カテゴリー: F1ハンガリーGP

  • フェリペ・マッサ 2009年F1大事故の記憶 スメドレー「助かるか分からなかった」

    フェリペ・マッサ 2009年F1大事故の記憶 スメドレー「助かるか分からなかった」

    2009年F1ハンガリーGPでフェリペ・マッサを襲った重大事故について、当時フェラーリでレースエンジニアを務めていたロブ・スメドレーが、事故発生直後の混乱と病院で過ごした時間を振り返った。

    予選中、前方を走っていたルーベンス・バリチェロのマシンから脱落したサスペンションのスプリングがマッサのヘルメットを直撃。意識を失ったマッサはタイヤバリアに衝突し、頭部に重傷を負った。

    緊急手術によって一命を取り留めたものの、当時は生命が危ぶまれるほど深刻な状態だった。

    異変に気づけなかった事故直後
    スメドレーは『High Performance Racing』ポッドキャストで、事故が起きるまでマッサにもフェラーリにも好感触があったと振り返る。

    「チームのオペレーションは2008年からさらに一段階上がっていたし、フェリペ自身もそうだった。安定していいパフォーマンスを発揮していた」

    「ハンガリーは間違いなくマシンに合うレースだと思っていたし、予選でもまずまずの結果を出せると思っていた。実際のところマシンはひどかったけど、それでも彼は予選では常にトップ10に入っていた」

    事故はマッサがアタックラップを開始し、ターン5へ向かう上り坂で発生した。

    「彼が減速し始めるのが見えた。事故には見えなかった。だからエンジンかギアボックスが壊れたと思った。マシンが止まろうとしている、よくある光景に見えた。ただ、少しスピードが高かった」

    スメドレーは無線で「どうした?」と問いかけた。しかし返事はなかった。

    「最初は腹を立てていて話したくないんだと思った。予選の最中だし、ギアボックスかエンジンが壊れたのなら、話したくないこともある」

    ところが、マッサのマシンはそのままタイヤバリアへと向かった。

    「突然止まったのを見て、『クラッシュしたのか』と思った。でも、その前から減速していた。何かがおかしかった」

    ガレージ側でテレメトリーを確認すると、さらに不可解な状況が判明した。

    「スタッフのひとりから、上り坂でブレーキを踏み始めると同時にアクセルも踏んでいたと言われた。しかもブレーキもアクセルも強く踏んでいた。『これはおかしい』と思った」

    無線から聞こえた「うめき声」
    その後、オンボード映像が映し出され、スメドレーは事態が通常のクラッシュではないことに気づき始めた。

    「彼はステアリングに手を置いたまま、左側へ流れていった。そして縁石を越え、コースの反対側まで行って、グラベルを跳ねながらタイヤウォールに突っ込んだ」

    「『そのまま壁に向かって走っていった』と思った。しかも手はまだステアリングにあった。それ自体がものすごく異常だった。ドライバーが壁に突っ込むときは、最後の瞬間に手を離すものだからね」

    フェラーリのピットは「完全な混乱」に陥った。

    「ガレージも僕も混乱していた。誰にも何が起きたのか分からなかった」

    そのとき、沈黙していたマッサの無線回線が突然開いた。

    「ひどい、喉の奥から出るようなうめき声が聞こえた。本当に激しい痛みに苦しんでいる人の声だった」

    「おそらく彼は意識を取り戻しかけて、手を動かしているうちに本能的にボタンを押したんだと思う。何かを話しているわけではなかった。ただ、ひどいうめき声だけだった。その瞬間に『これは普通じゃない』と分かった」

    スメドレーはマッサ本人と、その音声を聞いていたフェラーリのスタッフを守るため、無線を切ったという。

    当初は「鳥が当たった」と考えたフェラーリ
    事故原因もすぐには分からなかった。

    数分後、当時ルノーのチーム代表だったフラビオ・ブリアトーレがフェラーリのピットウォールを訪れ、事故時の静止画像を見せた。フェラーリ側は当初、鳥がマッサのヘルメットに衝突したのではないかと考えたという。

    しかし、その後の情報から、バリチェロが駆るブラウンGPのマシンから脱落したサスペンションのスプリングが直撃したことが判明した。

    「ルーベンスのマシンから何かが外れたらしいという話が出てきた。実際にはリアサスペンションのスプリングだった。800グラムか1キロくらいのものだったと思う」

    マッサはサーキットのメディカルセンターに搬送され、その後ヘリコプターでブダペスト市内の病院へ運ばれた。

    「鎮静処置を受け、気管切開をして、それからヘリで運ばれた」

    「助かるかどうか分からない」
    スメドレーも病院へ向かった。そこで待っていたのは、マッサが生き延びられるかどうかさえ分からないという厳しい現実だった。

    「ブダペストには軍病院があって、頭部外傷について世界でもトップクラスの技術と医師がいた。でも、あの土曜の夜は手術中で、『助かるかどうか本当に分からない』という状態だった」

    当時を語りながら感情を抑えきれなくなったスメドレーは、一度言葉を止めてから話を続けた。

    マッサは人工的な昏睡状態に置かれた。日曜夜には「かなり安定した」ものの、依然として予断を許さない状態だったという。

    スメドレーは決勝が行われる日曜日にハンガロリンクへ戻った。

    「チームを支えるためだった。でも、たぶん僕はあそこにいるべきではなかったと思う。心ここにあらずだった」

    フェリペ・マッサ F1

    目覚めたマッサ「来週にはマシンに戻る」
    翌週末、フェラーリはスメドレーを再びブダペストへ向かわせた。マッサは昏睡状態から目覚め、徐々に回復し始めていた。

    だが、事故によるダメージは外見からも明らかだった。

    「衝撃的だったけど、ある意味では笑ってしまうほどだった。頭が文字どおり普段の2倍くらいに腫れていて、全部が黒と青になっていた。本当に頭全体があざだらけだった」

    意識を取り戻した直後には混乱も見られた。

    「最初は僕にポルトガル語で話しかけてきた。その後は僕が誰なのか分からなくなった。そして、自分がマクラーレンのドライバーだと思っていた」

    それでも記憶が戻ると、マッサが真っ先に考えたのはF1への復帰だった。

    「僕が誰なのか、自分がどのチームで走っているのか分かるようになると、ずっと『ステファノ(ドメニカリ)に電話して、来週にはマシンに戻れると伝えてくれ。月曜日からテストできる。もうかなり良くなった』と言っていた」

    事故を機にF1を辞めることも考えたスメドレー
    長年マッサと密接に仕事をしてきたスメドレーにとって、この事故は自身のキャリアについて考え直すほど大きな出来事だった。

    事故後には、F1で仕事を続けるべきなのか疑問を抱き、その思いをフェラーリ側にも伝えていたという。

    最終的にはF1に残ることを決断した。スメドレーは後に、その選択について、残りのF1キャリアを「心から楽しむことができた」と振り返っている。

    スメドレーは2013年までマッサのレースエンジニアを務め、2014年にウィリアムズへ移籍して車両パフォーマンス部門の責任者に就任。奇しくもマッサも同じ2014年にフェラーリからウィリアムズへ移籍した。

    一方、マッサは2009年シーズンの残りを欠場したものの、翌2010年の開幕戦からフェラーリでF1復帰を果たした。その後ウィリアムズでキャリアを続け、2017年F1アブダビGPを最後にグランプリから退いた。

    17年が経過しても、スメドレーにとって2009年ハンガリーGPの記憶は鮮明に残っている。突然途絶えた無線、理解できないマシンの動き、そして回線から聞こえてきたマッサのうめき声。生命の危機から復帰を果たしたマッサの事故は、F1の安全性を改めて問い直す大きな契機のひとつとなった。

  • 井上隆智穂 F1ハンガリーGPでメディカルカーにはねられ負傷 31年前の珍事

    井上隆智穂 F1ハンガリーGPでメディカルカーにはねられ負傷 31年前の珍事

    1995年8月13日に行われたF1ハンガリーGPで、日本人ドライバーの井上隆智穂がコース上でメディカルカーにはねられるという、F1史でも屈指の珍事が起きた。

    しかも、井上隆智穂がF1の公式車両と接触したのは、このシーズンだけで2度目だった。ハンガロリンクで起きた一件は、31年が経過した現在も語り継がれる異例の出来事となっている。

    炎上したマシンを消火しようとしてメディカルカーと接触
    1995年8月13日のハンガリーGPでは、ウィリアムズのデイモン・ヒルがポールポジションから全周回をリードして圧勝。チームメイトのデビッド・クルサードが約33秒差の2位に入り、ウィリアムズが1-2フィニッシュを飾った。

    一方、ミハエル・シューマッハはベネトンの燃料ポンプにトラブルが発生し、3周遅れの11位に終わった。

    しかし、このレースで結果以上に強烈な印象を残すことになったのが、フットワークから参戦していた井上隆智穂だった。

    13周目前後、井上隆智穂がドライブするフットワークFA16にエンジントラブルが発生。マシンはランオフエリアにストップし、煙を上げ始めた。

    小規模な火災が発生するなか、マーシャルによる消火が十分に早くないと判断した井上隆智穂は、自らコックピットを降りた。そしてマーシャルポストから消火器を受け取り、マシンへ戻ろうとした。

    そのとき、現場にはタトラ623のメディカルカーが芝生を横切って接近していた。

    井上隆智穂がマシンの方向へ向きを変えた瞬間、後方からやってきたメディカルカーと接触。衝撃でボンネットの上にはね上げられ、そのまま地面へ転倒した。

    井上隆智穂は後に、その瞬間についてこう振り返っている。

    「バーン! 誰かにものすごい勢いではねられた。でも、僕はちゃんと足から着地したんだ。完璧な着地だったよ」

    映像だけを見れば深刻な負傷につながっても不思議ではない事故だったが、幸いにも負傷は左脚の軽傷にとどまった。

    井上隆智穂は次戦ベルギーGPには出場できるまでに回復した。

    病院へのヘリ搬送も「レースが止まる」と却下
    だが、井上隆智穂にとって災難はメディカルカーにはねられたところで終わらなかった。

    事故後、井上隆智穂はサーキットのヘリコプターで病院へ搬送されるものと考えていた。しかし、当時F1レースディレクターを務めていたチャーリー・ホワイティングから、レース中はヘリコプターを使用できないと告げられたという。

    「ヘリコプターで病院に連れて行ってもらえると思っていた。でもチャーリーが来て、『すまない、タキ。ヘリコプターは使えない。使ったらグランプリを止めなければならない。あと1時間、レースが終わるまで待ってくれ』と言われたんだ」

    現在のF1では医療体制やヘリコプターの運用について厳格な基準が設けられているが、1995年当時を象徴するエピソードのひとつでもある。


    実は同じ年のモナコでも公式車両と衝突
    ハンガリーGPの事故をさらに奇妙なものにしているのが、井上隆智穂にとって1995年シーズン2度目の「公式車両との接触」だったことだ。

    同年のモナコGPでは、井上隆智穂のフットワークがコース上で牽引されていた際、ルノー・クリオのコースカーが後方から衝突。フットワークは衝撃で横転し、井上隆智穂は脳震盪を負った。

    そして約3カ月後のハンガリーでは、今度はマシンではなく井上隆智穂本人がメディカルカーにはねられた。

    1シーズンのうちに2度もF1の公式車両との事故に巻き込まれるという、あまりにも珍しい経験だった。

    井上隆智穂はF1でポイントを獲得することはなかったが、1995年ハンガリーGPで消火器を手に走り、直後にメディカルカーにはねられた場面は、31年が経過した現在もF1史に残る珍事として語り継がれている。

  • FIA黄旗ルールに波紋 アントネッリのペナルティでF1ドライバーも意見割れる

    FIA黄旗ルールに波紋 アントネッリのペナルティでF1ドライバーも意見割れる

    F1ハンガリーGP予選でアンドレア・キミ・アントネッリに科されたグリッド降格ペナルティをきっかけに、黄旗区間で「どこまで減速すれば十分なのか」というFIAの運用基準を巡る議論が再び活発化している。

    元F1ドライバーのアンソニー・デビッドソンは、現在のルールについて「ドライバーの間でも意見が一致していない」と明かし、今後も論争が続く可能性を示唆した。

    アントネッリの減速は「十分ではなかった」
    アントネッリはハンガリーGP予選Q3終盤、マックス・フェルスタッペンがスピンして黄旗が提示された区間を通過した際、十分に減速しなかったとして3グリッド降格処分を受けた。

    この裁定により、4番手タイムを記録していたアントネッリは降格となった。

    このケースは、数週間前のオーストリアGP予選でチームメイトのジョージ・ラッセルが似た状況で処分を免れた事例とも比較されている。

    オーストリアではフェルスタッペンがターン9でスピンした際、ラッセルは黄旗区間でアクセルを緩め、スチュワードは十分に減速したと判断してポールポジションを認めた。一方、アントネッリはその周回自体を中止していた。

    PlanetF1.comのデータ分析によれば、ラッセルは自己ベストと比較して約0.08秒タイムを失ったのに対し、アントネッリは約0.6秒遅くなっていたという。

    それでも今回のハンガリーでは、アントネッリの減速は十分ではないと判断された。

    「15メートル早くアクセルを戻した」
    メルセデスのポッドキャスト『Silver Arrows Radio Show』で、元F1ドライバーのアンソニー・デビッドソンは当時の状況を振り返った。

    「映像を見返したとき、どちらの判断になるか本当に分からなかった。非常に際どいケースだった」

    「キミは黄旗を確認すると通常より早くアクセルを戻し、コーナー進入も早い段階で減速に移っていた」

    これに対し、副チーム代表のブラッドリー・ロードは次のように説明した。

    「通常より約15メートル手前でアクセルを戻し、そのまま惰性でコーナーへ進入していた。しかしスチュワードは、その減速では規則を満たしていないと判断した」

    「オーストリアでは周回を完全に諦めていたが、今回は減速量が十分ではないと結論づけられた」

    比較対象となった基準ラップにも問題
    メルセデスの副テクニカルディレクターを務めるシモーネ・レスタは、今回の判定には別の要因もあったと説明する。

    「比較対象となった基準ラップ自体が理想的なラップではなかった。その区間ではキミ本来の速さを示すラップではなく、それが状況を複雑にした」

    「減速していても、比較対象が本来より遅いセクターだったため、十分なタイムロスとして認識されなかった」

    さらにアントネッリ自身も、FP3の燃料を多く積んだ状態のラップと比較しても、減速しながらなお速いタイムだったと指摘していたという。

    「さまざまな条件が重なった結果だった。キミは確かに反応したが、比較基準との関係で必要な減速量には達していないと判断された」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    明文化されない「十分な減速」が議論に
    現在のFIA規則では、黄旗区間で具体的に何km/h減速すればよいかは明文化されていない。

    スチュワードが各ケースごとに「十分に減速したかどうか」を判断する仕組みとなっており、この裁量の大きさが議論を呼んでいる。

    そのため、一部では黄旗ではなく常にダブルイエローを提示すべきだとの意見も出ているが、この案についても意見は割れている。

    デビッドソンは、GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の理事を務めるラッセルとの会話を紹介しながら次のように語った。

    「オーストリアの後にジョージとも話したが、予選中の黄旗運用についてパドック内でもまだ意見はまとまっていない」

    「マシンがコース上で停止したら常にダブルイエローにすべきだというドライバーもいる。それなら全員が何をすべきか明確になる」

    「一方で、自分とは関係ない場所で起きたインシデントのせいでラップを犠牲にするのは不公平だと考えるドライバーもいる」

    「ドライバー同士でも正しい運用について共通認識はできていない」

    メルセデス「一貫性を保つのは簡単ではない」
    2人のドライバーで異なる裁定を経験したロードは、レースコントロールとスチュワードの難しい立場にも理解を示した。

    「レースコントロールやスチュワードの立場は非常に難しい。すべてのインシデントは状況が異なり、コーナー速度やランオフエリア、発生した文脈も毎回違う」

    「我々も時には判断に不満を感じ、時には納得することもある。一貫性を維持するのは簡単ではない。まったく同じケースは存在しないからだ」

    アントネッリは決勝で3位表彰台を獲得し、ランキング首位を維持したものの、今回の一件はFIAの黄旗運用と裁定基準を巡る議論を再び浮き彫りにする結果となった。

  • アービッド・リンドブラッドが感じた“2ストップの匂い”がローソン8位を後押し

    アービッド・リンドブラッドが感じた“2ストップの匂い”がローソン8位を後押し

    レーシングブルズF1のアービッド・リンドブラッドは、F1ハンガリーGPで自身がレース前から「2ストップになる」と予感していたことが、結果的にチームメイトのリアム・ローソンの8位入賞につながったと明かした。

    ローソンは当初予定されていた1ストップ戦略から2ストップへ切り替え、「ベスト・オブ・ザ・レスト」となる8位でフィニッシュ。一方のリンドブラッドは1ストップ戦略を続行して10位に入り、7週連続でポイント獲得を果たした。

    レース前から「2ストップになる」と確信
    レース中盤、レーシングブルズは戦略を分け、ローソンを2ストップ、リンドブラッドを1ストップで走らせた。これはアウディF1のニコ・ヒュルケンベルグが先に2ストップへ切り替えたことを受けた判断だった。

    結果として、新しいタイヤを履いたローソンとヒュルケンベルグが前へ抜け出し、1ストップを続けたリンドブラッドとガブリエル・ボルトレトは後退。それでもリンドブラッドは10位を守り切った。

    レース後、リンドブラッドは「1ストップが成功していれば自分がヒーローになっていたかもしれない」と振り返り、戦略を分けたチームの判断には納得していると語った。

    「1ストップがうまくいかなかったのは少し残念だった。でも、チームとしてはレース前に大きな判断だったことは理解している」

    「その後、ニコが2ストップに切り替えたので、僕たちは2台で戦略を分けることにした。それは理にかなった判断だった。もしハードタイヤがもっと持っていたら、僕が8位でヒーローになっていたはずだ。でも、残念ながらそうはならなかった」

    「だから最大限に結果を引き出したのはリアムだった。1ストップが失敗したことに後悔はない。逆の結果になっていた可能性も十分あったからね」

    アービッド・リンドブラッド(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)

    「タイヤの感触」で戦略変更を予感
    リンドブラッドによれば、自身はレース前から2ストップ戦略が必要になるとチームへ伝えていたという。その予感は、暑いコンディションでのタイヤの挙動から生まれたものだった。

    「リアムが何と言っていたかは分からないけど、僕は『2ストップになると思う』と言っていた。もしかしたら、少しは彼の役にも立ったかもしれない」

    「レース前からそう感じていたんだ。直感というか、そういう“匂い”がした。FP1でもタイヤのデグラデーションは少し大きかったし、決勝はさらに20度近く暑くなる。暑いコンディションでは、このタイヤはあまり良くないと感じていた」

    「今年これまで2ストップになったバルセロナとレッドブルリンクも、とても暑かった。このタイヤは熱に対してあまり強くないんだ。だから自然と2ストップになる気がしていた」

    「ミディアムタイヤでは序盤からあまりペースが上がらなかったし、それでもタイヤの感触は良くなかった。21周目あたりでピットインして、その後49周近く走ることになると考えれば、『これは2ストップになる』という感覚だった」

    戦略を分けた判断がダブル入賞を実現
    今回のハンガリーGPでは、レーシングブルズがローソンを2ストップ、リンドブラッドを1ストップとする戦略分散を選択したことが奏功した。

    結果的に1ストップは最適解とはならなかったが、リンドブラッドが事前にタイヤ特性を踏まえて2ストップの可能性を指摘していたことは、チームの柔軟な判断材料となった可能性がある。ローソンは8位、リンドブラッドは10位とダブル入賞を達成し、コンストラクターズ選手権においても貴重なポイントを持ち帰る結果となった。

  • レーシングブルズF1勢 マックス・フェルスタッペンの「間抜けども」発言に反論

    レーシングブルズF1勢 マックス・フェルスタッペンの「間抜けども」発言に反論

    マックス・フェルスタッペンがF1ハンガリーGPでレーシングブルズのリアム・ローソンとアービッド・リンドブラッドを「間抜けども」と無線で罵倒した一件について、両ドライバーが当時の状況を説明した。

    2人は、レース中にブルーフラッグ表示システムが正常に機能せず、通常とは異なる状況で周回遅れ対応を迫られていたことが混乱の原因だったと明かし、自分たちは可能な限り先頭争いの妨げにならないよう努めていたと強調した。

    ブルーフラッグ表示の不具合が混乱を招く
    ハンガリーGPでは、一時的なマーシャリングシステムのトラブルによって通常使用される電光式ブルーフラッグ表示が機能しなかった。そのため、ドライバーは手旗やミラー、ダッシュボードの情報、そしてチームからの無線に頼って状況を判断することになった。

    フェルスタッペンは、ルイス・ハミルトンから2位を守る攻防の最中、前方で争っていたローソンとリンドブラッドを周回遅れにするまで時間を要し、無線で「あの間抜けどもは何をやっているんだ」と怒りを爆発させていた。

    リンドブラッドは、システムの不具合がドライバー全体に混乱を招いていたと振り返る。

    「それほど難しい状況ではなかった。バーチャルミラーで前後のクルマやギャップは見えるし、実際のミラーもあるから少しは楽だった」

    「でも、追い抜いていく側のクルマにとっては残念な状況だったと思う。理想的ではなかったね」

    さらに、ブルーフラッグ表示そのものにも異常があったと説明した。

    「7周目だったと思うけど、チェコ(セルジオ・ペレス)に対するブルーフラッグが表示された。でも7周目で彼がそんなに後ろにいるはずはない。システムで何が起きていたのか分からなかった」

    「しかも番号が表示されず、ただブルーフラッグだけだった。それではあまり役に立たない。でもチームがサポートしてくれたし、ダッシュボードのデルタタイムも確認しながら、できるだけリーダーたちの邪魔にならないようにしていた」

    ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム

    ローソン「邪魔にならないことだけ考えていた」
    一方のローソンも、レース終盤にはルイス・ハミルトンの直後を走行しているところへ、新しいタイヤを履いたフェルスタッペンが急接近する場面に遭遇した。

    フェルスタッペンはハミルトンとローソンを一気に抜き去る豪快なオーバーテイクを決めたが、ローソンは自身がその攻防に巻き込まれないことだけを考えていたという。

    「僕は邪魔にならず、できるだけその争いに巻き込まれないようにしていただけだった」

    「僕は周回遅れではなかったから道を譲る必要はなかった。でも、彼があそこで仕掛けてくるとは思わなかった」

    「もちろん遅い飛び込みは見えた。あの場面では彼らの後ろでかなりタイムを失ってしまって正直ストレスだった。でも、あれは素晴らしいオーバーテイクだった。本当にマックスらしい動きだった」

    「間抜けども」発言の背景が明らかに
    フェルスタッペンの「間抜けども」という無線は大きな話題となったが、ローソンとリンドブラッドの証言からは、ブルーフラッグ表示システムの不具合という特殊な事情があったことが分かる。

    両者ともリーダー争いを妨げないよう最大限配慮していたと説明しており、フェルスタッペンが後方から見ていた状況とは異なる事情が存在していたことが明らかになった。

    【関連】
    ・フェルスタッペン レーシンングブルズF1勢に激怒「間抜けどもはペナルティだ」

  • ランド・ノリス F1ハンガリーGP勝利の裏側「ステラ代表は金曜から勝利を確信」

    ランド・ノリス F1ハンガリーGP勝利の裏側「ステラ代表は金曜から勝利を確信」

    ランド・ノリスは、2026年F1第11戦ハンガリーGPで今季2勝目を挙げ、マクラーレンにとっても前半戦を締めくくる重要な勝利をもたらした。しかし本人は、金曜日の時点では優勝など到底考えられなかったと明かしている。

    一方で、マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は早い段階からチームの可能性を信じていたようだ。ノリスはレース後の記者会見で、ステラ代表が金曜日に「賭けをしよう」と持ちかけてきたエピソードを披露し、週末を通じてどのように自信を深めていったのかを語った。

    ステラ代表は金曜日から自信を持っていた
    ノリスは、初日の走行ではマシンの感触に大きな不満を抱いており、勝利を争えるとは考えていなかったという。

    「正直、勝てるなんて全く思っていなかった。特に最初のフリー走行の後はね」

    「アンドレアは実は僕と賭けをしたがっていたんだ。FP1ではペースにもマシンのフィーリングにもかなり落胆していたからね。FP2では少し改善したけど、それでもフェラーリは別次元に見えていた。予選であれだけ接近できるなんて、本当に予想していなかった」

    その流れを変えたのは、土曜日に吹いた風だったという。

    「でも金曜日から土曜日にかけて風向きが変わって、その風が僕たちのマシンにはすごく合っていた。急にクルマへの信頼が高まって、もっとプッシュできるようになった」

    「その時にはポールポジションを獲れると思ったし、レースにも勝てるという自信が生まれた」

    40周にわたってピアストリを抑え続けた
    決勝ではオスカー・ピアストリとの直接対決を制したことが、自身にとっても特別な意味を持つ結果だったと振り返る。

    「レースペースは予想していたよりずっと良かったし、タイヤのデグラデーションも想像より小さかった。でも個人的には、自分のベストレースのひとつだったと思う」

    「こういう抜くのが難しく、前のマシンに付いていくのも難しいサーキットで、オスカーについていけたんだ。40周くらいにわたって0.8秒以内を維持できた」

    その一方で、自身がチームメイトより速かった理由については、ノリス自身も明確な答えを持っていない。

    「それができたことで、何が起きても勝てるという自信になった。僕にはかなり大きなアドバンテージがあった。でも、その理由は分からない。クルマは同じだからね。ただ最近は本当に調子がいいと感じている」

    マクラーレン

    答えは『ハードワーク』
    ノリスは現在の好調ぶりについて、才能ではなく積み重ねてきた努力の成果だと強調した。

    「昨年から本当にたくさんのことに取り組んできた。パフォーマンスを最大限引き出すことへの自信も大きくなったし、エンジニアと一緒にこのクルマを理解するために努力してきた」

    「このマシンは決して簡単なクルマじゃない。常に限界で走る方法を見つけるのは難しいんだ」

    「どうして速くなれたのかって? 答えはシンプルだよ。ハードワークさ。エンジニアたちも懸命に働いてくれたし、僕自身も自分とドライビングスタイルを改善するために努力してきた。それが答えだ」

    金曜日には優勝を諦めかけていたノリスだったが、マシン特性とコンディションが噛み合ったことで状況は一変した。そして、そのチャンスを確実に結果へ結び付けた背景には、本人とチームが積み重ねてきた地道な努力があった。

  • F1ハンガリーGPの青旗混乱をクルサードが批判「まるで幼稚園の初日だった」

    F1ハンガリーGPの青旗混乱をクルサードが批判「まるで幼稚園の初日だった」

    2026年F1ハンガリーGPで発生したブルーフラッグ(青旗)システムのトラブルについて、元F1ドライバーのデビッド・クルサードが、周回遅れの対応をしたドライバーやチームを厳しく批判した。

    レース中はFIAの自動ブルーフラッグ通知システムが一時的に停止し、マーシャルによる手動での青旗提示に切り替えられた。その影響で首位争いを繰り広げるドライバーたちは何度も周回遅れに行く手を阻まれた。

    クルサードは、たとえシステムに問題があったとしても、ドライバーやチームには十分に対応できる状況だったと指摘している。

    システム障害は「言い訳にならない」
    ハンガリーGPではブルーフラッグ通知システムの不具合により、多くの周回遅れマシンがトップグループの接近に気付くのが遅れた。

    その影響はレース展開にも及び、首位争いを演じていたオスカー・ピアストリはカルロス・サインツJr.との接触でタイムを失ったほか、マックス・フェルスタッペンもレーシングブルズ勢の対応に激怒し、無線で「間抜けども(morons)」と怒りをあらわにしていた。

    しかし、クルサードは『Up to Speed』ポッドキャストで、システム障害だけを理由にすることはできないと語った。

    「まるで学校の初日だった。いや、幼稚園の初日と言った方がいいくらい、ドライバーたちのブルーフラッグへの反応はひどかった」

    「ライブタイミングに問題があったと言う人もいるだろう。でも、自分の周囲の状況を把握する意識というものがあるし、エンジニアがピットウォール越しに状況を確認することだってできる」

    デビッド・クルサード

    「ピットウォールを見れば分かる」
    クルサードは、現代のF1ではデータへの依存が強まっているものの、エンジニア自身がコースを見れば十分に対応できたはずだと主張した。

    「中継でも話したが、今では多くのチームが、いわゆる『バカ席(prat perch)』と呼ばれるエンジニアリングウォールから実際にコースを見ることが少なくなっている」

    「トト(・ヴォルフ)の場合はガレージの中に座っているが、昔はエンジニアもチーム代表もピットウォール越しにコースを見て、周囲の状況を把握していた」

    「予選でピットアウトしたマシンとのタイミングまでは読めない。しかし決勝では各車が一定のペースで周回している。だから誰が近づいているかは普通に分かる」

    「いや、“普通に”ではない。絶対に分かる。今回の対応はまったく十分ではなかった」

    データ依存への警鐘
    今回のブルーフラッグ混乱では、FIAの自動通知システムの一時的な停止が発端となった一方で、チーム側の情報共有やドライバー自身の状況認識にも課題が浮き彫りとなった。

    クルサードは今回の騒動を、単なるシステムトラブルではなく、データや自動通知への依存が進む現代F1への警鐘と位置づけた。テクノロジーが進化した時代だからこそ、ドライバーとチームにはコース上の状況を自ら把握し、適切に判断する基本的なレースマネジメントが欠かせないと強調し、ハンガリーGPでの対応は「まったく十分ではなかった」と厳しく締めくくった。

  • フェルスタッペンとハミルトンの激闘にローソン「邪魔しないことだけ考えた」

    フェルスタッペンとハミルトンの激闘にローソン「邪魔しないことだけ考えた」

    リアム・ローソンは、F1ハンガリーGPで繰り広げられたマックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンの激しいバトルを間近で目撃し、「少しストレスだった」と当時の心境を振り返った。

    レーシングブルズのローソンは周回遅れとなる場面で2台の争いに巻き込まれたが、冷静に対応。その後は戦略変更も奏功し、8位入賞を果たして前半戦を締めくくった。

    フェルスタッペンのオーバーテイクを間近で目撃
    レース序盤のピットストップで、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)はアンダーカットを成功させ、一時的にマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)の前へ浮上した。

    しかし、ピットアウト直後にハミルトンは周回遅れのローソンを抜く必要があり、その間にフェルスタッペンが背後へ接近。ホームストレートで2台がローソンをかわした直後、フェルスタッペンはターン1で果敢に飛び込み、ハミルトンを抜き返して実質3番手を奪い返した。

    その一部始終を至近距離で見届けたローソンは、バトルに巻き込まれないことだけを考えていたと明かした。

    「僕はただ邪魔をしないように、あまり関わらないようにしていただけだった」

    「周回遅れだったから、必ずしもすぐに譲る必要はなかったけど、(フェルスタッペンが)あそこで仕掛けてくるとは思っていなかった」

    「もちろん、あの遅い飛び込みは見えた。でも、そのせいで彼らの後ろで少しタイムを失ってしまって、その瞬間はちょっとストレスだった。でも、本当に素晴らしいオーバーテイクだったね」

    予想外の2ストップ戦略も奏功
    ローソンはその後、アウディ勢やチームメイトのアービッド・リンドブラッドとの争いを展開。チームは当初予定していなかった2ストップ戦略へ切り替え、これが功を奏して8位でフィニッシュした。

    ローソンは、戦略変更も突然だったと振り返る。

    「僕たちは最初から2ストップを予定していたわけではなかったので、それは驚きだった」

    「でも、レースエンジニアのアレックス(イリオプロス)とのやり取りから、後ろで何か起きていることは感じていた」

    「彼はアウディ勢については話していたけど、多くは説明しなかった。そして突然ピットインを指示されたんだ」

    「最後はソフトタイヤで長いスティントになったけど、結果的には素晴らしい判断だった」

    今回の8位入賞により、ローソンは今季前半戦を43ポイントで折り返した。メルセデス、フェラーリ、マクラーレン、レッドブル・レーシングの4強以外では最高位のドライバーとして、安定したシーズン前半を締めくくっている。

  • アストンマーティン・ホンダF1 アップデート成功を確認「再びレースを戦える」

    アストンマーティン・ホンダF1 アップデート成功を確認「再びレースを戦える」

    アストンマーティンF1は2026年F1ハンガリーGPで投入した大規模アップデートが期待通りの成果を発揮し、中団グループで再び戦える競争力を取り戻した。前戦ベルギーGPでは最後尾に沈んだチームだったが、予選ではキャデラックとウィリアムズを上回り、決勝でもハースやアルピーヌ勢と互角に戦うパフォーマンスを披露した。

    マイク・クラックは「今回の目標は再びレースを戦える状態に戻ることだった」と語り、その目標は達成できたと評価。

    今後はザントフォールトで投入予定のホンダの改良パワーユニットと、さらなる空力アップデートによって、一段の前進を目指す考えを明かした。

    「再びレースを戦える状態に戻る」が目標だった
    アストンマーティンはハンガリーGPで改良型AMR26を初投入した。アップデートの中心となった新シャシーパッケージは、エイドリアン・ニューウェイら開発陣の期待に応える結果となり、ライバル勢との差を大きく縮めた。

    マイク・クラックはレース後、今回の成果について次のように振り返った。

    「ここへ来た時、我々の最大の目標は『再びレースを戦える状態に戻ること』だった。そして、その目標は達成できたと思う。アップグレードパッケージは機能しているし、ここからさらに次のステップを投入していく」

    今回の結果は、ラップタイムの改善以上に、ライバルとの力関係が変化したことが大きな収穫だった。

    「期待していたのはラップタイムやパフォーマンスの向上だった。ただ、ライバルが何を持ち込んでくるかは分からない。だから『このチームの前に出られる』『後ろになる』とは事前には言えない」

    「だから数字だけを見て判断するしかない。そして実際の競争力はさまざまな要素によって決まる。木曜日にも言ったように、自分たちがどの位置にいるのかは誰にも分からなかった。中団は本当に僅差だからね」

    戦略面でも前進 信頼性も改善
    ハンガリーGPは決して完璧な週末ではなかった。ランス・ストロールはFP1序盤にサスペンションのトラブルで走行不能となり、FP2を欠場。実質的にアップデートの評価はフェルナンド・アロンソ1台に委ねられることになった。

    それでもアロンソは予選でQ2進出を果たし16番手を獲得。決勝ではアロンソとストロールが異なる戦略を採用し、チームはアップデートの理解を深めることを優先した。

    クラックはタイヤ選択も成功の要因だったと説明する。

    「タイヤについても忘れてはいけない。今回も通常とは異なるタイヤ選択をしたが、それは非常に良かった。ただ、それもレース全体の一部だ」

    「マシンに十分な競争力があれば、より攻めたタイヤ選択ができる。その結果としてエネルギーマネジメント、グリップ、装着するタイヤ、戦略のすべてがうまく噛み合うようになる」

    終盤のバーチャルセーフティカー(VSC)ではアロンソがソフトタイヤへ交換したタイミングが重なり、ストロールの後方へ下がる不運もあった。

    「2台で異なる戦略を試した。最終的には近い位置でフィニッシュしたし、VSC終了のタイミングでフェルナンドがピットレーンにいたため、数秒を失ったのは確かだ」

    マイク・クラック(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    ホンダの改良PUと追加アップデートへ期待
    アストンマーティンは今季序盤、パフォーマンスだけでなく信頼性にも苦しめられてきた。しかし今回は2台とも完走し、多くのデータを収集できたことも大きな成果だった。

    クラックは信頼性向上の重要性を強調する。

    「シーズン序盤に問題があったことは周知の事実だ。パフォーマンスだけではなく信頼性も見なければならない。どれだけ速くてもマシンが壊れてしまえば意味がないし、壊れてしまえば開発も進められない」

    「開幕当初から何度も言ってきたが、まずは完走して、ドライバビリティやシフト、エネルギーマネジメントを学ぶことが最も重要だった」

    「そうした積み重ねによって問題を一つずつ解決し、信頼性を高めていくことができる」

    今後については、ホンダが現在テストを進めている改良パワーユニットがオランダGPで投入される予定であり、さらに追加の空力アップデートも控えている。

    クラックはその効果について慎重な姿勢を崩さなかった。

    「それがどれほどの効果になるかは難しい。次のレースでさらにパフォーマンスを見つけられるかどうか確認することになる」

    「ランスはFP1のトラブルでFP2を走れなかったので、最適化する時間を少し失ってしまった。これからデータを詳しく分析し、ザントフォールトでこのパッケージからさらに多くを引き出せるか見ていくつもりだ」

    今回のアップデートは、アストンマーティンが長い低迷から脱しつつあることを示す第一歩となった。ザントフォールトではホンダの改良パワーユニットと追加アップデートが加わる予定であり、中団争いからさらに上位へ迫れるかが注目される。

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    ・アストンマーティン・ホンダF1 アップデート成功を確認「再びレースを戦える」

  • トト・ヴォルフ FIAのブルーフラッグ混乱に激怒「幼稚なエンジニアだ」

    トト・ヴォルフ FIAのブルーフラッグ混乱に激怒「幼稚なエンジニアだ」

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、F1ハンガリーGPで発生したブルーフラッグ運用の混乱について、一部チームのレースエンジニアを「テレタビーズ(英国の幼児向け番組のキャラクター)」と痛烈に皮肉り、その対応を厳しく批判した。

    FIAのシステム障害によって通常のブルーフラッグ通知が使用できず、マーシャルの旗と各チームからの無線連絡に頼る異例の運用となったことが、周回遅れのマシンを巡る混乱を招いた。ヴォルフは、エンジニアがドライバーへ適切な情報を伝えなかったことが問題を悪化させたと指摘している。

    FIAのシステム障害でブルーフラッグ運用が混乱
    ハンガリーGPではFIAのシステムに不具合が発生し、自動によるブルーフラッグ通知が使用できなくなった。そのため、各ポストのマーシャルによる旗の掲示と、各チームが無線でドライバーへ周回遅れの状況を伝える方式に切り替えられた。

    この異例の運用は複数の混乱を引き起こした。オスカー・ピアストリが周回遅れのカルロス・サインツJr.を抜こうとした際には接触事故が発生。さらに終盤には、3位争いを繰り広げていたメルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリも、複数の周回遅れ車両に進路を妨げられる場面があった。

    ヴォルフ「テレタビーズのようなエンジニアだ」
    Sky Sports F1のインタビューでヴォルフは、ジョージ・ラッセルの厳しいレースを振り返った後、ブルーフラッグ対応にも強い不満を示した。

    「ジョージのレースについて言えば、僕たちとして受け入れられるものではないし、十分ではなかった」

    「それに加えてマーシャリングシステムが機能せず、後方のマシンがルイス(ハミルトン)とキミ(アントネッリ)の争いを妨げていた」

    「ピットウォールに座っていながら、後ろで何が起きているのかをドライバーに伝えないチームのエンジニアがいる。ああいう『テレタビーズ』のようなエンジニアたちの対応は本当にひどい」

    「全体として、この状況にはまったく満足していない」

    ハンガリーGP

    サインツは酌量を主張もピアストリは猛反発
    ピアストリとの接触でペナルティを受けたカルロス・サインツJr.は、ブルーフラッグシステムの不具合を考慮すれば、スチュワードはより寛大な判断を下すべきだったと主張した。

    一方で、ピアストリはその説明を受け入れず、サインツJr.の状況認識の欠如を厳しく非難した。

    「ブルーフラッグの問題があったことは知っていた。でも、マーシャルの旗はすべて掲示されていた」

    「僕はすぐ後ろにいたし、何が起きたのか信じられなかった。周回遅れのマシンに接触されるなんて、レースで起こるとは思わないことのひとつだ」

    「彼が僕を見ていなかったことはどうでもいい。見えていなかったことも、誰も知らせなかったことも、あるいは周囲への認識がまったく欠けていたことも受け入れられない」

    「彼はフェルナンドと最下位争いを、まるでワールドチャンピオン争いをしているかのように戦っていた。そのせいで僕はレースのリードを失った」

    「彼は他人には厳しいことを言うタイプだ。他のドライバーからも、これまで走り方について批判されてきた。今回のようなことをしたなら、一度自分自身を見つめ直した方がいい」

    今回のブルーフラッグ運用の混乱は、FIAのシステム障害だけでなく、各チームの情報伝達にも課題があったことを浮き彫りにした。ヴォルフの厳しい批判は、レース運営とチーム双方の改善を求める声として波紋を広げそうだ。