一歩?

    トヨタ、ハースF1チームとの提携はチーム買収の第一歩?

    ラルフ・シューマッハは、オースティンから始まるトヨタとのハースF1チームの新たな提携は、アメリカチームが「売りに出されている」という「明白な兆候」であると述べた。

    ハースF1チームとトヨタは金曜日、トヨタのモータースポーツ部門であるTOYOTA GAZOO Racingが複数年契約でハースF1チームの公式テクニカルパートナーになることを発表した。

    この契約により、トヨタは事実上、2024年の次のレースであるアメリカグランプリからF1グリッドに復帰することになり、GAZOO Racing Company 高橋智也プレジデントは、この契約をハースF1チームとの「競争」と表現している。

    ハースF1チームは、シミュレーターの専門知識や風洞の使用を含む、設計、技術、製造サービスといったトヨタのリソースから恩恵を受けることになるが、一方で、TOYOTA GAZOO Racingにドライバー、エンジニア、メカニックがHaasの「TPC」テストに参加するF1チームへのアクセスを提供する。

    しかし、この新たな提携は、ハースF1チームにエンジンやその他のパーツを供給しているフェラーリとの現在の関係に影響を与えるものではないが、今後、トヨタのスタッフがハースの空力開発に関与することで、両社の関係が発展していくことが期待されている。

    トヨタは、エンジンサプライヤーになることや、2009年以来チーム運営に携わるという背景の話は一切ないと断固として主張している。

    TOYOTA GAZOO Racingのモータースポーツエンジニアリング部門のゼネラルマネージャーである加地雅哉は「現時点では、パワーユニット供給への参入計画はありません」とメディアに語った。

    「実際、F1にチームを持つ計画もありません。現時点では、ハースと提携することが最善の選択であり、最善のオプションなのです」

    トヨタによるハースF1チーム買収の第一歩?
    しかし、元F1ドライバーで現在は解説者を務めるラルフ・シューマッハは、そうは考えていないようだ。

    「私としては」と彼はSPORT1に語った。「トヨタとの提携は、ハースが売りに出されているという明確なサインだ。」

    彼は、トヨタはハースとの提携を通じて、必要なノウハウのレベルを獲得していると見ている。

    「トヨタにとって、エンジニアリングの哲学を変えることが今重要だ。私の時代には、彼らは常に技術者を部署間でローテーションさせていた。しかし、F1ではあらゆる分野の専門家が必要であり、あらゆる分野について少しずつ知っている人ではだめだ」

    「それなら私はトヨタに大いに期待している。なぜなら資金力があるからだ」

    しかし、今年初め、アンドレッティがグリッド上の12番目のチームになるチャンスを逃したことを受け、同チームを買収したいと熱望していた。

    「私はチームを売却するためにF1に参入したわけではない」とジーン・ハースはフォーミュラ1.comに語った。「レースをしたかったからだ」

    「私たちは利益を得るためにここにいるわけではない。レースをして競争力を高めたいのだ。どのチームを見ても、歴史的に見ると、良い年もあれば悪い年もたくさんある」

    「生き残ることは、より良くなるための特徴のひとつだ。生き残れる限り、常に価値を証明する次の年がある」

    シーズン途中、ハースがNASCARチーム、スチュワート・ハース・レーシングの閉鎖を発表したことで、再び噂が駆け巡った。しかし、閉鎖はNASCARチームのみに関係するもので、ハースF1チームには関係ないことがすぐに明らかになった。

    ジーン・ハースはトヨタの新チームについてまだコメントしていないが、ハースF1チームの代表である小松礼雄によると、ジーン・ハースは「考えるまでもない」と考えていたという。

    「ジーンを説得するのは難しくありませんでした」と小松礼雄は明かし、「現在の金融規制やスポーツ界の現状を見れば、たとえ我々がこのようなパートナーシップを望んだとしても、見つけることはできないでしょう。加地さん(トヨタのモータースポーツ担当の加地雅哉)と話し始めたときは、どちらかというとアイデアでした」

    「お互いの目的や強み、弱みについて話し合い、理解を深めるにつれ、正直なところ、完璧な組み合わせでした。だから、ジーンに売り込むのは難しくありませんでした。費用対効果を上げるには、時間効率を上げなければなりません。我々は改善しました」

    「通常は多額の投資を必要とするエンジニアリングの他の側面を社内に取り入れない限り、効率面で大きな飛躍を遂げることはできません。TGRへの投資により、私たちはその飛躍を非常に迅速に実現できるのです」

    「ジーンは非常に熱心で、いつも『アヤオ、トップ6で安定した成績を収め、表彰台に上るには何が必要だろうか?』と聞いてきます。ですから、ジーンを説得するのは難しくありませんでした」

  • トヨタと提携のハースF1チーム アメリカGPで星条旗カラーリング

    トヨタと提携のハースF1チーム アメリカGPで星条旗カラーリング

    トヨタとの提携を発表したハースF1チームは、2024年シーズン中に3回あるホームレースの2回目を祝うため、サーキット・オブ・ジ・アメリカズで開催されるアメリカGPの週末に特別なカラーリングのマシンを公開した。

    通常の黒、赤、白のカラーリングに、青のハイライトと白と黒の星などの追加の機能が補完されている。これは、アメリカ国旗への敬意を表したものだ。

    2016年にデビューして以来、ハースはアメリカ国旗を掲げてレースに参戦しており、本社はノースカロライナ州キャナポリスに、ヨーロッパの拠点はオックスフォードシャー州バンベリーに置かれている。

    また、トヨタとの提携を発表したハースF1チームのマシンにはノーズとリアウイングの背面などにトヨタのロゴが掲載され、スペシャル版のレーシングスーツにも左胸にTOYOTA GAZOO Racingのロゴが掲載されている。

    トヨタ ハースF1チーム アメリカグランプリ

    しかし、ニコ・ヒュルケンベルグとケビン・マグヌッセンのマシンのカラーリングを変更しただけでなく、オースティンラウンドでは、コンストラクターズランキングで6位のRBを追い抜くことを目指し、さまざまなアップグレードが投入される予定である。

    「オースティンでは、シーズン終盤に向けての主なアップデートを投入する予定だ。主にフロアとボディワークのさらなる開発が含まれる」とテクニカルディレクターのアンドレア・デ・ゾルドは説明した。「目標はいつも通り、空力負荷を改善して車をより速くすることだ」

    「ラップタイムを大幅に短縮するのは難しいので、我々は小さな数字について話しているが、熾烈なミッドフィールドの戦いにおいては、すべてが重要なステップであり、私たちはそれを実現したいと考えている」

    「これは我々のパッケージの改良とさらなる進化であり、新しいものではないが、マシンは少し違って見えるだろう」

    「我々は6位を争っている。それはとてもいい気分だ。それを達成するには、本当に全力を尽くさなければならない。なぜなら、今シーズンを成功させるために多大な努力を傾けてきたチームの全員にとって素晴らしいことだからだ」

    最終6戦を前に、ハースはライバルのRBに3ポイント差の31ポイントを獲得している。

  • トヨタ ハースと提携してF1に再参画する背景にどんなメリットがあるのか?

    トヨタ ハースと提携してF1に再参画する背景にどんなメリットがあるのか?

    トヨタを15年間の休止期間を経てハースF1チームとともににF1に復帰する契約を結んだ。F1特派員のローレンス・バーレットが、ハースがなぜ、どのようにしてそれを成し遂げたのか、そして復帰するトヨタにとってどのような意味を持つのかを説明した。

    ハースF1チームはグリッド上で最も小さなチームとして名を馳せ、今シーズンは実力以上の素晴らしい活躍を見せ、コンストラクターズ選手権で7位につけている。 RBから6位を奪う可能性も十分にある。

    しかし、ハースF1チームは、それをより一貫して行うには、組織を可能な限り効率的かつ費用対効果の高い方法で進化させる必要があることを理解している。

    2016年の設立以来、パートナーとして共に歩んできたフェラーリとダラーラに加え、トヨタのモータースポーツ部門であるトヨタ・ガズー・レーシング(TGR)をチームに迎え入れることは、まさにそのためのものだ。

    トヨタ ハースF1チームハースF1チームはトヨタが所有する富士スピードウェイでこの契約を発表した。

    なぜ提携するのか?
    富士スピードウェイでこのニュースを発表した後、日本からビデオ通話で話したチーム代表の小松礼雄は、ハースには「理解するために必要なリソースやハードウェア能力が不足している」ことを認めた。

    ハースF1チームが常にミッドフィールドで競争力を維持できるようにするため、彼は「リソースをより多く提供してくれる人を探しています。また、そのハードウェアとノウハウも持っている人です」と述べた。彼の見解では、TGRがその役割を果たすことができる。

    トヨタはドイツのケルンに素晴らしい施設を持っている。現在、そこは世界耐久選手権チームの本拠地であり、ヨーロッパのモータースポーツ活動のカスタマー基盤となっている。昨年までは、マクラーレンが風洞を使用するためのプログラムも実施していた。

    トヨタは新しいプロジェクトを支援する能力に恵まれており、F1で再び活動する方法を模索していた。日本のメーカーは、しばらく前からF1との関係を再構築する方法を検討しており、まずマクラーレンとの契約を締結し、ル・マン24時間レースの優勝者である平川亮をリザーブチームを含む開発プログラムに参加させた。

    ハースF1チームの小松礼雄との話し合いは、シーズン開始前から、両社が協力できる可能性について始まっていたが、すぐにそれぞれの目標に相乗効果があることが明らかになった。

    「彼らは、我々にはあるが、我々にはない施設、人数、リソースを求めていました。それが、我々が互いの専門知識を活用するきっかけとなりました」と小松礼雄は語った。

    トヨタ ハースF1チーム 画像トヨタのブランドは、次のアメリカグランプリから、ハースF1チームのマシンに表示される。

    このことは、ハースとフェラーリの関係にどのような影響を与えるのだろうか?
    小松礼雄は、トヨタがフェラーリとの関係を縮小するつもりはないことを強調した。現在、フェラーリはハースにパワーユニットやギアボックスを含む多数の部品を供給しており、ハースはイタリアチームのマラネロ拠点に独自の施設を確保している。

    「トヨタとのパートナーシップは、フェラーリとのパートナーシップに取って代わるものではありません」と小松礼雄は語る。「フェラーリとハースのパートナーシップは土台であり、今後も常に土台であり続けます。このパートナーシップは、フェラーリとの土台となるパートナーシップを奪うものではなく、それを強化するものです」

    「フェラーリとの関係、フェラーリから得られるものは素晴らしい。それはハースF1チームの基盤です。しかし、それ以外にもトヨタが我々を支援できる分野があります。我々は、この話し合いの初期段階からフェラーリ経営陣に対して透明性を保ってきました。TGRとの提携内容と、各社の知的財産(IP)をどのように保護するかについて、明確な理解があります」

    では、どのように機能するのだろうか?
    ハースとトヨタは、来週末のオースティンでのアメリカグランプリから、すぐにコラボレーションを開始する。

    商業的には、年間数千万ドルに上る重要な契約であると理解されているが、両者にとってはそれ以上の意味を持つ。両者は、この新たな関係を、成長の余地が十分にある長期的なプロジェクトと捉えている。

    トヨタ ハースF1チーム 発表会ハースF1チームの代表である小松礼雄は、トヨタの会長である豊田章男と高橋智也とともにステージに登場した。

    まず、この2人は英国バンベリーにあるハースF1チームの拠点にシミュレーターを設置する計画を立ち上げた。現在、アメリカのチームは契約の一部として、イタリアにあるフェラーリの最新シミュレーターを使用しているが、その場所が遠いため、ハースは思うように活用できていない。

    「マラネロのフェラーリ・シミュレーターは利用でき、実際に使用もしていますが、本気で走らせているわけではありません」と小松礼雄は語る。

    「プレシーズンには使用していますが、シーズン中はマラネロのシミュレーターでできることは限られています。 サーキットに常駐できるスタッフの人数は限られています。 24レースを担当する英国在住のスタッフに、さらに10日間のイタリア勤務を頼むわけにはいきません。 場所の問題で、それ以上のことはできませんでした」

    「このパートナーシップがなければ、シミュレータープログラムを実施するのは難しい。TGRは自社用およびカスタマープロジェクト用としてシミュレーターの専門知識を持っています。つまり、シミュレーター操作のあらゆる側面におけるハードウェアと専門知識を持っています。だから、私たちはそれを活用します」

    トヨタをパートナーに迎えたことで、シミュレーターを構築するハードウェアと、それを操作する専門知識と人材をすでに有する企業を得たことになる。これにより、ハースはこのようなプロジェクトをより迅速に立ち上げ、低コストで運用することが可能になる。

    それでもまだ時間はかかる。来年までに準備を整え、相関関係を確立するのは難しいだろう。しかし、自分たちでやろうとするよりもはるかに早く、効率的に進められるはずだ。

    トヨタ F1トヨタは以前、ワークスチームとしてF1に参戦しており、2002年から2009年まで参戦していた。

    トヨタは、ハースとの契約から何を期待しているのだろうか?
    トヨタは、シミュレータープログラムに自社の社員を参加させることができ、それによってF1に関する知識と経験を蓄積することができる。

    また、トヨタにとっては、日本の若手ドライバーの育成を手助けする機会でもある。これは、トヨタの企業目標の要となるものである。

    ライバルであるホンダはF1に参入し、パワーユニットで常勝チームとなっただけでなく、日本のレーシングドライバーをF1に送り込むことに成功した。現在、レッドブル・ファミリーの一員として4年目のシーズンを戦っている角田裕毅もその一人だ。

    トヨタは今、自社の日本人ドライバーの育成プログラムを有しており、シミュレータープログラムを活用して彼らを速く走れるようにすることができる。

    そして、このプロジェクト旧車テスト(TPC)プログラムと組み合わせる。これは、ハースが2年落ちのマシンをプライベートテストで走らせる初めての試みとなる。

    これにより、トヨタはF1を目指す有望なドライバーに貴重な車内での時間を与えることができる。また、トヨタのエンジニアがプロジェクトに取り組む一方で、テストチームを率いるハースのエンジニアやメカニックから学ぶこともできる。

    ハースF1チーム 小松礼雄小松礼雄は、このパートナーシップに「非常に興奮している」と述べ、「双方に明白な利益がある」と語っている。

    では、ハースにとってのメリットは何だろうか?
    ハースにとって、TPCはトヨタの才能を活用し、トヨタ出身者を含む若いドライバーを評価し、スタッフを短期間でレースチームの戦力に育て上げ、長期的には才能ある人材をチームに引き入れるための機会となる。

    「TPCは人材育成という観点で非常に重要です」と小松礼雄は語る。

    「当社のスタッフは300人強で、人材の予備軍もいないため、例えばレースエンジニアやパフォーマンスエンジニアが1人でも退職したり、レースに参加しないプログラムに参加したりすれば、本当に苦労することになります。常に限界ぎりぎりの状態で、組織を改善するためには、ある意味で生き残りをかけた状態をベースラインにしていてはなりません」

    「組織を強化しなければならなりません。そのためには、TPCを通じてエンジニアやメカニックのトレーニングを開始し、バックアップ要員を確保する必要があります。もちろん、予算上限があるため、タイムシートとして行うという点では、ある意味でより複雑になる。つまり、『伝統』を扱う人々、すなわちTPCは上限外となりますが、そうした人々の多くはレースチームに移らなければならなりません。そして、一定の割合を超えると、彼らを予算上限に含めなければならなりません。そのため、その詳細については、正しく行う必要があります」

    「しかし、組織を構築するという観点では、不測の事態に備え、若い人材を確保する能力を持つという意味で、私にとってTPCは最高の環境です。ですから、トヨタの若いドライバーたちが我々のTPCカーを運転することになります」

    トヨタ ハースF1チーム 記者会見小松礼雄、豊田章男、高橋智也は富士で集まったメディアに元気よく対応した。

    オーナーのジーン・ハース氏はこの提携をどう考えているのだろうか?
    小松礼雄は、トヨタとの提携のメリットをチームオーナーのジーン・ハースに納得させるのは「難しくなかった」と語った。

    チームの予算の大半は、アメリカ人オーナー自身のポケットマネーから出ている。そのため、彼は常に、最も費用対効果が高く効率的な方法で事業を運営することに熱心に取り組んできた。

    トヨタをチームに迎え入れることは、財務上の利益と専門知識の両面において、小松レイオスの言葉を借りれば「当然の成り行き」であった。

    「現在の金融規制やモータースポーツの現状を見れば、たとえこのようなパートナーシップを望んだとしても、見つけることはできないでしょう。加地さん(トヨタのモータースポーツ責任者、加地雅哉)と話し始めたときは、どちらかといえばアイデアでした」

    「話し合いを重ね、互いの目標や強み、弱みを理解するにつれ、正直に言って完璧な組み合わせだと感じました。だから、ジーンに売り込むのは難しくありませんでした。費用対効果を上げるには、時間効率を上げなければならなりません。我々は改善しました」

    「エンジニアリングの他の側面を社内に取り込むという、通常は多額の投資を必要とする方法を取らない限り、効率面でこれ以上の飛躍は望めません。TGRへの投資により、我々は飛躍を非常に迅速に実現できます。ジーンは非常に熱心で、常に『アヤオ、トップ6で安定した成績を収め、表彰台に上るには何をすべきか?』と尋ねてきます。だから、ジーンを説得するのは難しくありませんでした」

    トヨタ F1復帰日本のメーカーであるトヨタがF1の世界で将来どのような展開を見せるのか?

    これはダラーラにとって何を意味するのだろうか?
    ダラーラは、アメリカのチームがスポーツに参入して以来、ハースのシャシーを製造してきたが、トヨタの参入により、その関係が将来どのように続くのかという疑問が生じている。

    小松礼雄は、ダラーラを「重要なパートナー」であり「重要な関係」と呼び、「今後、どのような範囲内でダラーラやトヨタと協力するかを協議するが、共存していくことになります」と付け加えた。

    トヨタのF1に対する野望とは?
    トヨタは、2002年から8年間F1に参戦し、13回の表彰台を獲得したものの、現在、F1に本格的に復帰する計画はないと強調している。

    独自のエンジン開発計画はないと主張しており、純粋に空力面でのサポートに専念し、このプロジェクトを通じて従業員のF1に関する知識と専門性を高め、日本のレーシング・タレントの強化を図ることを目的としている。

    「F1チームを持つ計画はありません」と加地雅哉は語る。「現時点では、ハースとの提携が最善の選択です」

    しかし、これほど大規模な提携を行うということは、将来的にF1での存在感を高めるポテンシャルにトヨタが興味を持っていることは明らかだ。